JAいしのまき/平成27年産いしのまき米新米試食会
実りの秋まるっといしのまきフェア
~平成27年産 いしのまき米新米試食会・「マキコミュプロジェクト」進発式~
日時:平成27年(2015年)10月13日(火)11:00~13:00
会場:石巻グランドホテル 2階鳳凰の間
 
 北上川河口に開けた産業都市・石巻。藩政時代には、仙台藩領北部で産する米の一大集積地として栄えた。集荷した米の大部分は海運によって江戸へと運ばれて、幕末に至るまで江戸で消費される米の、実に3分の2が仙台藩産であったという。
 東日本大震災では耕地が広範囲にわたって津波によって浸水され大きな被害を受けたが、震災から4年半を経て、生産量日本一を誇る銘柄米ササニシキをはじめ、キュウリやトマトやイチゴといった園芸作物も復活。石巻漁港の水揚高も戻りつつあり、まちは復興への確かな歩みを続けている。
 2015年10月13日、いしのまき農業協同組合(JAいしのまき)主催による「実りの秋まるっといしのまきフェア」が開催された。
 フェアでは今秋石巻地区で収穫されたばかりの「ササニシキ」「ひとめぼれ」「つや姫」の新米三種の食べ比べが行われるとともに、「復興応援 キリン絆プロジェクト」農業支援 の助成金の一部を使用して活動をスタートした「マキコミュプロジェクト(通称 マキプロ)」の進発式も行われた。生産者、飲食業者、加工業者、JAや行政関係者らが、プロジェクトのスタートを祝ってエールを交換した。
 マキコミュプロジェクトとは、石巻地域の農業者、漁業者、飲食や加工業者、行政といった異業種の人々が集まり、地域で産する多彩な食材を繋ぎ合わせて、地産地消と6次産業化を進めながら「いしのまきブランド」の創出を目指そうという取り組みである。
 そのスタートとして、仙台市内や石巻地域の飲食店と連携し、地域産品を使ったメニューの開発と提供を開始する。この日も3種類の特別料理が披露され、来場者の顔をおいしくほころばせた。
 こだわりの地域食材の旬のおいしさを伝え、生産者の顔が見える産品を通じて地域情報を発信しながら、多くの人を巻き込んでいこうというプロジェクト。石巻の新たな食文化のプラットフォームづくりを目指す挑戦がスタートした。
《開会挨拶》
JAいしのまき 代表理事組合長 松川 孝行 様
 本年(2015年)は、現行の生産調整の仕組みとなった平成16年(2004年)以降で初めて生産量目標を達成し、過去最低の米価となった昨年より回復したものの、生産者は依然として厳しい生産環境下にあります。また10月5日にはTPPが合意に達し、新たな米の輸入枠の設定など、かつてない規模の市場開放となることで日本の農業に大きな影響が懸念されます。
 ことしの稲作は天候に恵まれ順調に推移してまいりました。8月下旬以降の雨天曇天、9月の大雨などの影響はあったものの、東北農政局発表の9月15日時点における石巻地方の作柄は「102 やや良」となっております。また10月7日発表の一等米比率は92%で、良好な品質となりました。
 「復興応援 キリン絆プロジェクト」農業支援事業では、平成24年度(2012年度)の 第1ステージでトラクター45台を支援 していただきました。そしてまた今回は第2ステージの一部として、地域の農漁業者や飲食業者、行政機関など異業種の方々と、石巻地方の食資源を繋ぐ、マキコミュプロジェクトの立ち上げに支援を賜りました。
 産地見学ツアーや飲食店フェアなどで異業種の方々と連携し、地産地消と6次産業化を進めてまいりたいと考えます。皆様にはこれまで以上のお力添えを頂戴いたしたく、お願い申し上げます。
《来賓祝辞》
石巻市長 亀山 紘 様(代読 石巻市産業部 続橋 亮 様)
 (2015年)8月後半からの長雨や日照不足、台風18号による冠水被害などで、ことしの稲作の作況が心配されましたが、作柄は「やや良」、一等米比率も90%以上とのことで、本市といたしましても安堵しているところです。
 今回は新米の試食会に併せて農産物のブランド育成や6次産業化に向けた販路拡大を応援する「復興応援 キリン絆プロジェクト」農業支援事業の採択を受けた、マキコミュプロジェクトの進発式も催されます。付加価値の高い農業を目指し、新たな食のブランド創設に向けた取り組みに本市も大いに期待しております。
