主催:公益社団法人日本フィランソロピー協会
共催:毎日新聞社、
特定非営利活動法人日本クリニクラウン協会
共催:毎日新聞社、
特定非営利活動法人日本クリニクラウン協会

2014.12.27
大輔へ
枚方市立蹉跎(さだ)中学校3年1組 伊藤優太郎
今回紹介するお便りは、中学生が授業の一環として「あなたが将来、結婚し、子どもをつくろうと決断。子どもが授かった」と仮定して、その子どもに向けた「未来への手紙」を書いてみようという趣旨で書かれたものです。
大輔、やっと生まれて来てくれたな。大輔が生まれて来る前から、僕はうれしいこともあったし、つらいこともたくさんあった。もう毎日とても大変だった。でも、そんな大変な時に、僕はいつも大輔が生まれて来ることを考えていたんだぞ。
最初は本当びっくりしたな。お医者さんに、大輔がおなかにいますよって聞いた時は。それはもう幸せだった、今までで一番幸せだった。それでな、僕はその時思ったんだ。大輔は、どんなことがあっても、僕が守るって。
あれから10か月、本当にいろんなことがあった。時には社長に怒られたし、時にはママとケンカしたし、時には熱で仕事を休んだりしたし、本当にいろんなことがあったけど、本当に生まれて来てくれて、ありがとう。
これから毎日楽しく過ごそうな。
2014.12.20
初産
あんこ
まさき、無事に生まれてくれてありがとう。妊娠13週のとき、仕事も家庭も妊娠も頑張り過ぎて多量に出血。夜中の病院であなたの心臓がイソギンチャクのように、ドクンドクンドクンと動いているのを見て大泣きしました。
妊娠20週のとき、ケーキを食べた私のおなかの中で、規則正しくトクントクントクンとしゃっくりをしました。うれしくて早くあなたに会いたいと思いました。するとあなたは、本当に私の中から出てこようとしました。急いでおなかをなでながらまだ待っててね、大きくなってでてきてね。何度もお願いをしました。あなたは、なんて素直な子どもでしょう。私のおなかから出てこられないぐらい大きくなって予定日を過ぎ、結局妊娠41週と5日に生まれました。
あなたの声を聞き、あなたを見たとき、目から知らぬ間にツツツーと涙が出てました。それから半年。どんぐり眼で私のおなかの上を自信満々ではいはいをするあなた。抱き上げるとギュッと私の首に巻きつく柔らかな腕。大きな自分の声を聞いて笑っているあなた。あなたが、いとおしくてたまりません。
泣きあり、笑いあり、ズッコケ母ちゃんだけれど、素直なあなたを産んで幸せです。
2014.12.13
生まれたばかりの莉香(りこ)へ
あいかわのおじいちゃん
6月のまばゆい陽(ひ)に向けて 豊かな時を刻みながらその日の未明 あなたは生まれた ここの世界にちっちゃなヴィーナスのすがたになって
ママの名はユカリ きっと一身に痛みとよろこびとを同時に知ったママ だからあなたもここの世界に よろこびと痛みをともに感じて生まれた
パパの名はタロー ここの世界は明るいばかりではないけれど間違いなくあなたは愛の化身
このいっぱいの緑に香る風も ずっとあなたを待っていた 遠くからの あふれるほどのメッセージを届けるために
そのメッセージの1通が今 あなたのちいさな耳もとに そっと触れる…すこやかに育ってね とささやいて
2014.12.06
ひいくんへ
ひいくんのお母さん
ひいくんがおなかにやってきた時、お母さんは「無事に生まれてきてくれればいいよ」と思いました。そして、ひいくんが無事に生まれてきてくれてからは「健康に育ってくれればいいよ」と思いました。
それなのに、ひいくんが1歳を迎えた今は、あの子はもうおしゃべりできるのに。あの子はおとなしくごはん食べてるのに。どうしてひいくんはできないの? と思うようになってしまいました。
ひいくんができないことを数えて悩んでました。けど、違うよね。ひいくんができるようになったことを、数えて一緒に喜んでいくのが幸せだよね。だってあんなに小さかったひいくんが、自分の手足でよいしょとつかまりだちし、お母さんにニコニコほほ笑みかけてくれるようになったことが奇跡なんだもの!!
