
ここ南三陸地域は、登米市や津山、気仙沼から唐桑半島まで、と大変長い地域でございます。また東には太平洋、西には北上山系がある、大変風光明媚なエリアです。ただそうした美しい景観とはうらはらに、東北特有のヤマセが吹き降ろし、また山に囲まれたいわゆる中山間地域であり、農業に関しては決して恵まれた地域ではありません。
しかしながらそうした境遇にも屈せず、創意工夫を凝らしながら農業を生業として生活を送っております。また、地域特性を生かした作物のブランド化や特産化を推し進めている地域でもあります。
そんな中、3月11日の東日本大震災で多くの人が被災し、多くの農業機械が海に沈みました。水田面積のおよそ4分の1にあたる557ha、畑のおよそ6分の1にあたる548haの農地も巨大な黒い波に襲われました。
細々と農業を営む人の多くが高齢者であります。あらためて高価な農業機械を買い揃えねばならないということは、大変難しく、このたびのご支援は非常にありがたいものでありました。ご支援いただいた管理機、トラクター、ハーベスタは南三陸の農業に明るい光をもたらすものであります。必ずや地域農業の復興に役立てることを誓います。
われわれ「地域貢献倶楽部 あきべェ」は、6年前に立ち上がった団体です。南三陸町内の使われなくなった農地、いわゆる遊休農地を活用して野菜を栽培し、それらを販売することに加えて、作物を町内の福祉施設に寄贈する福祉活動、またゴミ拾い活動など環境美化活動、食育マイスターやジュニア野菜ソムリエの資格を持つメンバーによる、子どもたちへの食育活動などを行ってきました。
しかしながら、今回の震災で被災して生活が一変しました。仙台や東京など、地元を離れてしまったメンバーもおり、以前のような活動ができない状況が続いております。私自身も家や車が流され、避難所生活を送った身であります。そうした中にあって、できる範囲で活動をしようと、現在も被災を免れた地でミニトマトなどの野菜栽培を行っています。自分たちの育てた作物を食べ、おいしいと言ってもらえたときのうれしさ。また「南三陸産なんです」と胸を張って言える誇らしさ。これは格別なものがあります。