主催:公益社団法人日本フィランソロピー協会
共催:毎日新聞社、
特定非営利活動法人日本クリニクラウン協会
共催:毎日新聞社、
特定非営利活動法人日本クリニクラウン協会

2018.12.29
華鈴(かりん)ちゃんへ
ハッピーバーバ
今にもはちきれそうなおなかが、時々ピクピク動いています。この中に私のひ孫、華鈴ちゃんが入っているのですね。87歳。ばあばはここまで生きるとは思っていなかったし、ましてひ孫のあなたに会えるとは、夢にも思っていませんでした。
私の子育ての頃は、おむつをいっぱい干して、きょうみたいに雨の日は、乾かすのにひと苦労でした。今は紙おむつとやらで、洗わずに皆捨ててしまうのやそうですね。乳母車も「ベビーカー」とか言ってすてきで、だっこひもも、ほんとによくできていておどろくばかりです。
どうぞ元気で強い子に生まれてくださいね。そして世の中が暮らしよくなって、あなたたちが育ちやすく、空気もお水もきれいになりますように、平和がいつまでも続きますように。政治もがんばって、格差社会も何とかしていただけますように。毎日神様にお祈りしています。
ばあばはきょうまで元気で来られたことを感謝し、可愛いあなたに会える日を楽しみにしています。
2018.12.22
あおと君へ
おばあちゃん
あおと君、この世界に来てくれてありがとう。ママのところに来てくれてありがとう。
ママはあなたに会えることを長い長い間待っていたのよ。やっと結婚したママはすぐにあなたに会いたいと思っていたのよ。でも会えずにママはいったん一人になってしまいました。ママはその頃よく泣いていました。あおと君のいとこのいっくんやめいちゃんをかわいがっていても、お仕事にがんばっていても寂しそうでした。
やがてママはまたあなたに会おうと決心、週末は、仲良くくらせるパパを探す日々になりました。でも30代も後半のママにはなかなかパパが見つかりませんでした。つらいこともたくさんあったみたいでした。でもついにパパと出会ったの。パパもあなたに会いたくて、2度目の結婚でした。
やっとママのおなかにあおと君が来てくれた時はみんなびっくり、とってもうれしかったよ。うまれるとき、あおと君はなかなかママのおなかから出られずにママは死にそうな目にあいました。今はママも元気になってよかったね。やさしいママでよかったね。
あおと君がおすわりをして、おばあちゃんを見て笑うと幸せが広がるよ。「あおと君、この世界に来てくれてありがとう」って毎日のようにいってるよ。ママに「またいってるね」と笑われながら。
2018.12.15
お父さん、ママになったよ
斎藤望
私は秋になるといつも父のことを思い出します。
大きな温かい手。稲の匂いのする9月末、父は2週間の検査入院をすると家族に話しました。まだ小学校3年生だった私は、父のあぐらの中に納まって聞いていました。下から見上げる父の顔、そしてつないだ手のぬくもり。空高い10月、父は検査入院の最中に病状が急変し天国に旅立ちました。
ことしも変わらずにまた秋を迎えました。お父さん、私、結婚したよ! そしてとっても愛(いと)おしい、女の子が生まれたよ。名前は結(ゆい)! 夫の手、小さな小さな結の手を両手に繋ぎ、川の字に寝ている時、この幸せなぬくもりにそっと父の手のぬくもりも重ねます。
いつも見守ってくれてありがとう。これからも天国で成長を見守ってね。
2018.12.08
孫へ
バーバー
あなたのことを一日千秋の思いで待ち焦がれています。あなたのお母さんは娘時代に病気になり、体力的に出産に少し不安を感じておりました。あなたの誕生を心待ちにしていましたが、なかなか授からず、悩んでいました。
願って願って授かりました。お母さんはあなたのことを大切に思っています。もちろん、おとうさんもおじいちゃんもおばあちゃんもです。どうぞ安心して生まれてきてください。
あなたは多くの人に幸福を授ける天使です。元気な声でこの世に誕生を宣言してください。みんな一緒に未来に進んでいきましょう。 あなたの人生はあなたのものです。決して大人の考えを押しつけることなく関わっていきたいです。あくまでもあなたをサポートできるとうれしいです。自分で人生を切り開ける人になってください。一緒に成長していきましょう。
