
早いもので、今年も残すところ1か月となりました。アベノミクスで景気が上向いてきたとはいえ、まだまだ厳しいところも多いのではないでしょうか。特に地方の商店街などは、郊外型の大型ショッピングセンターの進出などもあって、通行人の数が減ったところも少なくありません。
そんな中、新たな取り組みで商店街に人を呼び戻そうとするところも出てきました。たとえば、熊本県本町の中心部にある下通(しもとおり)商店街では、今年の7月からLINEを使った地域活性化プロジェクトを始めました。LINEと聞くと、若い方が利用するスマホのアプリという印象がありますが、実は幅広い世代で利用されているのです。男性、女性で比較するとほぼ半々の割合に分かれますし、年齢で見ても、10代から40代の各年代と、50歳以上の方々全てが、12~15%と大きな差はありません。下通商店街に店を構える店主も、8割が利用しているといいます。
下通商店街が利用しているのは、いわゆる一般向けのLINEではなく、商用サービスの「LINE@」というものです。LINEの公式アカウントと比べて導入費用やランニングコストが安いことから、小規模の店舗などで活用されているサービスです。主な利用法は登録してくれた顧客に向けてのメッセージやスタンプの一斉配信で、このほか、フェイスブックのようなタイムラインで情報を発信することもできます。「いいね」やコメントをもらうこともできるので、顧客の反応をダイレクトに受け取れるというメリットもあります。一般にはない機能では、「PRページ」というものがあり、クーポンの作成や誘導メッセージの作成ができ、開封率や使用率の管理も行えます。
しかし、先進的な技術を利用すれば商店街が活性化できるわけではありません。LINEも結局はコミュニケーションツールのひとつでしかありません。むしろ相手の顔が見えないからこそ、フェイストゥフェイスのコミュニケーションよりも、基本を大切にしなくてはいけないと思います。オリンピックの最終プレゼンでも話題になったおもてなしの心や、相手を思いやる気持ち。このようなフィランソロピーの基本ともいえるものが、地域活性化において何よりも大切なの
ではないでしょうか。LINEはそのおもてなしの心や思いやる気持ちを伝えるためのツールでしかないという土台がしっかりしていれば、このプロジェクトは成功するかもしれません。
多くの方に頷いていただけると思いますが、商品を買ったりサービスを利用したりするとき、単に価格や機能だけで決めるわけではありません。そこには、多かれ少なかれその商品やその人、その店への信用があるはずです。当然ですよね。信用できない人や店からは、誰も物を買おうとは思いません。そして、信用を作るのはおもてなしや思いやりの心のようなフィランソロピーそのものであると私は思います。
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