《来賓祝辞》
東松島市長 阿部 秀保 様(代理出席 副市長 古山 守夫 様)
 ことしは猛暑の日々が続いたかと思えば、残暑がないような早い秋の訪れとなり、長雨や台風、チリからの津波といった自然の脅威もございました。脅威といえば東日本大震災を忘れることはできません。寒さの中、配給でいただいたおにぎりに、復興を誓う力をもらったことを思い出します。
 震災から4年7か月。市が10年で策定した復興計画のまだ折り返し点よりも前です。本日お集まりの皆様が、復興のエネルギーの源である「食」を作っていくという自信と自負をもって、ますますご精進されてまいりますようご祈念申し上げます。
《来賓祝辞》
キリンビールマーケティング株式会社 宮城支社長 大島 宏之
 今春(2015年)、宮城に着任いたしまして、この半年間、宮城の食の素晴らしさに触れてまいりました。春には東松島市の田んぼで村井知事と一緒にササニシキの苗を手植えさせていただき、また先日は同じ田んぼで稲刈りも体験して、食の大切さ、お仕事の大変さを改めて実感したところです。
 私どもの仙台工場は92年の歴史があり、長く地元でビールを造ってまいりました。ビールは食があってこその飲み物です。主役である食を、ビールはいかにして引き立てるかを考えながら造らせていただいています。
 今夏には、ササニシキを副原料とした地域限定ビール「一番搾り 仙台づくり 仙台工場限定醸造」を発売いたしました。宮城の食の魂ともいえるササニシキを使わせていただくことで、被災した工場としても宮城の皆様に感謝の思いを伝えたいと考えました。
 石巻の農業、水産業、それに関わる皆様が、地域の未来を創って行かれることに、私どももささやかながらお手伝いをさせていただきたいと思います。
1. 第一部 新米試食会
 平成27年度(2015年度)産米の出来映えを味わう試食会。テーブルには、今秋収穫したばかりの新米「ひとめぼれ」「ササニシキ」「つや姫」の3つの銘柄米が配膳された。
 はじめに、いしのまき農業協同組合営農販売部米穀課長の佐藤康弘氏より、石巻管内で育てられた稲の生育概況とJAいしのまきの取り組みついて説明があった。
 3つのお椀に盛られたご飯はただ試食するのではなく、それぞれの銘柄が伏せられ、食べ比べをして、出席者にどの銘柄かを当ててもらおうという趣向である。テーブルに用意された回答用紙にマルを付けて提出。正解者にはプレゼントが用意された。会の後半になされたクイズの正解発表では、この日出席した100名ほどの中から11名が正解した。
2. 第二部 いしのまきマキコミュプロジェクト進発式
《いしのまきマキコミュプロジェクトの紹介》
JAいしのまき 営農販売部 営農企画課長 佐々木 敬 様
 いしのまき農業協同組合では、「復興応援 キリン絆プロジェクト」農業支援事業の第1ステージのサポートに続き、農産品のブランド育成を進めるため第2ステージの支援も賜り、マキコミュプロジェクトを立ち上げました。地域の農漁業者、飲食業者、加工業者、行政機関といった異業種の方々を連携パートナーとして巻き込んで行きたいと考えます。
 マキコミュには「巻き込む」のほか、石巻の「巻」「コミュニティ」「コミュニケーション」といった意味も込められています。
 これからさまざまな食品をつなぎ合わせ、新たな商品や価値を創り、地産地消と6次産業化を進めながら石巻ブランドを創りあげてまいります。
 当地域は、宮城県の基幹種雄牛である「茂洋」のふるさとです。そしてキュウリやトマトやイチゴ、イタリアン野菜など多彩な農作物が栽培されております。しかし異業種の方々には当地域にどんな農産品があるのか知られておらず、一方でわれわれ生産者には加工業や飲食店ではどんな素材が求められているのかなど情報の共有が不足していました。そうした点と点を線で結び、面として広げながら情報を集め、交流を深めながら、本プロジェクトを進めてまいりたいと考えます。
 飲食店様の産地見学ツアー、意見交換会、地産地消をPRするイベント、石巻の産品を使ったメニューの開発、レシピ本の製作、地域の皆さんを巻き込んだ料理教室の開催などを通じて地域の情報を伝え、石巻の産品のファンになっていただこうと思っています。