待っています。
2018.12.01
はじめの一歩へ
こうちゃんのバーブシュカ
10月のカレンダーに赤丸をつけました。1歳4か月の孫の「こう」の保育園の運動会の日です。昨年の3月、96歳で母が亡くなり、翌4月に予定日より8週も早く、未熟児として生まれてきた「こう」。医療スタッフと両親に見守られ、約1か月半の保育器での生活の後、娘に抱かれて信州のわたしたちの前に現れました。
母の死と入れ替わりの「こう」の誕生は、生命のつながり、生まれてくれる喜び、生・老・病・死という人の一生のサイクルの奥深さを考えさせてくれました。
「やっちゃダメだよ。あぶないよ」という意味で、「メッメー!」と言って聞かせると、「ミミー!」と耳を指して「にやっ」と応じる抜群のセンス?。高速ハイハイからつかまり立ち、つたい歩きが「そろり」と一足、二足。10月の運動会のころには、文字通りのはじめの一歩のアンヨが始まることでしょう。
虐待で亡くなる赤ちゃん。爆撃で、難民として逃れる海で死んでいく赤ちゃん。同時代の厳しい現実の中に生まれてきた「こうちゃん」。新しい発見のときは、「オーッ!」と大声をあげ、何か理解できると「アーッ」と叫ぶ。「メーッ!」と言われることをやるときのいたずらっ子の目の輝き。
育ってください! 目の前にいなくても、思い浮かべるだけで頬がゆるむ幸せな「じいさんとばあさん」にしてくれた「こうちゃん」。世界を感じとって、小さな一歩を歩み出してください。
2018.11.24
誕生おめでとう。そして、ありがとう。
冠名(かんな)
「自然妊娠は、非常に難しい」。そう言われて、すがるようにして飛び込んだ世界でした。それからは、何パーセントという確率の繰り返しに、想(おも)いの全てを懸ける日々。結果に一喜一憂し、追いつめられていく心。感じたことのない不自然な張りや痛み。自分の身体に負担をかけているという自覚。積み重ねっていく治療費。聞けなくなっていく友人の近況。努力しても報われない現実。それでも、どうしても会いたかった。
10週を越えてからの健診で診断された繋留(けいりゅう)流産。2回目の妊娠で発覚した子宮頸管無力症。手術、その後も続く長期入院。ただひたすらに、無事に会えることを祈った結果、早産で生まれてくれました。
女性には、妊娠出産の適齢期があって、それは決して無視できないこと。医療の力では変えられない、どうしようもない状況もあるということ。どれだけ願っても、努力しても、叶わないことはあるということ。そして何よりも、一つの命が今ここに在るということは、奇跡の繰り返しなのだということ。いろんなことを知り、考え、感じた、長い日々でした。
「和夏(わか)」。あなたが生きるこれからの時代も、どうか平和な夏が訪れますように。誕生おめでとう。そして、ありがとう。やっと会えたね。
2018.11.17
コハちゃんとトキちゃん
二人のおばあちゃん
息子から、慌て声で「おかん、こども出来た、双子やねん」の電話。わぉー、2倍うれしいなと家中、大喜び。その2週間後、沈んだ声で「出産まで無事にもつかどうか、普通に育つか分からんらしい」という電話にぼうぜんとなりながら、無事にきっと生まれてくると信じ、祈った日々でした。
春の穏やかな心を持って、一時一時を感じながら育ってほしいとの願いをこめて、心春(こはる)と時男(ときお)と、パパとママが命名しました。コハちゃんとトキちゃん……何回も口ずさみ誕生を待ちました。
2人は9か月でデビューしましたが、すぐに2人とも新生児集中治療室(NICU)へ。ばあちゃんと握手できたのは、3か月たってからだったけど、大きな泣声で、抱っこした途端、うれしさのあまり、おばあちゃんも泣きそうになりました。
しかしその後、2人は生死を分かち、踏ん張ってくれたコハちゃんは今、2歳半。歩けるようになり、おしゃべりも上手になりました。色白の京美人を婆ちゃんが保証しますよ。「おばあちゃん、だっこ」の言葉やしぐさ。いろいろとお世話になった方々に感謝です。トキちゃんはお空の向こうでやんちゃにしているかな? 時々、おばあちゃーんと呼んでいる声を感じ、「はぁぃー」と自転車をこぎこぎしながらお空に向かって、手を振っています。
コハちゃんとトキちゃん、心はずっーと一緒だよ!
