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・これまでの贈呈先
社会に役立つ寄付を行なった人を顕彰する『まちかどのフィランソロピスト賞』。第12回(2009年度)は、全国から一般部門に47件、青少年部門に15件のご推薦をいただき、選考委員による書類選考とピアリング選考を経て、次のとおり贈呈先が決まりました。
贈呈式は、2009年11月30日(月)に学士会館(東京都千代田区)にて開催しました。
集合写真
◆ まちかどのフィランソロピスト賞
濱崎 一途(はまさき かずと)さん
(高知市)
<贈呈理由>
 
賞状贈呈
濱崎一途さんは、2004年10月より高知市帯屋町の路上で詩を作成、それを筆で色紙に書いた作品を販売しており、2005年からは、その売り上げから、自身が11年間過ごした児童養護施設をはじめ、高知県内の同様の施設へ毎年一施設ずつ、10万円分の書籍や本棚、スポーツ用品などを寄贈している。
 
自身が施設で育ったことに引け目を感じていた濱崎さんであったが、会社員生活時代にかけられた「苦労したんだね」という言葉をきっかけに心が溶けたという。施設に入るまでの辛い時期を思うと、むしろ施設での生活への感謝の念がふつふつと湧いてきた濱崎さんは、あるスポーツ選手が自分の育った施設に寄付をしたという新聞記事を読み、自分にも何かできることがないかと考えるようになった。その後、路上詩人の先駆者である軌保博光(のりやす・ひろみつ)氏の書籍に出会い、独学で詩作を開始、軌保氏ご本人から背中を押され、路上での詩作活動をスタートした。
 
濱崎さんのこの生きざまは、今日、増え続ける不遇な子どもたちに対して、それを跳ね除け、むしろ自らの力として生き抜くことへのエールを贈るものとして、『まちかどのフィランソロピスト賞』にふさわしいものである。
 
大川 瑜美子(おおかわ ゆみこ)さん
(兵庫県芦屋市)
<贈呈理由>
 
賞状贈呈
大川瑜美子さんは、社会福祉法人日本聴導犬協会(本部・長野県上伊那郡宮田村)への寄付や支援を2002年から継続している。設備購入のための寄付に加え、自宅の一部を提供し、同協会の関西支部として活用されている。
 
きっかけは、薬剤師として病院を経営する夫を支え、二児を育てるという超多忙な長年の生活が、10年ほど前に夫の急逝で断たれたこと。虚脱感、喪失感で茫然自失の状況を見かねた友人の勧めで地域のライオンズクラブに入会し、ボランティア活動をスタートさせた。
 
そこで7年前に聴導犬協会の活動を知り、会長やスタッフ、犬たちの活躍ぶりに胸を打たれた大川さんは、寄付とともに自宅提供を申し出た。同協会はそのおかげで、全国規模の団体として法人格を得ることができた。寄付をすることで得られたつながりと生きがいに、「感謝」の言葉を連発する大川さんの素直な喜びに満ちた笑顔が、同協会のスタッフに力を与え、よりよい活動の原動力にもなっている。
 
自宅を団体の事務局などに提供するという寄付の形は、今後の支援のあり方の良きモデルにもなるものである。大川さんの「感謝する力」が、託される団体、受益者の心を興し、そのつながりがさらなる力になるという好循環は、『まちかどのフィランソロピスト』のひとつの理想形を体現したものとして、賞賛に値する。
◆ 特別賞
岩隈 久志(いわくま ひさし)さん
(東北楽天ゴールデンイーグルス投手)
<贈呈理由>
 
賞状贈呈
岩隈久志さんは、2008年には両リーグ23年ぶりの21勝を挙げる投手三冠を果たし、2009年の第2回ワールドベースボールクラシックでは日本連覇の立役者の一人として活躍した現役野球選手である。
 
大阪近鉄バファローズ在籍中の2002年から児童養護施設訪問を続け、2005年に東北楽天ゴールデンイーグルスに移籍後は、毎年宮城球場に年間シートを10席購入し、養護施設の子どもたちを招待している。夫人が結婚前に保育士を目指していた影響も大きく、環境に恵まれない子どもたちへの支援を惜しまずに続けている。
 
また、知り合いからNPO法人ハビタットフレンズ仙台を紹介され、2007年から1勝ごとに10万円を寄付している。2008年6月に発生した岩手・宮城内陸地震では、その直後の交流戦でのMVP獲得賞金100万円全額を被災者に寄付。同年8月には、スマトラ沖地震で被害を受けたタイの学校に30万円を寄付し図書館を建設した。
 
岩隈久志さんの幅広い社会貢献活動は、野球ファンのみならず、多くの若者に、自分の仕事や暮らしの中での寄付が、結果的に自分自身の力になっていくことを示すさわやかな好事例として、賞賛に値するものである。
◆ 青少年部門
新発田中央高等学校 吹奏楽部
(新潟県新発田市/しばたし
<贈呈理由>
 