お母さんだって「あのお母さんはできるのになんであなたはできないの?」なんて言われたら悲しくなっちゃうよ。そんな当たり前のことが見えなくなっていたよ。
今、ひいくんがすやすや眠る顔を見ながら、この気持ちを忘れないように手紙を書きます。一緒にゆっくりでいいから、できること増やしていこうね、ひいくん。
2014.11.29
22年前 誕生したばかりの君へ
やぎ
君は、自分の誕生が、成長が、命そのものが、私たち両親をなにほど変えていくか、まだ知らないでしょうね。お母さんのおなかから離され、1人で呼吸して生きていこうと一生懸命だったものね。私は本当に弱くて、不安を募らせるばかり。「出産」を自分も普通にできるものと疑いもしなかった。
なのに臨月に入ったばかりの定期健診で、エコーを診た先生が「赤ちゃんが息をしていない!」と。即帝王切開になった。ただただ、混乱した。携帯もない時代、お父さんに連絡がつかず、おじいちゃんが承諾サインをし、2時間後には手術。局部麻酔で、もうろうとしながらも音は全て聞こえていた。自分の体から大きなモノが取り出され、先生方がパンパンたたく音がたまらなかった。
「お願い、声をあげて! 息をして!」と動けないまま願い続けた。そして「オギャー」と、か細い声が聞こえた瞬間、涙がせきを切った。君はすぐにNICU(新生児集中治療室)に運ばれていった。およそ1か月後、不安を抱えての退院、一喜一憂の生活が始まった。度々の緊急入院、ほかの子より遅い成長など、語り尽くせない。それでも確実に「笑い」と「安心」が増えていっていた。
そんな君が、22年後、元気で立派な大人になっているんだよ。君はお父さんお母さんに数えきれない大切なことを教えながら、22年目の誕生日を迎えているよ。素晴らしいよ。大丈夫、安心して、ゆっくり育っておいで。
2014.11.22
愛しい明日加ちゃん
あっちゃん
明日加(あすか)ちゃん、1歳のお誕生日、おめでとう。
明日加ちゃんは、ばあちゃんの18年ぶり、3人目にして、初めての女の子の孫として生まれてきました。お母さんがあなたを身ごもった時、色々と心配していました。お母さんは40歳、高齢での初産。世間では出生前診断の是非論、また、風疹が大流行していました。元気に生まれてくるだろうかと……。
お母さんのおなかの中ですくすくと育ったあなた。いよいよ出産の日がやって来ました。思った以上に陣痛が長引き、2人のおばあちゃんたちが交代でサポート。26時間後、あなたは誕生しました。もう、うれしくて助産師さんに抱かれたあなたとの対面、涙がこみあげて来ました。1か月健診の後、お父さんの待つ山口へ帰って行きました。
ミルクを飲み、目が見え、笑うようになり、寝返りをし、離乳食も食べ始め、毎日毎日成長していく様子を、お母さんがメールや電話で知らせてくれていたので、成長が手に取るように見えるようで、同じくらいの赤ちゃんを見ると、あ~この位なんだな~と思ったり。最近はあちこちへ移動したり、あれこれイタズラもし、お母さんを困らせている様子ですね。でも元気な証拠! 頼もしい限りです。
お父さん、お母さんはじめみんなの愛情を一杯受け、元気で、やさしく、思いやりのある女性に育ってください。ばあちゃんは70歳を超えていますが、出来ればあなたの花嫁姿を見るまで元気でいたいと思っています。
2014.11.15
待ち望んで生まれたのよ
可愛い3人のママ
我が家の3人の可愛い子どもたち。お姉ちゃんは10歳。お兄ちゃんは8歳。そして今月、初めての誕生日を迎えるおちびさんのあなた。
3人の子どもが欲しいと、結婚した時にパパと話していました。ママは、あなたを妊娠する4年前、おなかの中で育たなかった赤ちゃんとお別れし、そのもう少し前にも悲しいお別れをしていました。どうやら、ママの体が赤ちゃんが育ちにくい環境になっていたことが分かりました。お医者さんに通ってもう諦めかけた時、あなたの妊娠が分かりました。
嬉しくて嬉しくて、涙が出てきました。だけど、妊娠8か月まで出血が続いて、気が気ではありませんでした。それでも、あなたはママのおなかの中で立派に成長してくれて、元気に生まれて来てくれました。本当にうれしくて感動しました。周りでは、兄弟の年齢差にびっくりした人もいるけど、ママたちはあなたに待ちに待って望まれて生まれて来たんだよって、胸を張って育って欲しいと思います。お姉ちゃん、お兄ちゃんもあなたにメロメロです。
もうすぐ、あなたの初めて誕生日がやってくるね。元気に育ってくれてありがとう。おじいちゃん、おばあちゃんたちと、盛大にお祝いするからね!