2018.11.10
赤ちゃんのために……
丸橋登代子
私たちの地方には、赤ちゃんが1歳を迎えて後、座れるようになったら、箕(み)という農具にソロバン、筆、本などの実用品を入れて、その中から一つを握らせるという習慣が残っていました。何を取ったのかは覚えていないが、私もしてもらったし、二人の息子たちにもさせた思い出があります。
無論、赤ちゃんは無意識で何かを握るのですが、周囲の大人たちは、興味津々でそれを眺めながら、赤ちゃんの将来を占うという風習です。ソロバンをとれば商人に向いている、筆をとれば学校の先生とか文筆業とか、あれこれと思いを巡らせて楽しむのです。赤ちゃんの将来というのに大きな大きな期待をかけ、それを楽しみ、夢をかけたのだと思のです。
しかし今、「明るい未来」はあるでしょうか。猛暑が来年、再来年とさらにひどくなり、子どもは虫を捕ったり、川や海で遊べなくなるかもしれません。私たち大人は、なすべきことを真剣に考えなければなりません。省エネに努め、車ではなく自転車を使う、地産地消で都会ではなく田舎生活を再考にする……。未来を明るいものにするため、私は大切だと考えています。
2018.11.03
まだ見ぬひ孫への手紙
よっちゃん
私と孫の年齢差は50歳。男2人で、すでに26歳と27歳の社会人になっている。私に似て男前で女性にモテると思う。
孫が生まれたとき、息子には50歳のおじいさんと冷やかされたが、私は孫に自分のことを親しく「よっちゃん」と呼ばせるようにした。そのため、孫は今も家に帰ると「よっちゃん、ただいま」と言ってくれる。他の人がいると、「よっちゃんて誰や」と聞かれるが、2人の孫はニヤニヤとして意に介さない。2人とも年ごろになり、いつひ孫が誕生してもおかしくない。楽しみに待っている。
私の妻は地方から就職で金の卵として大阪に出て来た。職場で彼女と出会い、当時、職場結婚はできなかったが、8年間勤めて、許しを得て、大恋愛の末結婚した。私も彼女も23歳だった。私は孫たちにもよき青春を送ってほしいと思う。
妻に「夢でひ孫に出会った」と言うと、私の待ちわびる気持ちを見て取り「果報は寝て待て」と笑われた。
2018.10.27
元気に育ったことに感謝
儀間真治
8月の暑い夜。午後11時ごろ、妻の陣痛が始まる。娘たちを起こし、約13キロ離れた実家の父母に預け赤十字病院へ。明け方、君は生まれた。
男児を期待したが顔は僕に似ていた。気持ちだけは通じたようだ。妻は子育ての疲れが重なり結核を発症した。直ちに結核療養所に入院。僕は、日曜祭日を除き、日中は娘たちを実家に預け出勤する生活が始まった。当時チャイルドシートはなく、乳児用ベッドに寝かせ、2歳と4歳の娘たちに見守らせて運転した。
入院から約2か月後、妻は週末だけ帰宅できるようになる。子どもたちは喜びはしゃいだ。久しぶりに家族5人で暮らすある日の深夜、君は高熱で顔色が青白くなり、ひきつけを起こし白目をむき出した。このまま死ぬのではとの不安に襲われた。救急車を呼び入院。直ちに髄膜炎を疑い脊髄(せきずい)液検査を行う。痛みで泣き叫ぶ声に、僕は涙が止まらない。入院中は病室で付き添った。
君は元気でケガも多かった。小学1年の時、登校時に門から道路に飛び出し車の急ブレーキ音に命が縮まる思いをしたこともあった。今、4児の母親で子育てと仕事に頑張っている。姉妹の中で最も気丈で元気に育ったことに感謝している。
2018.10.20
世界で1番幸せなママにしてくれてありがとう
さやちゃん
もうすぐ7歳になるあんちゃんへ。少し早いけれど、お誕生日おめでとう! ママはあんちゃんが生まれた日のことを一生忘れません。微弱陣痛で破水から24時間たっても生まれてこなくて、翌朝、陣痛誘発剤を打ってやっと生まれてくれました。陣痛が長くて苦しかったね。もっと早く出してあげたかったけど、無事に生まれてくれて本当にありがとう。出産はパパとママとあんちゃんのはじめての共同作業でした。
