ペニーハーベストプログラム
 
ペニーハーベストプログラム
日本で普及できるプログラムを目指して
アメリカで広がるペニーハーベストプログラム。募金から寄付に至る一連のプロセスに子どもたちが主体 的に関わることで、問題意識を喚起し、民主的な意思決定や、学校外の人との関係づくりを学びます。
 2011年8月から9月にかけ、日本の文化や教育環境の中で普及できるプログラムの開発を目指して、杉並区立和泉中学校で、「社会のために、僕たち、私たちにできること」をテーマに、パイロット版「ペニーハーベスト」プログラムを実施。校長の由井良昌先生のご協力のもと、9名の有志生徒の皆さんに参加いただきました。NGOリーダーによる講義や企業訪問を通して、社会的な課題とその解決に向けた実践を学び、中学生の自分たちにできることとして募金活動に取り組みました。
◆ 1日目(2011年8月30日)
NGOリーダーによる講演会
「フィリピンの子どもたちのための取り組み~チャレンジ
 一人ひとりの取り組みが社会を変える第一歩」
講師:横田 宗(よこた・はじめ)さん/NPO法人 ACTION 代表
 和泉中学校の生徒が全員参加し、横田さんのお話を聞きました。
 フィリピンで孤児院やストリートチルドレンへの支援を18年間続ける横田さん。高校生のとき、フィリピンのピナツボ火山の噴火で被害にあった孤児由井良昌先生と横田宗さん院を訪問。「ボランティアをするつもりが、逆にいろいろ教えられた。お世話になった人に恩返ししたい」という思いを抱き、帰国後、孤児院修復のための資金集めや仲間づくりに奔走し、NGO「ACTION」を立ち上げました。横田さんの「やろうと思ったらやればいい。大切なのは、夢を実現するまで諦めずに行動し続けること」という言葉が心に響きます。
 フィリピンでは、18歳になった女の子のお祝を盛大にしますが、貧しい家庭では難しい。そこで、横田さんは、美容師など日本人スペシャリストの力を借りて、彼女たちをドレスアップするイベントを2011年11月に開催することに。「きっと親も喜びます。同時に 『次の子のときも祝いたい、だからしっかり働こう』 と親たちの仕事の意欲を上げる効果を狙っているのです。」 社会課題を解決するための方法は、いろいろあることがわかります。
 また、ボランティアの意味は「誰かに何かをしてあげることではなく、恩返しだと思っています。うれしいこと、楽しいことは、いつも誰かとの関係の中で起きています。そこに感謝して、その恩を他の人につなげていくことだと思います」と。世界の子どもたちと出会ってきた横田さんは、「世界中の子どもたち一人ひとりに良いところがあり、力があります。それは平等です。しかし、その力を使って自分の将来を選べる状況にあるのは一部の子どもたちだけ。将来を悩めることはすごく恵まれたことです。チャレンジができること自体がすばらしいのです。」
 横田さんは、ボランティアの本質、チャレンジすることの醍醐味や大切さを教えてくれました。
◆ 2日目(2011年8月31日)
企業訪問
日本サムスン株式会社
~企業の社会貢献、働く人のボランティア活動
張 尚基(チャン・サンギ)さん 2日目は、有志生徒8名が港区六本木にある日本サムスン株式会社を訪問しました。Social Relations Team 張尚基(チャン・サンギ)さんが、同 社の社会貢献活動の紹介を通して、企業が社会貢献に取り組む意義についてお話くださいました。サムスンはビジネスのみならず世の中の役に立ちたいとの思いで、グローバルに社会貢献活動を続けているというお話は、「企業は社会と共にあるもの」ということを生徒たちに印象づけました。
荻原泰邦さん さらに、荻原泰邦さんからは、同社が運営する聴導犬育成による若者自立支援施設「あすなろ学校」での支援や、障がい児とディズニーランドで一緒 に遊ぶといったボランティア活動での体験が語られました。荻原さんをはじめ、全従業員が年間に10時間のボランティア活動を行っている同社。「ボランティア活動を通して知らなかった世界を知ることができ、気づきがありました。ぜひ皆さんもアクションを起こしてください」と生徒たちにエールを送ってくださいました。
映像も交えたわかりやすいお話に興味深々 質疑応答では、「ボランティアは月何回くらいやっていますか?」「社員以外は参加できないのですか?」「日本サムスンに入社するにはどうした らいいですか」(笑)などの質問があがりました。
 日ごろ訪問する機会のないオフィスビルの雰囲気に緊張気味の生徒たちも、お二人の和やかなお話しぶりに引き込まれ、「日本サムスン」という会社に親しみを感じたようでした。
◆ 3日目(2011年9月7日)
ディスカッション
「社会のために、僕たち、私たちができること」
ファシリテーター:学生団体 STUNITY
 ペニーハーベストプログラムは、寄付に至る過程を大切にします。なぜ今そこに寄付するのか、その意味を徹底的に考えます。この日は、学生団体STUNITY のメンバーが進行役となり、2時間かけて募金活動の目的や使い道について話し合いました。
◆2つのグループに分かれて、ブレインストーミング◆