2014.11.08
愛するあなたへ
あなたのばあちゃん
ことし12歳になるあなたは、生後2日目に乳児院に入り、1歳半の時、今のお父さん、お母さんのところへ来ました。初対面の時、目をくりくりさせ、キョトンとしていましたね。
お父さん、お母さんは、里親探しを行っている家庭養護促進協会へ通い、あなたと巡り会いました。生後8か月の時、毎日新聞大阪版の「あなたの愛の手を」シリーズに顔写真が載りました。「あさこちゃん」として紹介されていましたね。
何回か乳児院でのスキンシップ、週末里親のお泊り体験を経て、その後家庭裁判所のお世話で「特別養子縁組」が成立し、晴れて娘夫婦の子、私たちの孫になりました。優しい両親、あなたは本当に幸せです。
しかし、きょうここに至るまで、私の娘であるあなたのお母さんは、神経内科に通うほど大変なのですよ。おなかを痛めた我が子でも思い通りにならないのですから、いきなり母親になるのは、並大抵のことではありません。幼稚園の時、どうもほかの子たちと違うところが目立ち、人の言うことも聞いていないようなので、市のサポートセンターを訪ね、自閉症であることがわかりました。出自、発達障害、ふびんなあなたに涙したものです。
絵を描くのが好きで、心のやさしいあなたです。これからいろんな困難もあるでしょう。今でもことあるごとに助けを求めてくるお母さんのためにも、じいちゃん、ばあちゃんは老骨にむち打って力になるつもりです。
2014.11.01
生まれてきてくれてありがとう
渡部ゆかり
あなたがおなかにいることが分かる少し前、ママは夢を見ました。小さな子がマンションから出てくるパパとママを遠くから見ていて、「2人の子どもに生まれることを、すごく幸せだと思う子にもうすぐ会えるんだよ」ってニコニコしているの。その夢を見た2週間後に、あなたがおなかにいることが分かりました。とっても不思議だったけど、あの子はきっとあなただったんだと思っています。
2か月前、ママは初産だったにもかかわらず、あなたは4時間という早さで生まれてきてくれました。まるで「こんな狭いところから早く出るんだ! 生きるんだ!」という強い意思が伝わってくるかのように。そして生まれた初日からおっぱいを片時も離さず飲んでいて、うまく飲めないときの泣き声は人一倍。そんなあなたは何ごとにもせっかちで、食べることに貪欲で、生きるエネルギーがあふれている、あなたのパパによく似ているの。今もおっぱいをくわえたままスヤスヤ眠るあなたを見て、プッと吹き出しながらママは幸せを感じています。
あなたが生まれてきてくれて、自分の世界がとても鮮やかになってきたと感じています。忙しい毎日に追われて、いつの間にか生きる喜びや未来への希望を忘れかけてしまっていたけれど、何もかもがキラキラしていた小さいころを取り戻すように、あなたがそれを思い出させてくれています。
まーくん、ママのところに生まれてきてくれてありがとう。大好きだよ。
2014.10.25
一緒に歩こう
すぎの木
あなたは、パパの透析治療が日に日に近づく中、私たちのもとへ降りてきてくれました。通院のたびに状態が悪化していき、そんな中あなたは私たち家族の希望でした。
ある日の妊婦健診を終え、元気なあなたの様子をパパに伝えると、本当にうれしそうに笑ってくれたのをよく覚えています。ついに透析なしでは生きられなくなったパパの体を思う一方で、ママのおなかの中ではあなたが元気に動き回っていて、命の不思議さと、そして尊さをあの時つくづく実感させられました。
そして去年の夏、無事あなたを出産、その4か月後にパパは腎移植。周りの家族の支えもあって皆でこの大きな試練を乗り越えることができました。
手術が近づくにつれ、ママは不安でいっぱいだったけれど、パパは弱音ひとつ吐きませんでしたよ。これからお姉ちゃんとあなたの成長をたくさん見たいから、前だけを向いて歩いていたように思います。あなたたち2人の存在がパパとママを強くしてくれましたよ。ありがとう。
あなたはもう1歳。ご飯をよく食べ、元気に動き回って、お姉ちゃんに負けないくらい大きな声も出せるようになりましたね。毎日バタバタで正直ホっと息つく間もないくらいで、疲れることも……。だけどママもパパもこれが幸せ。当たり前の毎日が、当たり前に送れることに感謝しながら、これから一緒に歩いていこう。