いろいろなことがあり、最初で最後の共同作業になってしまったけど、これからはママと2人、力を合わせてたくさん楽しいこと、幸せなことを経験しようね! あんちゃんが生まれてきてくれて本当に感謝しています。世界で一番幸せなシングルマザーだと思ってます。いつも励ましの手紙、手作りのプレゼント、本当にありがとう。仕事ばっかりでなかなか一緒にいられないのに、寂しいとか泣き言も言わずにいつも応援してくれる。強がりでしっかり者すぎるから心配だけど、ママはいつでもいつまでも、あんちゃんの味方です! ママだけでなく、じーちゃんも、ねーちゃんも、おじさんも、さなちゃんも、ママの友だちも、会社の人もみーんなあんちゃんの味方だよ!
みんなが可愛がってくれて、愛情を注いでくれてる。あんちゃんはママの誇りです。お友だちとたくさん遊んでお勉強して恋愛して、ステキな女性になってね!
いつも本当にありがとう。
2018.10.13
「お母さん」にしてくれた子どもたちへ
ユイミユママ
まず、2人に一番伝えたいこと。それは「お母さんを、お母さんにしてくれてありがとう……」ということ。あなたたちを授かる前に、3度の流産で、口では言い表せないほどの悲しみを経験しました。お母さんの小さいころからの夢は「お母さんになること」でした。もう、子どもはあきらめないといけないかもしれないと、お父さんと一緒に、たくさん泣きました。
そんな日々を過ごしていたころに、フッと唯人(ゆいと)が自然な形でお母さんのおなかに降りて来てくれました。でも、無事に生まれてきてくれるまでは不安で不安で……。けれど唯人はそんな私の心配をよそに、順調に育ち、予定日通りに元気な産声をあげてくれました。
涙が止まらなくて、震えるほどの感動を今でも覚えています。分娩台の上で絶対もう一人産みたい!と強く思いました。その願いが届いたのか、年子という形ですぐに心優(みゆう)が生まれてきてくれましたね! 普通なら年子育児は不安になるところでしょうか? でも、お母さんは、不安よりあなたたち2人を育てることが、楽しくて楽しくて仕方ありません♪ かわいい2人の天使、お父さんとお母さんを選んでくれて、ありがとう……。精一杯、お母さんをさせてもらいます。
夢、かなえてくれて本当にありがとうね。
2018.10.06
信じてるよ
母ちゃん
兄ちゃんと3歳離れて生まれた君は、生まれてすぐから、私を見てはニコっと笑い、おなかがいっぱいになればウトウトと寝ついてくれる手のかからない赤ちゃんだったよ。兄ちゃんは1日に何度も泣いて、母ちゃんはヘトヘトだったから、君は赤ちゃんながらに親孝行をしてくれてるんだなぁと思ったの。
幼稚園に行くようになっても、君は歩きで、兄ちゃんは抱っこだったの覚えてる? 赤ちゃんの時に構ってあげてない分、大きくなって君に困ったことがあれば、母ちゃんは全力で支えようと誓ったの。
だけど、中学生になった君の反抗期には、母ちゃんはもう降参しそうだよ。これまで君に教えてきたことは何だったんだろうって、正直途方にくれている。子どもと大人のはざまのような君に手を差し伸べるのは、もはや母ちゃんの役目ではないのかな。
でもね、何度も言ってるからもう分かっていると思うけど、母ちゃんは君を信じて待っている。君に何回裏切られても、君を見捨てない。だから君は君の信じる道を行きなさい。
2018.09.29
心望(ここみ)と陸(りく)へ
ヒゲノスマイル
