ふくしま農業フェアー in ワンダーファーム
ふくしま農業フェアー in ワンダーファーム
~「ふくしまプライド」を胸に~
日時:平成28年(2016年)7月8日(金)~9日(土)
   開会セレモニー:8日(金)10:30~11:00
   フェアー:8日(金)11:00~15:00/9日(土)10:00~15:00
会場:いわき市 ワンダーファーム 森のマルシェ
 
 5年前の東日本大震災は、強震や津波にとどまらず、原子力発電所事故をも引き起こし、福島県をはじめとする広域において1次産業へ深刻な風評被害をもたらした。
 しかし、福島の農業者は負けてはいない。農家と料理人のタッグ、県内農家の連携と協働、地域のリーダーを目指す農家同士のユニットなど、新しい出会いやつながりが次々に生まれてきた。そしてさらに、加工業者やマーケッター、デザイナー、プランナー、サポーターなど多くの人々が結び付きあいながら、今、福島では、未来を見据えた新しい農業をつくり出し、ここ福島から発信しようという動きが大きくうねり始めている。
 2016年7月8日と9日、いわき市にある複合型農業テーマパーク「ワンダーファーム」の野菜や加工品の直売施設「森のマルシェ」で、福島県の農業の未来を担う3つの若手農業者団体が集まり、農産物や加工品を販売するイベント「ふくしま農業フェアー in ワンダーファーム ~『ふくしまプライド。』を胸に~」が開催された。
 出店した団体は、いわきの農業と食文化を守るために生産者と料理人がタッグを組んで加工品づくりとブランド創出に取り組む「いわき6次化協議会」、次世代の農業者を創ることを目的に地域の枠を超えて県内広域の農家が集う「Cool Agri」、チームとして切磋琢磨しながら農業ファンの獲得と地域農業のリーダーを目指す「福島魁-プロジェクト」の3団体。
 合言葉は「ふくしまプライド。」
 福島の大地で農業をしている誇りを胸に、6次化商品開発や販路開拓、連携などに挑戦しながら、次世代の農業をも見据えた新しい農業の形をつくろうという頼もしい農業者たちである。
 
 「森のマルシェ」のテラスにはそれぞれの販売ブースが設置され、各団体自慢の加工品やとれたての野菜が並べられた。そして、マルシェ開会宣言の後、会場を訪れたお客様に商品の特徴やおすすめのポイントを語ったり、試食を勧めたり、あるいは食べ方や調理方法などを情報交換したりしながらの販売会となった。
 自信を持って商品を語る生産者。地元にまだまだたくさんあったおいしさに気付かされて笑顔になるお客様。初日の8日は梅雨も中休み。やわらかな空色の風が吹き渡るいわきの森辺に、おいしさを語り合う、明るい賑やかな声が響いていた。
 
