ササニシキ田植え と さなぶりイベント
日時:平成27年5月8日(金曜日) 11:00~13:00
会場:宮城県東松島市大曲 株式会社「ぱるファーム大曲」の水田

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東日本大震災に伴って発生した大津波に冠水した東松島市大曲地区。
農地は膨大な瓦礫に埋もれ、塩害も被ったが、国と宮城県、そして東松島市と地域の米生産者らの懸命な努力により、被災から4年を経て、今年は新たに約60ヘクタールの水田で水稲の栽培が再開される。
5月8日、同地区の田んぼの一角で、宮城発祥の水稲であるササニシキの田植えと、田植え後の祝いの会である「さなぶり(早苗饗)」が開催された。キリンビール株式会社は、5月19日より、全国9工場ごとに味の違いや個性を楽しむことができる地域限定「一番搾り」を発売する。同社仙台工場でも、宮城の食材の旬のおいしさを引き立てるビールとして、宮城県産ササニシキを副原料とした「キリン一番搾り 仙台づくり 仙台工場限定醸造」を製造・販売する予定で、今回のイベントは、その紹介と、地域の復耕を祝うものであった。
田植えには、村井嘉浩 宮城県知事、菊地潔 JA全農みやぎ県本部長ら、約100人が参加し、ササニシキの苗を手植えした。そして、その後のさなぶりでは、籾殻かまどで炊いた香り高い炊きたてのササニシキや、宮城の海と大地で収穫された恵みから作られた美味しいおかずが参加者にふるまわれ、青空のもと、舌鼓を打った。
田植えの会場となった水田を提供した「株式会社 ぱるファーム」大曲は、復興応援 キリン絆プロジェクトの第1ステージにて生産再開のための農機具を贈呈した農業法人のうちの一社であり、おかずの食材を提供したのは、同プロジェクト第2ステージで支援している「JAいしのまき」「JFみやぎ」「石巻うまいもの発信協議会」の方々であり、籾殻かまどで炊きたてのご飯をふるまったのは、明日の農業経営者を育てる「東北復興・トレーニングセンタープロジェクト」を受講した「有限会社 くりこま高原ファーム」の加藤社長や「農業生産法人 田伝むし」の木村社長であった。キリングループが震災直後から取り組んできた、農水産業への復興支援のつながりと広がりが感じられるイベントとなった。
水張り田んぼに植えられた若苗が風にそよぐ。眺める誰もがそっと目を細める。そして秋には、黄金色の穂波が5年ぶりに輝き渡るだろう。懐かしい大地の原風景がまた一つ、宮城に戻ってくる。
1・開会式
【主催者挨拶】
キリンビールマーケティング株式会社 執行役員 東北統括本部長 伊藤博之
伊藤博之氏東日本大震災後、ぱるファーム大曲様をはじめ、宮城県・JAの皆様のたいへんなご苦労で、やっと田植えが行われるまで本日の農地を改良することができましたこと、そのご努力に敬意を表します。
_5月19日、キリン一番搾り 仙台づくりを発売いたします。東北産のホップを使い、宮城県産のササニシキを副原料に使いました。食材王国みやぎの食に合った、飲みやすくおいしい味に仕上がりました。今日はまた、JAいしのまき様、JFみやぎ様のご協力も得て、おいしい海の幸山の幸とともに、ササニシキを試食いただく機会も設けております。
_私は今春、東北に赴任してまいりましたが、その年に、こうして皆様と一緒に田植えができますこと、感慨深く思っております。
《 来賓挨拶 》
宮城県知事 村井嘉浩 様
村井嘉浩氏東日本大震災から4年。被災農地の85%で除塩を含む復旧工事が完了し、平成26年度の水稲作付面積は約9割にまで回復いたしました。こうして水の張られた田んぼを眺めますと復興の手応えを感じ、感慨もひとしおです。
_キリングループ様には、90年以上に渡るキリンビール仙台工場の操業を通じて本県経済に多大なご貢献をいただいておりますほか、震災後は寄付金や救援物資の提供のほか、「復興応援 キリン絆プロジェクト」 においては農業機械や養殖施設、農水産物のブランド育成支援などにご協力を頂戴しております。
_また、JA全農みやぎの皆様は、営農指導や販路開拓など、第一線で農業の復興を支えられ、ぱるファーム大曲様は、新たな地域農業の担い手として東松島の復興に大きな力をいただいております。
県といたしましては、国の新たな農業政策をふまえ、経営規模の拡大などの推進、民間ノウハウの活用、6次産業化などへの支援をしてまいる所存です。
《 来賓挨拶 》
JA全農みやぎ 県本部長 菊地 潔 様
菊池 潔氏宮城県全体では震災から5度目の田植えとなりますが、当地での田植えは5年ぶりです。
キリングループ様には、震災直後から農機具をご提供いただくなど多大なご支援を賜りました。また、国と県、特に村井知事の牽引力により、ここまでやってまいりました。JAグループといたしましても、たくさんの絆の中で復興に努めてまいりました。
_ササニシキは生誕53年目と記憶しておりますが、この石巻地方は県下一の生産量を誇っております。主役を立てる宮城県人の気質でも言いますか、冷めてもおいしいササニシキも、ネタの味を引き立てる寿司米などとして多くの引き合いがございます。
_これからも生産者の皆様と一緒に、末永く作り育ててまいりたいと思います。
2・田植え
開会式の後、村井知事ほかの参加者は、田植え方法の説明を受けたのち、圃場の一角にササニシキの苗を手植えした。