2人がグランパの命を受け継ぎリレーしてくれることを、グランパはとってもうれしく思っているよ。君たちがお母さんのおなかの中に宿ったことを聞いた時は、“かくしてDNAはつながった”と実感したものだ。
2人が生きていく時代はどのような時代になっているんだろうね。時代がどうあれ、すべてのヒトはもちろんのこと、地球上に生きる生物や植物とも共に生きて、この地球が美しい星であることを君たちの次の世代につないでいってくれることを、グランパは願っているよ。
先日、君たちはハイハイができるようになった。もうすぐ立ち上がり歩くようになるだろう。グランパが君たちと共に生きる時代がどれだけあるかは分からないけれど、君たちが一日一日成長していく姿をいつも楽しみにしながら見ているよ。
元気に育っていけよ。
2018年7月30日、グランパ70歳
2018.09.22
あゆむくんへ
おばあちゃん
あなたが、お母さんのおなかから、あまりにも早く、あまりにも小さく生まれてきたので、おばあちゃんは、「せっかくこの世に生を受けたのに、無事に育つのかな」と、本当に不安で、本当に心配しました。でも、病院では祝い膳が出て、お母さんを祝福してくれました。そのときの写真があるので、あなたが大きくなったら、お母さんに見せてもらってね。ものすごく豪華で、おいしそうで「おめでとう!」という感じだったよ。
それで、おばあちゃんもクヨクヨ心配するより、きょう一日あなたが無事でいてくれたら、それだけで感謝しようと思えるように なりました。そして、何よりも、おばあちゃんも一日いちにちを丁寧に生きていこうと思いました。
長いNICU(新生児集中治療室)生活を経て、退院してきたあなたは、やっぱり小さかったけど、元気にミルクを飲んだり、寝たりと普通の生活ができるようになったのでうれしいです。定期的な検診もまだまだ受けなくてはならないようですが、でも大丈夫! あなたならなんとか乗り越えていくでしょう。
いとしいあゆむくん、生まれてきてくれてありがとう! ズーッと愛しているよ。
2018.09.15
赤ちゃんへ
おばば
ある日、あなたのママから電話がかかってきました。ママは泣きじゃくっていました。「赤ちゃんができたの。この子を産みたい!」「せっかく私のところにきてくれた子だから」と。
おばばはびっくりしました。だって、あなたのパパのことはママしか知らないんだもの。ママとおばばは、長い時間、電話で話しました。ママは、いっぱい、いっぱい悩んで、たくさん、たくさんの涙を流して、あなたのママになる一大決心をしたのです。
それまでのおばばは、今さらこの歳になって、孫はいらない、長生きはしたくない、寿命の短くなる薬はないものかと、考えていました。でも、そんな思いは吹き飛んでしまいました。
ママのおなかの中で元気に育っているあなたの姿を確認するたび、ママは笑顔になります。あなたとママが出会える日がとても待ち遠しいです。ママに最高の笑顔をプレゼントしてあげてください。そして、私を「おばば」と呼んでネ。
2018.09.08
ちいさなあなた
ゆぽ
3週間以上もはやく生まれてきた晴幸くん、おなかの外の世界はどうですか? 体重がなかなか増えないまま2,040グラムという小さな身体で生まれてきたあなた。はじめて会ったとき、あまりにも小さく、ママの中にはうれしさと同時に不安がうまれました。それでも誰よりも大きな産声で、元気に泣いている姿をみたら、うれしくてうれしくて涙が止まらなかったよ。
生まれてからのあなたは、ママの心配をよそに、他の新生児たちと同じくらいミルクをのみ、元気に泣き、手足をいっぱい動かして、今を一生懸命に生きています。看護師さんたちも「まだ飲むの~?」とびっくり。毎日驚きの成長をみせてくれているよ。