2014.10.18
いつか生まれて来る君に
おこん
お父さんもお母さんも、君がおなかに宿ってくれる日を待っていますよ。お父さんとお母さんは早く一緒になりたくて、まず二人で暮らし始めました。若い二人は生活するだけで精一杯だったと思います。でも、4か月後、私たちに約束した通り、籍を入れ、1年後結婚式をあげました。かわいいお嫁さんに、すらっとしたお婿さんでお似合いのカップルです。
お母さんは小さい子が大好きで、自分に妹ができたときは、大喜びで「抱かせて!」と何度もねだっていました。だからかな……、今は保育士です。お父さん、お母さんはともに働き者で、3年たって、今は生活も少しずつ安定してきて、ようやく家族がもう1人ほしいなと思えるようになりました。友だちが結婚し、赤ちゃんが生まれると自分のことのようにお祝いに行ってます。でも、自分に赤ちゃんができればこんなうれしいことはないと、言っています。だから、あとは君が現れるのを待つだけです。
いつか生まれてくる君に、お父さんもお母さんもそして、おじいちゃん、おばあちゃんもエールを送っていますよ。
2014.10.11
ぶぅ? ぶぅ?
姫ばぁ
「ぶぅ? ぶぅ?」
生まれて10か月の初孫、七穂(ななほ)ちゃんの最近のお気に入りの言葉だね。離乳食を食べては「ぶぅ? ぶぅ?」。これは「おいしいよ!」かな? 本棚から本を全部出して「ぶぅ? ぶぅ?」は「やったー。全部出せた!」かな? 愛犬のふーちゃんを見て「ぶぅ? ぶぅ?」は「可愛いね」かな?
姫ばあは、いつもそうやって想像して聞いてますよ。もしかしたら、「ちがうよー」って言ってるかもね。とにかく全部「ぶぅ? ぶぅ?」だね。ほんとにかわいい「ぶぅ?ぶぅ?」です。
姫ばあは、どこから「ぶぅ? ぶぅ?」が、やってきたのか不思議でたまりません。だって誰も教えていないのに、七穂ちゃんが、気持ちや感情を表現するときに出す言葉なんですもの。きっと宇宙から届いた、たった一つの大事な言葉だと思っています。
これから、いっぱい、いっぱい言葉を覚えていく七穂ちゃん。その言葉をいっぱい、いっぱい聞かせてね。姫ばあは、楽しみでしかたありません。どんなおもしろい、びっくりするような言葉が飛び出してくるのか、わくわくします。
「ねえねえ、姫ばあ、聞いてえ」って七穂ちゃんが、言ってくれる日はきっともうすぐね! 「なあに? なあに?」って言える日を待ってるよ。
2014.10.04
45歳のあなたへ
静 澄子
あなたは予定日より1か月早く生まれた1,800グラムの小さなかわいい赤ちゃんでした。保育器の中で精一杯生きようとしていたあの時のあなた。何の心配もなくすくすくと育ち、入園・入学。
ところが、入学前の健診の結果、校医より思いもよらない言葉を伝えられたのです。心臓に雑音が聞こえます、20歳まで危険ですと……。目の前が真黒になり信じられませんでした。病院で再検査をし、手術することを決めたのです。
心配していたあなたは、立派に成人し、良きパートナーに巡り会いました。今は亡き父とバージンロードを歩いていた、あの時のあなたの笑顔は忘れることはできません。きっと幸せになるんだよと胸をなでおろしました。
2児の母となり、すばらしい家庭を築いているあなたに、今はただ健康でいてほしいと思います。たまには孫と遊びに来てください。生まれてきてくれてありがとう。
2014.09.27
大きな産声に涙
藤山順子
家族でタイに行ってもう3か月になりますね。ゆきなちゃんが生まれてもうすぐ6年。
お日様がカンカン照る夏の暑い朝、ママが検診に行ってすぐ「もうすぐ生まれるから」と電話がありました。ばぁばは、予定日までまだ1か月もあるのにとびっくりしました。
兄ちゃんの手を引いて病院にかけつけてしばらくすると、2,190グラムの小さい赤ちゃんが生まれました。低体重児といって大きな病院に行かないといけないかもしれないと、看護婦さんに言われ、とても心配しました。
でも1時間ほどして、「体は小さいのに元気で一番大きな声で泣いているので、大きい病院に行かなくても大丈夫ですよ」と言われた時は、涙がポロポロ出ました。いっしょに行ったお兄ちゃんと、新生児室でゆきなちゃんを見ていて、ばぁばが泣くのを、お兄ちゃんは不思議そうな顔で見ていました。