 始まったばかりのプロジェクトです。多くの方のご協力を賜りますようお願い申し上げます。
《東北 食の力プロジェクトのPR》
東北 食の力プロジェクト 理事長 佐々木 浩史 様
 当団体は2011年の震災直後、仙台市の外食産業の関係者を中心に設立された一般社団法人です。
 私自身も石巻の出身です。現在は「スタイルスグループ」という飲食会社を経営しておりますが、8割の店舗で海鮮を提供しております。今夏(2015年)は東京に新たに2店舗を出店しました。1店舗は宮城県漁協さんと提携して宮城県産のカキを通年お出しする店。同じ建物の2階にもう1店舗あり、こちらは女川町と提携しました。東京で女川町を体感していただき、実際にこの地に足を運んでいただこうという主旨です。
 「東北 食の力プロジェクト」では、食材に関してさまざまな思いのあるメンバーが集まっています。現在50から60店舗が参加して、仙台市の一番町一帯でイベントを開催しました。ことしは女川町さんと一緒に「ほやフェア」を行うなど、いろいろな活動を続けております。そして今回はマキコミュプロジェクトのお手伝いをさせていただくことになりました。まずは石巻地域のさまざまな食材を使って、私たちの仲間のお店それぞれの個性に沿ってお料理を創らせていただきます。その結果として、食材のブランディングや消費の拡大、知名度アップに繋がればと思っています。
 我々の仲間には、イタリアン、フレンチ、居酒屋など多彩な業態があり、パターンに縛られないスタイルで一つの食材をさまざまにアレンジしてバリエーションを広げ、この地域の食材のプライオリティアップに繋がりますよう、微力ながら応援させていただきます。
《飲食店フェアについて》
東北 食の力プロジェクト 副理事長 八尋 豊 様
 飲食店は、料理を通じてお客様においしさをどう伝えるかだけではなく、生産者の皆さんの思いもまた大切に伝えていくことが大事と考えます。今の時代はまた、料理を写真に撮ってブログやSNSにアップするという方も多く、見た目もたいへん重要です。
 今、テーブルにトマトを植えた鉢がございますが、この土もまた食べられるものです。こういった演出も楽しんでいただけたらと思います。また石巻産のロメインレタスを使ったシーザーサラダもございますが、シーザーサラダはロメインレタスで作るものということは料理人でも知らない人がいます。本物をお伝えする、あるいは海産物や農産物がどんな姿で育ってきたのかなどをお伝えするのも飲食店の役割です。
 石巻は、海から山から畑からおいしいものがたくさん届く、とても恵まれた土地です。海のまちのイメージが強く、正直、石巻でこんなに野菜が作られていることは知りませんでした。マキコミュプロジェクトを通じてますます多くの方と繋がり、力を2倍、3倍に膨らませ、おいしさを伝えていきたいと思っています。
《いしのまき農家の加工品について》
JAいしのまき 女性部 矢本地区 フレッシュミズ会
会長 平 綾子 様
監事 辺見 恵巳子 様
   相澤 幸美 様
 私たちが生産する野菜には、出荷するもの以外に、曲がっていたり、大きさがバラバラの規格外品もあります。見た目がちょっと悪いだけで、掛けた手間も味も変わりません。
 普段私たちが食べている農家の味を皆様にもお届けしたく、今回「いしのまき農家のキッチン」と題したシリーズ商品の開発を進めています。
 第一弾として「樹上完熟トマトジャム」と「キュウリと塩昆布の旨味」を商品化しました。
 「樹上完熟トマトジャム」は樹の上で完熟させた甘みたっぷりのトマトを使用しています。トマトの甘みを活かすため砂糖は極力減らしました。
 「キュウリと塩昆布のうま煮」は形や太さがバラバラのキュウリを使い塩昆布と合わせました。ごはんのおかずにも酒肴にもぴったりです。
 また「焼き肉のタレ」の商品化にも取り組んでいます。農産加工実習で以前から作っていたものですが、ぜひ商品化してほしいとの要望が寄せられました。野菜と旨味と愛情がたっぷりのタレで、醤油味と味噌味があり、から揚げの下味、野菜炒めにも合います。秋限定の柿を使ったタレも開発中です。
 今後イベント等を通じてテスト販売も行います。「いしのまき農家のキッチン」で食卓を笑顔にしていきたいと思います。マキプロを一緒に盛り上げてまいりましょう。