震災の日を思い出し、自分の思いを書き出してみる。 「東日本大震災について、今何を思う?当時何をしていた?」というテーマで、それぞれの意見や思いを付箋に書き出します。「ただびっくりした、 怖かった」「被災地にいる友だちがとても心配になった」「被災地には情報が全然行き届いてないと知ったので、SNSで情報を拡散していた」などなど。
 次に、「募金で集めたお金をどういう人やどういう事のために使いたい?」というテーマでも意見を書き出します。「子どもたちが勉強できるよう、教科書や参考書、文具等に使ってもらいたい」「仕事を失った方の生活を支援したい」「病気の人、妊婦、障がい者等、社会的弱者の方に使ってもらいたい」など、さまざまな意見が出されました。
◆全員で意見を集約◆
募金の目的は?寄付先は?結論を導く生徒たち 募金の目的をひとつにするため、全員が集まって議論をはじめると、さらに白熱し、真剣な表情に変わっていきます。「生徒が勉強するためには学校の先生の支援も必要ではないか」「受験が間近でない生徒には勉強だけでなく遊びも大切」「友だちに会えなくて寂しい思いをしているのではないか」など、物事にはいろいろな側面があることが見えてきます。
 そして、自分たちにできることとして、「同世代の生徒の学習環境づくりの支援をしよう」という結論が導き出されました。「子どもたちは家族に 気をつかって要求を言えずに我慢しているのではないか」「たくさん勉強できるのは今だけ」など、被災地の生徒に自分を置き換え、今求められる支援を考えました。
何ができるのだろう。可能性を探るグループ討議 寄付先は、「大人と違って自分たちは被災地に行けない。被災地で活動する専門団体に寄付しよう」と、候補5団体の中からNPOアスイクを選びました。NPOアスイクは、仙台市・多賀城市・石巻市で小中高生の学習サポートを実施。活動エリアの広さ、避難所や仮設住宅などで多くの子どもたちを支援している点が支持されました。

◆ 4日目(2011年9月22日)
募金活動
永福町駅前および永福町商店街にて
 いよいよ、募金活動の日。生徒9名は3グループに分かれ、永福町商店街と永福町駅前の2か所を交代で回ります。商店街には予め、お願いの手紙を「昆布などの海産物が多くて東北の取引先も多いんですよ。だから応援したいんです」と生徒にお金を託す乾物屋さん配っているものの、扉を叩くのはドキドキです。「こんにちは、和泉中学校の生徒です。えっと・・・・」。言葉が出てこないときは、後ろから STUNITY のメンバーがサポートします。一つのグループでは、開始後まもなく、会社の社長室に通されて、社長直々に募金いただいた上に、社内を案内していただくという嬉しいプニング。「若い皆さんがこのような活動をすることは、とても良いことだと思いますよ。がんばってください」との励ましの言葉に、生徒たちは元気をもらいました。畳屋さんではずっしりと重い硬貨の缶が手渡されました。いずれも生徒たちを一人の人間として信頼しているからこそ託されたお金です。扉の向こうには、これまで知らなかった世界や、ストーリーがあることを生徒たちも感じたことでしょう。
 もちろん、「もう募金したから」と、断られることも少なくはありません。しかし、それも受け止めて「お話を聞いていただきありがとうございます」と店を後にする生徒たち。一軒一軒回って集める募金だから学べることがあります。
「被災地の生徒を応援したいのです!」思いを伝える生徒たち 一方、駅前募金では、はじめは声が出せない生徒もいましたが、10分もすれば慣れてきて、それぞれに言い方も工夫します。「私たちは和泉中学の生徒です。東日本大震災の募金をしています。NPOを通し、被災地の生徒たちに文房具や参考書を届けます。募金よろしくお願いします!」 その呼びかけに「私、卒業生なのよ」という女性も現われました。同年代の若者が募金してくれたときは、生徒たちの喜びも一段と大きかったようです。午後4時、途中降り出した雨にも負けず、約100店舗を回り切り、募金活動は終了しました。
和泉中学校に戻り、集めたお金を数えます。大きな缶や瓶に詰められた硬貨、丁寧にのし袋に入ったお札も。 その後、学校に戻り、集めたお金を、それぞれに込められた思いを感じながら、1枚1枚数えます。合計131,749円。生徒たちからは「これまでの募金とは違って、自分たちで決めてきたから達成感があった」「楽しかった」「やって良かった」という声とともに「またやりたい」という意見がたくさん寄せられました。由井校長先生の「募金をしながら、和泉中学校の生徒を多くの人が見守っていることが実感できたと思う。地域の人たちとのつながりを大切にしてほしい」との言葉に、うなずく生徒のまなざしが印象的でした。
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今回はパイロット版として、「ペニーハーベスト」プログラムを実施しましたが、当協会では、その成果と課題点なども踏まえ、日本の教育現場で取り組みやすいプログラム作りを進めてまいります。本プログラムにご関心のある方は、ぜひお問い合わせください。
お問合せ先: 公益社団法人日本フィランソロピー協会
お問合せ先: TEL: 03-5205-7580 FAX: 03-5205-7585
お問合せ先: Email: こちら から。