翌日、ばぁばは第1号の手紙を書きました。4歳になる兄ちゃんがうれしそうに、ベッドのそばで大きな声で元気よく読んでくれました。兄ちゃんは、ゆきなちゃんが生まれて来るのを楽しみにして、いつもおなかをさすりながら、幼稚園のことなど、いろいろとお話をしていたと、ママから聞きました。退院の日、雨あがりの空に大きな虹がかかって、ゆきなちゃんの誕生を祝福してくれているようでした。
2年後、どんなお姉ちゃんになってタイから帰ってくるのか楽しみに待っています。
2014.09.20
子どもが生まれたら
伊藤優太
この手紙は高校の授業のなかで「あなたが将来結婚をし、子どもをつくろうと決断して、子どもを授かった」と仮定し、その子ども向けに手紙を出すとの趣旨で書かれました。
僕は子どもに優しい子に育ってほしいと思います。他人の痛みがわかり、どんな人に対しても優しい人に育ってほしいです。立派な人になれとは言わないけれど、真剣に生きてほしいです。
命は限られたものだから、大切に生きてほしいです。何でも好奇心を持って挑戦して自分の人生を切り開いて行ってほしいです。そして、悔いのない人生にしてほしいです。
子どもの名前は、男の子だったら「優(ゆう)」と付けたいです。僕は、子どもが生まれたらいろんなところにいっしょに行きたいと思います。公園に行ってたくさんの遊具で遊んだり、ボール遊びをしたり、自転車の乗り方を教えたいです。
ほかに遊園地に行っていろんな乗り物に乗りたいです。男の子だったら、サッカー観戦や、野球観戦に行きたいと思います。子どもが大きくなったら、何でも話し合える親子になりたいと思います。
今から楽しみです。
2014.09.13
わたしと将来の旦那さんの赤ちゃんへ
阿部稜子
この手紙は高校の授業のなかで「あなたが将来結婚をし、子どもをつくろうと決断して、子どもを授かった」と仮定し、その子ども向けに手紙を出すとの趣旨で書かれました。
あなたがおなかにいるとき女の子と分かり、あなたの名前を「咲華(さきか)」と決めました。あなたの一生が華やかになりますようにという願いを込めてです。咲という字は、あなたが春生まれだから。そして、春の花のようにのびのびと育ってほしいと思うからです。
あなたが生まれたとき、おばあちゃんもおじいちゃんも大喜びしました。あなたの誕生日は、わたしがママになった誕生日。パパもパパになった誕生日。本当にうれしいです。
あなたがいてくれることで今も笑顔になるし、毎日の笑顔が増えていきます。あなたには、いろいろ願いたいことがあるけれど、一番は健康でいてほしいです。わたしは素直でないところがあるけれど、あなたはパパに似て素直な子に育ってくださいね。
これからいろいろ大変なことがあると思うけれど、いつでもママとパパは咲華の支えになるから頼ってきていいんですよ。だって、ママとパパの子どもは世界に一人、咲華だけで、咲華のママとパパも世界にここにしかいないんですからね。
ママとパパは咲華に出逢えてとても幸せです。生まれてきてくれてありがとうね。一生の宝物です。一生大切にします。大好きです。ママとパパより
2014.09.06
生まれくる君へ、育ち行くあなたへ
加藤朱桜(あけお)
この手紙は高校の授業のなかで「あなたが将来結婚をし、子どもをつくろうと決断して、子どもを授かった」と仮定し、その子ども向けに手紙を出すとの趣旨で書かれました。
私のおなかの中にあなたがいるとわかったとき、家族みんなが飛び上がって喜びました。私自身は涙が出るぐらいうれしい半面、不安でいっぱいになり、眠れなかったことを今もよく覚えています。
妊娠がわかってから1、2か月は、自分がお母さんになるという実感が全くわきませんでした。しかし、おなかが大きくなるにつれて、私の体には私の命とあなたの命、二人分の命があるんだ、家族が増えるんだ、お母さんになるんだと実感しました。
あなたが生まれてくるまで、あなたのパパと毎日のように、あなたに語りかけていたことがあります。みんないつでもあなたのことを笑顔で待っているから、元気に生まれてきてね、それだけでママとパパはうれしいです。あなたには届いていましたか? きっと届いていたんだね、あなたは大きな産声をあげて元気に生まれてきてくれました。痛みを忘れさせてくれるくらい大きくて元気な産声でした。あなたが生まれてきてくれたことは、今までで一番、いやこれからも一番、うれしくて一生忘れません。