生まれる2週間前から全く体重が増えていなかったあなた。自分で決めて、この日に出てきたんだよね? 生きる力を感じました。判断力と行動力のある子なんだとママは思っています。別に大きくなんてならなくていい、普通に元気に育ってください。
誰かのことを「生きているだけで幸せだ」と思えたのは人生で初めて。愛する我が子、パパとママとお姉ちゃんと、晴れやかに幸せな日々を一緒に過ごそうね。
2018.09.01
本物の涙パート2
お花屋さんの娘たちのママ
一人目は37週で妊娠高血圧になり急きょ出産でしたが、二人目はノントラブルだったので、三人目も大丈夫だろうと気楽に考えていたら33週で切迫早産、入院になりました。出産まで入院かと覚悟をしていましたが、点滴と安静でよくなり自宅療養できることに。赤ちゃんからのプレゼントだと思い、出産までのんびり過ごすことにしました。その間2人のお姉ちゃんは、祖母のはーちゃんのお世話になっていて少し寂しい思いをさせてしまいましたが、赤ちゃんとママのためにがんばってくれました。
予定日は9月27日でしたが「9月13日に産む!」と出産宣言をしていると、9月13日の朝に陣痛が始まりました。仕事に行っていたパパは急いで駆けつけてくれました。いよいよ出産です。あまりの激痛にパパの腕を、折れそうなほど強い力でつかんでしまっていました。無事に出産を終えホッとしてパパを見ると、お姉ちゃんたちの時と同様、やはり涙を流していました。
3回の妊娠はそれぞれ違いましたが、出産は何度経験しても感動することに変わりはないんだなと思いました。我が家の3姉弟、ゆりちゃん、るりちゃん、せいじくんは、パパとママに感動を与えてくれました。これからいろいろ大変なこともあるでしょう。そんな時は思い出します。生まれてきてくれてありがとう。(昨年6月に続き2通目のお便りでした。)
2018.08.25
大好きな翠(みどり)へ
杉山千秋
あなたは、1歳を過ぎて、ますます表情が豊かになり、いろいろなことに興味を持つようになりましたね。たくさんイタズラもするから、目が離せないけれど、毎日成長していくあなたの姿を見ることがお母さんの楽しみです。今は、不安定だけれど、一生懸命によちよち歩く姿がとっても可愛いです。おしゃべりも上手になり、食べることが大好きなお母さんの影響からか、「まんま!」が一番上手に言えますね。
あなたを出産するまで、つらい経験もしました。それだけ、子どもを授かること、無事に出産することは、大変なことだと実感しました。切迫早産で入院した時は、毎日不安で仕方がなかったけれど、おなかの中のあなたに「一日でも長くお母さんのおなかの中にいてね」と願うように話しかけていました。そんな声が届いたのか、あなたは予定日を過ぎてから、元気な産声をあげて生まれてきてくれましたね。本当にありがとう。あなたの誕生が、多くの人を幸せな気持ちにしてくれました。
ことしの4月からは、保育園に通うようになりました。すべり台や砂遊びなど、毎日泥だらけになりながらお友だちと遊ぶ姿が、とてもたくましく見えます。でも、まだ1歳。お迎えに行くと、ほっとして涙を浮かべることもあります。一緒にいる時間を大切に、これから楽しい思い出をたくさん作ろうね! 明るくて素直な子に育ちますように……。
2018.08.18
「いっち」へ
佐藤真弓
あなたが生まれて1年4か月がたちました。毎日、毎日できることが増えて、「ばばちゃま」はすっかりあなたのとりこになりました。
そんなあなたを見ながらパパが生まれたときのことを思い出します。切迫流産と切迫早産という2度の危機を乗り越えて生まれたパパ。可愛くて大切で、今でも「ばばちゃま」の最高の宝物。笑う人もいるけれど自分の生命と同じと思うくらいです。