賞状贈呈
新発田中央高等学校吹奏楽部は、チャリティー・キャンペーンとしての演奏会の収益金を、1981年から地元新発田市、社会福祉協議会、児童養護施設、障害者施設、高齢者施設等へ寄付し続けている。毎年12月に開催される演奏会の入場料、パンフレット協賛広告代、また同会場でのバザー売上げ、募金をすべて寄付金とし、28年間の累計額は1,000万円を超える。
 
きっかけは、吹奏楽部自体が、保護者の「寄付」による楽器購入で発足できたことにある。その後、部員たちから自発的に「社会のためになることをしよう」という声があがり、現在まで続いている。
 
この活動は、質の高い演奏を地元の人に聴いてもらい、多くの人から寄付を集めて地元へ貢献することを目的にしている。そこには、生徒の自発的な意思を土台に、学校や教師、親の支援、行政や地域住民、卒業生の協力が存在する。
 
部活動の一環として始まった寄付が、同校の文化として定着し地域全体に広がっていくプロセスは、本来、青少年が持つみずみずしい感性と実直な行動が、まっすぐに周囲の人の心に入り、共感を得ることを示すものであり、同時に全国の青少年に力強い勇気を与えるものとして、『まちかどのフィランソロピスト賞 青少年部門』にふさわしいものである。
◆ 贈呈式
日時:
2009年11月30日(月)18:00~20:00
会場:
学士会館 210号室
<所在地> 東京都千代田区神田錦町3-28
<最寄駅> 都営地下鉄三田線、新宿線、営団地下鉄半蔵門線「神保町駅」A9出口徒歩1分
プログラム:
18:00~19:00 贈呈式
 ・まちかどのフィランソロピスト賞 贈呈
 ・受賞者ごあいさつ  
 
19:00~20:00 懇親会
マリンバ演奏
マリンバ演奏
 栁沼 輝さん
 日本アムウェイ合同会社主催
 One by One アワード受賞者
(障がいのある子どもたちの活動を称える賞)
 
第12回 まちかどのフィランソロピスト賞 実施要項
募集チラシ
クリックするとダウンロードできます。
第12回まちかどのフィランソロピスト賞推進募集チラシ
趣旨
阪神・淡路大震災以来、日本社会でもボランティアの活躍が目立ってきております。一方、ボランティアの影に隠れて見過ごされがちですが、社会に役立ちたいという思いをこめて寄付を行なう人も決して少なくありません。
 
こうした寄付はフィランソロピーと呼ばれ、特に米国ではとても盛んです。しかし、日本では寄付した人も目立ちたくないとか、陰徳こそが好ましいといった価値観に支配されやすく、また寄付金に対する優遇措置が極めて未整備なこともあり、寄付の実態がよく分かっていません。
 
そうした状況下で、当協会は、社会のために私財を投じた人を顕彰する『まちかどのフィランソロピスト賞』を1998年に創設しました。この賞を通じて、私財を社会に役立てた人を顕彰し、日本の社会の中に寄付文化を根付かせ、さらに、日本ではほとんど知られていなかった善意の寄付の実態を、少しでも明らかにしていくことを目的にしています。
対象
《一般部門》
 ・社会のために私財を投じた個人またはグループ(金額の多寡は問いません)。
《青少年部門》
 ・社会問題解決のために寄付活動(募金活動含む)をした
  18歳未満の個人またはグループ(学校単位も可)。
 
《対象期間》
 ・2000年1月1日から現在まで
ご応募
《ご応募方法》
 ・当協会所定の推薦書用紙にご記入の上、下記事務局へご送付ください。
 ・他薦に限ります。
 
《ご応募締切》
 ・2009年7月10日(金)消印有効
選考
《選考方法》
 ・書類審査および訪問審査(ヒアリング)
 
《選考基準》
 ・次のいずれかを満たすもので、寄付額を競うものではありません。
  (1)フィランソロピー(人類愛)にふさわしい寄付であるもの。
  (2)社会のために大変役立っているもの。
  (3)寄付にあたって、人々を感動させるようなエピソードをもつもの。
 
《選考委員》
委員長
四方 洋
町田市民病院事業管理者、元サンデー毎日編集長
 
東 富彦
日本電気株式会社
 
大坂 葉子
キッコーマン株式会社
 
中川 康
関西電力株式会社
 
中島 健三
大阪ガス株式会社
 
畠山 礼光
株式会社リコー
表彰
《贈呈品》
 ・一般の部、青少年の部各1名(またはグループ)に
  『まちかどのフィランソロピスト賞』として賞状と記念品を贈呈します。(賞金はありません)
 
《贈呈式》
 ・2009年11月下旬に東京都内にて開催します。
事務局
《ご応募書類お送り先・お問い合わせ先》
  社団法人日本フィランソロピー協会
  『まちかどのフィランソロピスト賞』事務局
  担当:藤原 由佳子(ふじわら ゆかこ)
 
  〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル244区
  TEL: 03-5252-7580--FAX: 03-5252-7585
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公益社団法人 日本フィランソロピー協会
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