株式会社山陰合同銀行
島根県松江市
地域と深くつながりながら地域社会の発展を目指す活動
<贈呈理由>
 
同行は、全国に先駆けて少子高齢化・人口減少が進む山陰地方で、福祉、人材育成、環境保全など、地域づくり・人づくりに取り組んでいる。1981年に開始した役職員による募金活動「ごうぎん一粒の麦の会」によるNPO等への寄付、ごうぎん文化振興財団による青少年教育を目的とした私塾「尚風館(しょうふうかん)」の運営、「小さな親切」運動山陰本部事務局や「森林を守ろう!山陰ネットワーク会議」事務局など、組織や人をつなぎ、育み、地域社会を底上げする機能を果たしており、これらの継続が力となり、「地域の課題は地域で解決」を実現している。
本業を通じた社会価値創造にも積極的に取り組んでおり、利益率、資本効率などで良好なパフォーマンスを実現する一方、非財務指標においてもさまざまな課題に対応し企業価値を向上させている。こうした経営基盤の安定が、山陰という経済的には厳しい環境の中で地域のステークホルダーとともに成長するサステナブル経営を可能としている。地域に密着した活動ながら、その理念や実践は、時代を超え地域を超えて、企業フィランソロピーの普遍的価値を体現している。他の模範となり得る企業経営に敬意を表したい。
  
はばたけ!地域照らす若者賞
株式会社 AOI Pro.(アオイプロ)
東京都港区
地域の魅力を映像にしよう!「撮り旅(とりたび)」の取り組み
<贈呈理由>
 
広告映像制作を主たる事業とする同社は、ノウハウを活用して人材育成や地域活性化に貢献できないかと考え「撮り旅」プロジェクトを構想。本プロジェクトは、映像制作のプロによる指導のもと、学生がさまざまな地域で取材・撮影し、映像化する取り組みである。学生は制作を通じて、チームワークや考える力を養い、住民との交流を重ねる中で地域の魅力を再発見する。完成した映像はSNSで発信するほか、自治体のPR素材としても活用されている。住民にとっても、若者の視点で描かれる地域の姿は新鮮であり、自分たちが住む場所の価値を改めて見つめ直す契機となる。テクノロジーとアナログの相乗効果を生む活動は広く共感を呼ぶものになっており、こうした活動が全国に広がることで、地域を愛し、盛り上げていく若者が増えることを大いに期待したい。
ふるさとの人づくり賞
株式会社 一ノ蔵
宮城県大崎市
~東日本大震災復興支援プロジェクト~
     未来へつなぐバトン醸造発酵で子どもたちを救おうプロジェクト
     「一ノ蔵特別純米原酒3.11未来へつなぐバトン」の取り組み
<贈呈理由>
 
ふるさとを思い自然との共生を事業の核に据えた酒造りを営む同社は、2011年の東日本大震災時、「沿岸部の子どもたちは勉強どころではない」との社員の一言を契機に全社員で被災地を視察。子どもたちに学ぶ機会と場所を提供したいという思いから、支援活動を検討。2011年当時0歳だった子どもが20歳を迎える2031年までバトンをつなぎ続けるとの決意のもと、宮城県産米を使用した原酒『3.11未来へつなぐバトン』を製造・販売し、売上全額を公益社団法人ハタチ基金に寄付する取り組みを同年12月に立ち上げた。2023年度までの寄付額は累計約8,000万円にのぼる。
また、ハタチ基金の支援を受けた宮城県の大学生が、令和6年能登半島地震被災地で、子どもの居場所づくりに関わるという「ご恩送り」につながっている。子どもの将来を見据え、共感と希望を生み出す覚悟ある取り組みを高く評価したい。
いのち輝く夢の空間賞
セイコーエプソン株式会社
長野県諏訪市
プロジェクションによる映像表現を活かした「ゆめ水族園」の実施
<贈呈理由>
 
同社は、映像、音楽、スクリーンを組み合わせ、視覚、聴覚、触覚といった感覚刺激体験を届ける「ゆめ水族園」を病院や特別支援学校に提供。目前に魚やクラゲが泳いでいるような柔らかな空間をつくり、重度障害など外出が制限される子どもたちに非日常的な体験機会を届けている。2015年から2024年度末の体験者数は累計7万2,000人に達する見込み。全国各地の社員が運営を担っており、コロナ禍にあっては、移動型プロジェクションカーを貸し出すなど工夫を凝らして継続してきた。
さらに施設単独で「ゆめ水族園」を実施するための研修も開始。より多くの機会を届けることを目指す。「重い障害のある子どもに体験を」との思いに共感する水族館、動物園、病院など、さまざまな人の思いが「ゆめ水族園」でつながっている。子どもたちに感動と笑顔を届け続ける取り組みを高く評価したい。
指で読むDE&I賞
株式会社毎日新聞社
東京都千代田区
週刊点字新聞「点字毎日」の発行
<贈呈理由>
 
同社は、視覚障害者を対象にした「点字毎日」を1922年(大正11年)5月に創刊。以来、100年以上にわたって発行を継続している。初代編集長は全盲の点字使用者。その後も点字を使う当事者が編集に携わってきたのも特徴で、現在3人の点字使用者が編集作業に加わっている。
新聞社としては唯一の取り組みであり、内容も毎日新聞をそのまま点訳するのではなく、視覚障害者の生活に身近な福祉制度、就労、教育、文化・娯楽情報などを当事者向けに編集して、当事者や支援者の議論の場にもなっている。選挙公報の点字化、点字による投票の実現など視覚障害者の社会参加を後押ししてきた。「点字毎日」100年間の歩みと、Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包摂性)実現への挑戦、視覚障害者の生活文化向上への寄与を高く評価したい。
思いつなぐ共生社会賞
丸紅株式会社
東京都千代田区
丸紅基金活動-共生社会実現を目指した取り組み
<贈呈理由>
 
同社は、1974年、「社会福祉法人丸紅基金」を設立。行政の手が届きにくい分野で活動する団体にも配慮した公募助成を50年間継続してきた。その実績は累計3,044件、総額52億5,000万円にのぼる。特徴的なのは、企業による資金提供に加え、グループ役職員、元社員で構成する有志寄付組織「100円クラブ」、「丸紅ギャラリー」入館料、社員食堂で寄付金つきメニューを提供するといった多様な方策による寄付と、助成団体への社員ボランティア派遣などを組み合わせ、相乗効果を図っている点。2024年度からは毎年の助成総額を3倍の3億円に増額し、多様化する課題へのさらなる貢献を示している。
2000年ごろの経営困難時期も含め、本業の浮き沈みに関わらず、社是「正・新・和」の精神に則り、設立時の理念を継承し活動を発展させていることを高く評価したい。
 
贈呈式:
・日時:
2025年2月28日(金)15時より
・会場:
如水会館(じょすいかいかん)
 <所在地> 東京都千代田区一ツ橋2-1-1
 <案内図> こちら のアクセス地図をご参照ください。