私とパパは、あなたに、みんなに優しくできて、あいさつができる、ありがとうと、ごめんねを言える素直な子に育ってほしいです。一番はやっぱり元気よく健康に育ってくれること、それだけで十分です。
最後に、本当に生まれてきてくれて、私をあなたのお母さんにしてくれてありがとう。
2014.08.30
記念日が誕生日
来栖早紀
妊娠7か月のある日、お母さんはおなかが痛くなりました。病院に行くと、あなたはお母さんのおなかの中で元気に育っていました。でも、お母さんのおなかから外の世界へ出ようとしていたのです。
それからというもの、お母さんはあなたがおなかの中で心地よく暮らせるように、仕事を辞めてお薬を飲みながら寝たきりの生活を送りました。お父さんはお母さんが休めるように、仕事から帰ってくると洗濯をして夕飯も作ってくれました。
おじいちゃんたちとおばあちゃんたち、伯父さんは、心配して会いに来てくれたり電話をかけてきてくれたりしました。
そして、みんなが待ちに待った臨月になりました。いつも「まだおなかにいてね」と言っていたけど、初めて「もういつ出てきてもいいよ」と、おなかにいるあなたに言いました。
2か月ぶりの外食、お父さんとのデート、買い物、部屋の片付け、ずっと出来なかったことを全てやりきった次の日。予定日より少し早く、お父さんとお母さんが恋人同士になった記念日に、あなたは生まれてきてくれました。
4年目の記念日が、あなたの誕生日になり、お父さんとお母さんは幸せいっぱいになりました。生まれてきてくれて、みんなに幸せをありがとう。
2014.08.23
まなちゃんへ
なべ
きょうはまなちゃんの生まれた日になります。
あと何日待つのかなと思っていましたが、急にお母さんのおなかを切って生まれることになりました。お父さんもお母さんもまなちゃんに会いたくて会いたくてたまりませんでしたけど、まさかきょうだとは思っていなかったので、心の準備ができていなく、びっくりです。
お父さんは今、お母さんがまなちゃんを産んでいるのを待っているところです。こんなにうれしいことは初めてなので、とっても不思議な気持ちです。会えるのがうれしくて、うれしくて涙が出ます。
きっともうすぐ扉の向こうから、生まれて初めてのまなちゃんの泣き声が、聞こえてくるはずです。思いっきり泣いてください。お父さんにも聞こえるように思いっきり泣いてください。まなちゃんが産まれたことを、世界中の人に知ってもらえるように、思いっきり大きな声で泣いてください。
待っています。待ち切れません。大好きです。まなちゃんのお父さんは、世界で一番まなちゃんのことが大好きです。
2014.08.16
未来の僕へ
浪久千春
ひつじ年に羽をつけて生まれてきた、翔生(かける)へ。
ことし初めに、真っ赤な立派な革の手帳を手にした君は「僕の手帳」と決め、大事なことを書き綴って来ましたね。
もっぱら、今大事なことは、新5年生になって面食らうほど増えた塾の勉強のこと。今の子は大変です。追われて、追われて、毎日、疲れたの連呼です。これは、私にも責任があります。もっぱらの話題は成績のこと。元気が何より、とほほ笑んで見守ることを、いつのころからか忘れてしまいました。
きょうから皆新しくなるんだよ。君もきょうからがほんとの5年生だよとあなたに言った4月1日、その晩のこと。きいてほしいんだけどと赤い手帳を開き読んでくれましたね。
「僕から未来の僕への一言。未来の僕は成績がもっと上がってお母さんとお父さんの笑顔を見てるかな、上がったお祝いにお寿司食べてるかな……」と。そして、最後に「どんな子を好きになってるのかな」と締めくくりました。
成績不振。お父さんの表情にも……やっぱり反省してないね。めげてないね。そこが、あたなの良い所と悪い所だと言うことを思い出しました。赤い手帳の中には、恋することに、ときめく、あなたが一杯でした。
そんな、あなたが、とっても素敵です。
2014.08.09
暁に生まれた君へ
金星