 また、歓談のあと、司会者により、会場の出席者への一言インタビューが行われた。
 
 生産者代表のパスカファーム立沼 代表取締役の佐藤正様は、
 「マキコミュプロジェクトという大きなプロジェクトに巻き込まれた生産者として、巻き込まれてよかったと思えるようがんばっていきたいです」とコメント。
 
 東北 食の力プロジェクト理事の佐々木強太様は、
 「調理や盛りつけ、演出などにより、お店というメディアを通して、例えば普通のトマトだって特別なトマトにできるかもしれません。石巻の食材のおいしさと魅力を伝えていきたいです」とあいさつ。
 
 石巻市6次産業化・地産地消推進センターの桜井一美様は、
 「石巻は稲作と水産がメインだというイメージが強いかなと思いますが、このプロジェクトではもっとたくさんある食材の新しい味わい、または古くて新しい食べ方なども多くの方に知っていただけたと思っています」と語った。
《閉会挨拶》
JAいしのまき 代表理事専務 新田 静志 様
ことし(2015年)のお米は、猛暑と豪雨を乗り越えて力強く育ったお米で、食べていただいた方からも高い評価をいただきました。TPP合意などで農業環境も変わっていくかもしれませんが、それらも乗り越えられるお米だと信じております。
 また、マキコミュプロジェクトでも6次化商品などを開発し、石巻産ブランドの食材を県内外に、そして海外にも提供してまいりたいと思います。
 ますますの消費拡大に皆様のお力添えを賜りたく存じます。
《インタビュー点描》
生産者代表
パスカファーム立沼 代表取締役 佐藤 正 様
 私は水稲を中心に露地野菜などを栽培しています。お米はひとめぼれと餅米のミヤコガネです。
 生産者としては、販売は農協さんなどにお任せしていたという感じですが、このプロジェクトではもっと消費者に近づいて、私たちの思いが伝えられたらと考えます。
 また、こだわって作っている生産者も多いので、どんなふうに食べてもらえるのかなといったことや、どう評価していただけるのか、そういう点にも注目していきたいと思っています。これまではそのような機会がなかなかなかったので、プロジェクトの中で出会いの場のようなものを作っていけたら張り合いも出ますし、嬉しいです。
《インタビュー点描》
東北 食の力プロジェクト 副理事長 八尋 豊 様
 飲食店は、リアルなメディアだと思っています。私たちが野菜をはじめ食材を、どう発信していけるかがポイントだと思います。
 マキコミュプロジェクトでの「東北 食のプロジェクト」の役どころは、大きく言えば飲食店フェアの開催です。飲食店仲間をとりまとめて、石巻産の野菜を使ったメニューを各店舗で提供してまいります。
 「東北 食のプロジェクト」の始まりは、話せば長くなりますが(笑)、簡単に言うと、東京のメディアさんが「宮城を元気にしよう」と仙台で開催した街コンがキッカケ。その時、飲食店を含む異業種のメンバーが集まりました。その後も自分たちの力でもっと宮城を元気にしていきたい、飲食店仲間も集まったのだからということで、食を通じて元気を発進する活動を続けています。
 私のお店は野菜に特化した店舗で、生産者と直接やりとりもさせていただいています。生産者、消費者、そして飲食店の関係はフィフティフィフティ。励まし合い、支え合いながら、進めてまいりたいと思います。そして、たくさんの方に旬を感じてほしいですね。
《インタビュー点描》
石巻市6次産業化・地産地消推進センター 代表 片岡 修一 様
 私たちは市内の生産者の方、もしくは生産者組織の方々が新たに6次化商品などに取り組むときお手伝いをさせていただいています。その一つとして、マキコミュプロジェクトもサポートしてまいります。
 生産者の方々は消費者の声を聞く機会が少なく、商品化や販売などに活かし切れていないと思います。この距離をもっと近づけられるようにマッチングを行い、販売の現場でも活動できる環境づくり、商品開発のためのノウハウ習得、人材育成なども一緒に取り組めたらと思います。
2015.10.13「JAいしのまき/平成27年産いしのまき米新米試食会」おわり

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