《主催者挨拶》
株式会社 ワンダーファーム 代表取締役 元木 寛 様
 本日のフェアーは、「復興応援 キリン絆プロジェクト 農業支援」でつながった3団体で共催します。
 震災から5年。福島の農業は厳しい局面に立たされ続けてまいりましたが、これまでの努力の積み重ねもあり、首都圏への出荷なども少しずつできるようになってまいりました。きょうの3団体は、まさに「福島のうまいもん」を取りそろえております。「ふくしまプライド。」を合言葉に集ったメンバーたちの、文字どおりプライドをかけた商品を味わっていただき、当施設へおいでいただいたお客様をはじめ、またメディアを通じて、福島の元気を広く知っていただけたらと考えます。
《来賓挨拶》
福島県 農林水産部 食産業振興監 橋本 典男 様
 皆さまのご努力により、県内外ともに明るいニュースを見聞する機会が増えてまいりました。例えば、全国新酒鑑評会では、福島県の日本酒が4年連続で金賞の受賞数日本一となりました。また、避難地域の一部でも米の出荷が再開され、漁業では試験操業できる魚種の数も73品種に増えております。風評被害に対し、そうじゃないというPRも続けてまいりましたが、福島の食のおいしさと魅力を全面に出して行こうというフェーズに入っております。
 福島の食の6次化を進めていく大きな拠点でもあるワンダーファームで農業フェアーが開かれるということは、復興の確かな歩みと農業者の力を伝える貴重な機会です。県もまた、態勢をさらに整え、国内外に福島県の産品の魅力をPRしてまいりたいと思います。
いわき市 農林水産部 農業振興課長 西丸 巧 様
 風評被害はいまだ続いているように感じられますけれども、ことし(2016年)5月20日にグランドオープンされたワンダーファーム様におかれましては、県内の6次産業化を目指す農家のリーダーとして、大きく育っていただきたく願っております。 いわき市もまた、市単独の施策である新農業生産振興プランの中で、どんどん支援してまいりたいと考えております。 一緒に頑張ってまいりましょう。
《団体紹介と挨拶》
一般社団法人いわき6次化協議会
 私たちの活動は、料理人と農家の出会いから始まりました。自分は生産だけを行っていて、加工について興味はあったものの手をつけられずにおりました。しかし、加工のプロである料理人と組むことで、一度は「価値のない野菜」というように見られてしまった福島の野菜が、単なる野菜ではなくなり、価値ある加工品として生まれ変わりました。
 この活動を自分たちだけのものにしないで、福島県内外の農家を対象とした食ラボ、研究所として立ち上げたのが、「いわき6次化協議会」です。
 活動規模はまだ小さいですが、夢は大きく、食と農で福島県を日本一に、そして世界を目指して活動してまいりたく思います。
一般社団法人 Cool Agri
 私たちは、福島から日本の農業を元気にしていきたい、次世代の農業者を育てていこうという思いで活動を続けております。
 法人化する前、浜通り、中通り、会津の農業者が集まって、ビニールハウスの中で会議を開きました。共通の課題として浮かんだものはやはり「次の世代」のことと、農業のイメージがあまり良くないのではということでした。また、福島県の農産物があまり認知されていないということもあげられました。
 私たちは、野菜づくりは得意でも、表現があまり上手ではありません。そこで「全部魅せます! オープン農業」というキャッチコピーを作り、まず地元の人たちに地元の味を知ってもらおうという事業を始めています。売ることの前に、まず繋がりを作って、私たちもニーズを学び、作戦を立てていくことが重要と考えました。
 魅せるという意味では、エプロンなどもしっかり作り、表現し、また農家だから知っているおいしい食べ方の提案なども発信していきます。プロの料理人向け、また消費者向けのツアーも今秋開催予定です。地元の産品を食べることで地域が守られるということも知っていただけたらと思います。
福島魁-プロジェクト
 私たちは、「東北復興 農業トレーニングセンタープロジェクト」の第一期生と第二期生6名のメンバーで構成されています。地域農業のリーダーになるために学んだのだから、それを実践する場を持ちたい。成長して行きたい。それが私たちチームの目的であり目標です。農業のファンを一人でも多く つくり、消費者と近付くこと。それが福島の農業の魁になると考えました。チームとして学び、切磋琢磨し合う仲間です。
 どうしたら農業を強くすることができるのか、どうすれば売れるのか、自分たちだけで考えるのではなく、様々な人を招いたり、あるいは研修へ行ったりと、多くの人や地域を巻き込んで活動しています。それが自分たちの成長にもなる。リーダーになるために試行錯誤を繰り返しています。
 私たち6農家の6次化商品を組み合わせたオリジナルギフトセットも開発しました。福島のおみやげとして選ばれる商品を作っていきたいと思います。
《激励の言葉》
公益社団法人日本フィランソロピー協会 事務局長 落合 敦子
 農業トレセンや絆プロジェクトなどで、キリングループ様とご一緒させていただきながら、私たちもまた、農業者の皆さまの真摯な思い、プライド、温かい仲間、そしてパワーなどをいつも感じながら、勉強させていただいております。きょうは福島の農業がますます発展していくためのキックオフイベントです。2日間の短い時間ですが、盛会になりますことを楽しみにしたいと思います。
《マルシェ開会宣言》
キリンビールマーケティング株式会社 福島支社長 橋本 岩男
 農業王国・ふくしまの将来を担う若手経営者の皆さまのお話しを伺い、とても頼もしく感じました。今朝から準備をされている様子も楽しそうで、また多くのお客様がお見えになっております。このイベントを通じて「ふくしまプライド。」を、ぜひ全国へ発信していっていただきたいと思います。
 では、ワンダーファーム様のトマトジュースで開会宣言の乾杯とまいりたいと思います。乾杯!
《インタビュー点描》
福島魁-プロジェクト 代表 寺山 佐智子 様
 ギフトセットは、6農家それぞれが作った6次化商品を単独で売るのではなく、シーンや使い勝手やプレミア感を考え、また消費者モニターも行い、それを踏まえて工夫しています。また、発売から1年が過ぎて、パッケージングなども、だいぶ垢抜けたかな。消費者の方とのふれ合いが増えて変わったところですね。農作物を作る、加工する、販売もする。すっと手にとっていただける仕組みも考えていかなければいけません。ファンを獲得し、さらに高みを目指していくことがこれからの農業には必要だと考えます。
 チームとしては、もう30種類以上の6次化商品を開発しています。農業者が団結することで、もともと持っていた商品もブラッシュアップしたり、見せ方を変えたり、組み合わせたりしながら、壁を打ち破っていきたい。そして消費者の理解を得て、もっと繋がって行けたらと思います。
《インタビュー点描》
一般社団法人 Cool Agri 代表理事 大野 栄峰 様
 メンバーは34名です。県全域の農家が集まったというのは、東北はもちろん全国でも珍しい例だと思います。Cool Agri というのは、皆が作った農産物を皆で売っていこうという共通ブランドです。
 生産者は違うけれど、同じシールを貼り、箱を揃えて魅せていこうという発信の仕方です。モノだけが中心だった流通も、作り手の紹介やPOPなどで生産者も前面に出して行きます。
 販売に関しては、団体としての Cool Agri としては B to B を目指して、飲食店や小売店を相手に皆で売っていく考えです。次世代の農業者を育てるという目標へのステップ。味だけ、形だけではなく、作る側の思いも知っていただきたいです。そうすれば、これまで普通に食べていた野菜の味も、きっと違って感じてもらえると思います。まずは地元の方に愛されること。全国に流通できる便利な時代ですが、地元だけで消費できるなら、地元で完結させたい。地産地消で、地元の方に農と食を守って もらう。それだけで十分と思いますね。
 