学歴や職業が違いすぎるという理由で親から結婚を反対されていた私たち。そうは言っても孫ができれば親は変わるんだから、先につくっちゃえば?。という友人の言葉を口に出した私に、あなたのお父さんは言いました。
「子どもってそういうものじゃないだろ」
私は恥ずかしくなりました。でもその言葉がとてもうれしくて、この人と生きていきたいと強く思いました。
その後お父さんは何度も頭を下げ、話し合い、行動で示し両親を納得させて入籍、結婚式をあげることができました。
入籍からわずか4か月で妊娠が分かってからは、お父さんも、おじいちゃんも、おばあちゃんも、あなたと私が元気かどうか、毎日のように気にしてくれていたんですよ。
出産予定日前日から陣痛が来て入院したのに、なかなか出てきてくれなかったあなた。日付が変わるのを待っていたかのように、結婚する前から決めていた名前の通り、出産予定日の明け方に生まれてきてくれました。おかげで勤務時間が不定期なお父さんも立ち会えました。
勝手ですが、あなたがここに来るのをずっと待ってくれていたんだと思えてなりません。私たちのところに来てくれて本当にありがとう。あなたが生まれてきてくれた時、たくさんの人に、ものに、何かに感謝したことをいつかあなたにも伝えたいのです。
2014.08.02
父と母にしてくれた君へ
創ちゃんママ
あやすと笑う君を傍らに思う。私たちを父と母にしてくれてありがとう。なかな か子宝に恵まれず、なぜ自分たちには授からないのか悩み苦しみました。君を授 かったと知った時、私はうれしくて涙が出るころを人生で初めて感じました。そし て、君のことを守ると心に誓った日です。
妊娠中は強いつわりに加え、愛犬を相次いで2匹亡くし、悲しみに暮れる中、 君は力強くおなかを蹴りつづけた。まるで、「僕がここにいるから悲しまない で」と伝えるかのように。君の存在が元気をくれました。君に初めて出会えたあ の日の幸福感は、今でも忘れられません。お父さんもうれしくて涙していたよ。
気がつけば、君を抱けるまで5年が経過していました。君と出会えて4か月、 3時間おきの授乳にオムツ交換、泣きぐずり、大変なことはたくさんあるけれど、 それ以上に君の成長がうれしい。おしゃぶりをした日、おもちゃが握れるように なった日、笑った日、首がすわった日。君はたくさんのことを私たちに教えてくれた。 命の尊さ、人と比べることの愚かさ、あきらめない心、他者を思いやる心。日々の 生活で忘れがちなことを改めて感じることができた。
君と会えずに苦しんだ日々も、君との最高の出会いのための準備期間だったと 思える。私たちを父と母にしてくれてありがとう。君とこれからたくさんの思い出 を作っていけることを幸せに思います。
どうかこれからも健やかに育ちますように。
2014.07.26
大丈夫、マイフレンド!
志鷹豪次
桜前線の便りとともに娘が嫁ぎました。家族が1人少なくなった生活になかなか慣れず、ポッカリ空いた心に桜風は少し冷たいものです。ようやく、普段の生活を取り戻しかけた5月の節句、娘から妻へ1通のメール。
「お母さん。少し体調が優れないので病院に行ってきます」
機転を働かせ妻は娘の元へ。仕事を終え帰宅すると、真先に妻から報告がありました。「あなた、早ければ年内に家族が1人増えるかも…」
それは、まだ見ぬ赤ちゃんへの心もようの始まりでした。「赤ちゃん……」。そう言われても私は我が子を2人授かってはいましたが、仕事に明け暮れ、妻と子の退院の日も義父にお願いする有様。娘が赤ちゃんの時、しっかり我が子と向き合っていたのか。当時を思うと胸が詰まります。
「ヨシ!赤ちゃんに向き合う宣言だ」。ボクはここに娘の赤ちゃんに向き合い、赤ちゃんと一緒に成長することを誓います。これまで我が子に接して来なかった過ちを正し、笑っていても、ぐずっていても、ボクは赤ちゃんの守り人になります。
【まだ見ぬ赤ちゃんへ】あなたには、お父さんとお母さんがいますが、その後ろで少し頼りないお爺ちゃんがいることも見ていてくださいね。これからよろしくお願いします。
「大丈夫、マイフレンド!」
2014.07.19
双子っていいな
数独大好きばあちゃん
「お母さん、双子やて!!」病院から帰ってきた娘の言葉にビックリ!!
