播種(はしゅ)=「種まき」の意
日時: 平成24年(2012年)6月4日(月)■9:00~
場所: 七ヶ浜町吉田浜地区
七ヶ浜生産組合では、「東北『復耕』サポート」で贈呈された農機具を使用しての営農が再開しました。
田んぼは除塩が進まず今年の稲作ができないため、七ヶ浜の吉田浜地区の農地の一部、5haの被災水田に大豆を作付します。震災以来、七ヶ浜町初の営農の日とあって、当日は生産組合のメンバー9名全員が顔を揃えての作業となりました。
今年、生産組合が一体となって大豆の作付を行うのは、5ha。七ヶ浜地区の全体の農地は110haなので広さとしてはわずかなエリアですが、これが復興への第一歩です。
津波の被害を受けた農地は、がれき撤去のあと、小さながれきやごみを拾い、10㎝ほど堆積していた砂などは、土にすきこんで整備しました。また、5haのうち、播種の前日に2ha分だけ土壌改良材(鉄分)を散布しました。土壌に含まれる塩分濃度は生育に影響がないとの検査結果が出ていますが、生育に違いが出るか、効果を比べてみるそうです。
また、水気に弱い大豆の根腐れを防ぐため、畝(うね)を高めに作ることで排水機能を持たせる工夫をしました。
副組合長の加藤壽治さんは、「野菜は米より倍は手間が掛かる。土壌の問題などいろいろ不安はあるが、まずはやってみることが大事だからね」と意気込みを語ります。
いよいよ大豆と肥料をセットし、トラクター発進。きれいな3条の畝を作りながら大豆と肥料を播いていきます。1面(30a)の畑に、約15kgの大豆を播種します。秋には種5kg当たり200㎏ほどの収穫量になるそうですが、「300㎏を目指す!」との声も。
「(トラクターの)馬力も60馬力はある。性能は一番い良いじゃないかな」と笑顔で話す我妻周悦さん。実は、我妻周悦さん・卓郎さん親子が震災前、試運転を繰り返し、気に入って購入を予定していた機種でした。
「がれき撤去の作業ばかりだったので、営農再開が待ち遠しい」と言っていた卓郎さんは、赤いトラクターに乗りこむと、少々緊張気味にスタート。調子は良好のようで、すぐに慣れた様子で運転していました。
播種作業は天気を見ながら、2日間で完了させるとのことでした。
隣には、まだがれきを撤去したのみで、営農再開にはほど遠い農地もあります。
川がなく、農業用水を溜池からポンプで送る七ヶ浜の田んぼは、除塩作業も難しい上、排水機場や排水路の修復も手つかずの状態です。
佐藤太郎組合長は、震災後初の営農の日を迎え、「農家として営農の意欲は衰えなかったが、今回の被害は自分たちだけではどうしようもないものでした。農業はもともと地域みんなの協力が大切ですが、農業以外の人たちから、たくさんの温かい支援を受けてここまで来られたのだと思います。」
今日播いた大豆は、4~5日ほどで芽を出し、1か月ほどで花が咲きます。これから除草や土寄せなどの作業をしながら生育を管理します。
収穫後、震災以前から七ヶ浜の大豆で豆腐の加工販売をお願いしていた授産施設で豆腐が作られます。今から収穫が楽しみです。
播種から2週間後。まだ良好な状態ではない土の中からたくましく芽を出し、葉を広げた。