《インタビュー点描》
一般社団法人いわき6次化協議会 副会長 Hagiフランス料理オーナーシェフ 萩 春朋 様
 キリン絆プロジェクトでいただいたご支援で、加工品を真空化できるミキサーを導入しました。私たちの商品である「焼きねぎドレッシング」は、中の酸素を抜き、密度が上がり、さらに大型のモーターで 攪拌するので、添加物を使わないで自然の乳化を進めることができました。難しかったのは濃縮ミキサーの能力がすごく高いため、コントロールするのに数か月かかったことです。
 商品は現在4種類です。今夏にはジャガイモのビシソワーズも開発予定ですし、青ネギのドレッシングにも挑戦したい。カラフルなラインナップになると思います。
 自分たちの強みは原材料を持っていること。まずは自分たちの作物を使ってみて、これまでなかった商品を出していきたい。「焼きねぎドレッシング」はフランスの大統領の厨房でも調理に使われました。「なかった商品」として提案できる強みですね。
 いろいろな意見をいただいたら、すぐ修正したり改良したりできるのも私たちの良さだと思っています(笑)。多くの方の意見を伺い、そして巻き込みながら、みんなで作った商品にしていきたい。仲間が増えていけば、いわきの人が「これ、いわきのおみやげだよ」と、他の地方の人に自信を持って勧めてくれる声も大きくなっていくと思います。
《インタビュー点描》
株式会社ワンダーファーム 代表取締役 元木 寛 様
 きょうは初めて県内の幅広いエリアから集まっていただき、「オールふくしま」という形で県産品を販売するという意味で、非常に意義あるイベントだと感じています。5月20日のグランドオープン以来、いわき市の農家の方々にはこうした対面販売をしていただきましたが、市外の農家の方々にもこうした機会を提供できて嬉しく思っています。
 私自身も生産者です。ワンダーファームが県内の農家さんのプラットフォームのような、ハブとなりうる施設にしていきたいというのが目的の一つです。販売だけでなく、体験スペースを使った新しい チャレンジもしていただいて、たくさんのつながりが、ここから生まれてきたら嬉しいですね。
2016.07.08~09「ふくしま農業フェアー in ワンダーファーム」おわり

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