《 田植え後のコメント 》
宮城県知事 村井嘉浩 様
津波によって大きな被害を受けたこの東松島市の大曲地区ですが、ガレキを片付け、除塩作業も終わり、田植えができるまでに回復しました。田植えは初めてで、田んぼの中があんなに歩きにくいとは思いませんでしたが、今日はいい汗をかかせていただきました。
_これからどんどん、おいしいお米を作っていただきたいなと思います。また、宮城県のおいしい米から、素晴らしいビールもできあがる。飲む楽しみも増えました。
JA全農みやぎ 県本部長 菊地 潔 様
あれだけの被害があったこの地区での田植えです。感無量。うれしい限りです。
_半世紀の歴史があり日本を代表する銘柄米・ササニシキをビールづくりに使っていただけること、県民の皆様にも味わっていただき、喜びを分かち合いたいなと思います。
キリンビールマーケティング株式会社 執行役員 東北統括本部長 伊藤博之
キリンビール仙台工場は震災で大きな被害を受けながらも、いち早く操業を再開することができましたが、大曲地区の生産者の皆様は、たいへんな苦労をされ、今日のこの田んぼ5年ぶりの田植えとなります。そんな中、宮城県のササニシキを副原料に使用した一番搾りを発売できますこと、たいへんうれしく思います。
通常の一番搾りよりも後味が切れるような感じで、飲みやすく仕上げております。ぜひ宮城のおいしい食材とともに味わっていただけたらと思います。
_また、農業生産者の皆様が生産したものを、全国の皆様にいかにしてお伝えしていけるか、ということも、キリン絆プロジェクトのこれからの使命と考えています。
3・さなぶりイベント
この日のさなぶりイベントでふるまわれたササニシキは、「籾殻かまど」を使って炊かれたもの。「籾殻かまど」とは、文字どおり籾殻だけを燃料とするかまどのことで、鋳鉄製の組み立て式。移動や持ち運びもでき、イベントなどで活躍するだけでなく、非常時の炊き出しなどにも役に立つ。 今回は、「くりこま高原ファーム」の代表取締役 加藤 洋氏と、「田伝むし」の代表取締役 木村 純氏が、かまど2基で6升を炊きあげた。
また、JFみやぎ(宮城県漁協)からはホヤの酒蒸しや、銀鮭の照り焼き、鮭フレークなどを、JAいしのまきからは地元産の野菜をたっぷり使い、そして地元で醸造された味噌で味付けした豚汁やお漬け物、ササニシキのおむすびなどが提供された。炊きたてごはんと山海の恵みのおいしさに、誰もが顔をほころばせた。
 
《 インタビュー点描 》
株式会社ぱるファーム大曲 代表取締役社長 木村裕幸 様
多くの方のご支援や応援をいただいて圃場の除塩も終わり、また、倉庫や農機具といった施設・装備も整えることができました。あとは前を向いてがんばっていくしかないというのが今の気持ちです。
_昨年は40ヘクタール、そして今年は新たに除塩が終了したこの田んぼを加えて合計60ヘクタールに作付けしました。今秋にはさらに40ヘクタールほどの工事が終了し、ようやく被災前の広さに戻る予定です。
戻るということは規模も大きくなること。でも、一枚の区画も大きくなって、作業はやりやすくなったかなと思います。しっかりと、いい土を作っていきたいなと思います。
株式会社ぱるファーム大曲 常務取締役 熱海修市 様
ぱるファーム大曲は、平成24年、被災した農家4人で立ち上げ、米づくりは平成25年、つまり昨年の春から順次再開しました。復旧工事の進み具合もあり、一気に再開というわけにはいきませんでした。
_昨年は40ヘクタールの田んぼで、ササニシキ、ひとめぼれのほか、山形県生まれのつやひめ、そして餅米であるミヤコガネなどをつくりました。塩をかぶってしまった土地ですので復旧工事には時間がかかりましたが、できあがった米は昔のようにおいしかった。
_一度は諦めかけた米づくりですが、仲間と一緒になり、そして多くの支援をいただいて、やっとここまでやってきました。こんな田植えイベントができるまでになったことは涙がでるほどうれしい。おいしいお米をつくり、そして地域の元気や絆を生んでいく、そんな農業を目指していきたいです。

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