理事長ごあいさつ

Date of Release:2023.1.1
コロナ禍も収まらず、ウクライナ戦争も終結せず、先進国においてはナショナリズムが横行し、国内においても経済格差の固定化により、弱い立場の人がますます困窮する、ということがあちこちで見られます。そのような心晴れない状況での2023年の幕開けですが、「悲観主義は気分に属する、楽観主義は意志に属する」というフランスの哲学者アランの言葉に倣い、今年も諦めることなく進んでまいりたいと思います。健全な民主主義社会をめざして、社会の一員として誰もが大切にされながら、自分らしく役割も果たす関係づくり、環境づくりに尽力してまいります。そのために、主に3つの点に注力してまいります。
 
第1に、企業の従業員を中心とした個人の社会貢献推進を、よりインパクトのあるものとして推進し、また、より多くのプレイヤーが参画できる仕掛けや仕組みづくりを工夫してまいります。具体的には、課題を持つ現場の人たちや心ある小さな声にも丁寧に耳を傾け、支援者・被支援者の固定的な関係を超えて、人間としての共感を醸成するコーディネーター役を務めてまいります。
 
第2に、従来の企業とNPOなど非営利セクターとのコーディネートに加え、自治体など行政との連携も加え、地域再生など面的な広がりを創っていく予定です。そして、そこでは市民や、企業の従業員等の積極的な参画も考慮しつつ進め、コミュニティ・キャピタルとしての価値を高めることをめざしてまいります。
 
第3に、視座を次世代にとってのよりよい社会に定めます。企業においても2030年のSDGs達成に向けて、また、ESGs投資への関心の高まりも相まって、公益的な側面を重視した経営が謳われ、社会貢献も従業員参加型を意識したものが増えてまいりました。ただ、どうしても企業側の事情に拠りがちになる傾向が否めません。手段が目的化しないよう、未来を見据えつつ、誰もが居場所と出番のある社会づくりに向かう活動へと牽引することが、中間支援組織としての矜持を示すことになることを肝に銘じて、使命を果たしてまいりたいと思います。
 
スタッフ一人ひとりの力を高めつつ、皆様にご指導・ご支援を賜りつつ、組織としても成長しながら、健全な民主主義社会の実現のために尽力してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
2023年(令和5年)1月
 
公益社団法人日本フィランソロピー協会
 
理事長 髙橋 陽子
 
「理事長ごあいさつ」おわり