「エッー どうしよう、大変や!!」
待ち望んだ2人目の孫。約3か月の入院生活もしたけど、無事出産。かわいい双子のあなたなちが生まれてきたんだよ。
最初は思った以上に大変だったけど、日に日にかわいくなっていくあなたたちを見ていると、忙しいのも気にならず喜びでいっぱいだったよ。
「赤ちゃんがほしい、ほしい」といつも言っていたお姉ちゃんも、もうすぐ5歳になるというころに妹が2人も出来たので大喜び。2人にミルクを飲ますのが大変だからと飲ますのを手伝ってくれたんだよ。
ばあちゃんがいちばん感動したのは、あなたたちを向かい合わせにすると2人で笑い合うんだ、それも声を出して。その姿がとてもほほえましく、愛らしくばあちゃんも見ていて笑いが止まらなかった。双子ってこういうことをするんだね。ひとりがおもちゃを持つと、それを目がけて突進して行ったり、取り合いもするけど、これから大きくなっていって2人で遊べるし、けんかもするだろう。でも本当に双子で良かったなあといつも思うよ。
ばあちゃんも長生きして、あなたたちの成長をずっと見守っていくからね。
2014.07.12
トロイメライ
モコのママ
結婚して2年目。待ち望んでいた赤ちゃんをおなかの中で育てている時、お父さんが胎教に良いからとシューマンの「子供の情景」のレコードを買ってきました。その中の「トロイメライ」が母はとり分け好きで、1日に何度も聞きました。おなかに手をあてて「聞こえる? ママ、これがとっても好きなんだ」と語りかけました。
生まれてからはゆっくりとレコードを聞く時間などなく、あなたが物心ついてからは専ら幼児向けのレコードばかり。そのあなたが大学生になったある日、少し興奮ぎみに、母に話したこと。
「友だちと喫茶店でお茶してたら、ある曲が流れてきたの。それが初めて耳にしたはずなのに、なんだかすごく懐かしいような。昔から知ってるような曲だったの。マスターに尋ねたら『トロイメライ』だって。私、この曲、すごく好き。」
母は心の中でヤッホーと叫びました。すぐさま話してあげました。すっかり忘れていたこのエピソードを。
あなたはえーっ!と言ったきり、母の顔をじーっと見つめていましたね。温かいものが二人を包みこみました。
あなたが結婚して8年。まだ子宝には恵まれないけれど、いつか小さな命が宿ったら、必ずトロイメライを聴くでしょう。私と同じ言葉を語りかけるでしょう。おなかの子に。
2014.07.05
ゆうせいくんが、ひいさんと呼んでくれる日
ひいさん
あなたは、母ちゃんのおなかにぽっと花の芽のようにさずかりました。でも、その2日後、母ちゃんは切迫流産で絶対安静となったのです。ひいさんは松山から浜松まですっ飛んでいって1か月間、母ちゃんを見守りました。
ゆうせいは、おなかの中でよく踏ん張りましたね。あなたは、きりっとして、しっかりとした顔立ちで生まれました。あなたの父ちゃんもそうでした。父ちゃんはよく泣き、よく食べ、よく笑い、よく動き回り、ひいさんを手こずらせました。昔のきかん坊が、5か月になったゆうせいを宝物のように抱いています。
松山と浜松。はなれていてそんなに会えないけど、父ちゃんはひいさんに「また遊びに来いよ」と言ってくれ、母ちゃんは、ゆうせいの写真をメールでいつも送ってくれます。その写真を、ひいさんは、じいじや、ひいじい、ひいばあにも見せてあげます。みんなの顔がゆるみます。
ばあばという呼び方じゃなくて、名前のひいさんって呼んでほしいな。だって、まだ、ばあばにはなりきってないもん。祖母だなんて、まだピンとこない。ゆうせいが父ちゃんくらい大きくなったら、ばあばでもいいけどね。
ひいさんって、そう呼んでくれたとき、ひいさんはうれしくて、きっと泣くだろうな。