「いっち」と一緒に暮らして、日々成長する姿を見ながら、パパのときはこんなに余裕を持って見られなかったことを残念に思ったりします。だから「ばばちゃま」は、「いっちのママ」の強力なサポーターになる決意をしています。ママが「いっち」の子育てを楽しんでくれるように願っています。
今はまだ可愛らしい宇宙語で盛んにお話をしているあなたと会話できるようになったら、パパとママのこと、たくさんお話ししてあげるね。思いやりという勇気の絆があなたにも伝わっていくように。そしてあなたの未来が平和で穏やかな日々であるように祈っています。涙さえ美しい、「いっち」の泣き顔は幸せと喜びの涙でありますように祈っています。
「いっち」。毎日ばばちゃまを笑顔にしてくれてありがとうね。
2018.08.11
葵君へ
日高のバアバ
7月2日は葵(あおい)君の1歳の誕生日。おめでとう。
葵君には6歳でことし1年生のお姉ちゃん、心晴(こはる)ちゃんがいます。葵君が生まれて、みんなが葵君のことばかり見ていて、お姉ちゃんは少し寂しい思いをしましたね。
葵君が生まれる1年前、大変なことが起きました。ママのおなかの中には赤ちゃんがいたのですが、7か月でこの世に生まれることができなかったのです。楽しみにしていましたので、つらい日が続きました。泣いたこともないおじいちゃんが涙を流しました。でも、ママの頑張りがあり、1年後に葵君が生まれたのです。元気に生まれたことに感謝をし喜びました。
葵君は、順調に大きくなって元気いっぱいです。近くに住むおじいちゃん、おばあちゃんは、葵君と心晴ちゃんに会いに行くのが楽しみです。会うたびに表情が豊かになり、顔を見ると声を出して呼んでくれます。お姉ちゃんの存在は大きく、相手をしてもらうととても喜び、声を出して笑います。仲の良い二人の姿を見ていると、おばあちゃんは幸せだなーと思います。
この幸せがいつまでも続きますように。葵君、お姉ちゃんといつまでも仲良くしてね。帰るときは、葵君とお姉ちゃんとでお見送りをしてくれます。バイバイができるようになって、その姿はとってもかわいいです。葵君、おじいちゃん、おばあちゃんと呼んでくれる日を待っていますよ。また会いにいきますね。よろしくね。
2018.08.04
初孫八朔
小塚久枝
八朔(はっさく)! 私の初孫です。実は、私は、若いころは赤ちゃんも、小さな子どもも苦手でした。どうしてあやしたらよいのかも分からず、まわりの大人が小さな子どもに平気で声をかけるのが不思議でした。照れもあるし声をかけようとも思いませんでした。
ところが、年を重ねるにつれて、子どもに声をかけるのが楽しくなりました。そんな私に昨年、初孫が誕生したのです。八朔です。7月生まれでべつに八朔が大好きでもないのに、呼びやすいからと。でも私も気に入ってます。はっちゃん、八朔! 可愛いです。毎日のように、嫁ちゃんが、写真を送ってくれます。うれしいです。楽しいです。動画もあります。最近は、あぶあぶとお話もするようになりました。成長著しいです。
私の子どもたちは、私自身が、毎日自営業に追われて、どんな子育てをしてきたのか、成長の段階なんてわかりません。でも夫の両親と同居していたお陰で、愛情たっぷりに育ってくれました。八朔の父、長男は子育てのお手本はじいちゃんと言っています。
さて、八朔の未来はどのようでしょうか。平和でしょうか。すべての人々が幸せであってほしいと思います。姑は広島で被爆しました、現在89歳。核兵器廃絶を訴えて、青年たちにその思いを託しています。私も八朔のために、世界のすべての子どもたちのために平和を希求していきたいと固く誓います。
2018.07.28
三つ子
西川美鈴
34年前、私は2人の子どもを連れて再婚をしました。そして、おなかに赤ちゃんができましたが、妊娠4か月目に「三つ子さんですよ」と言われ、いっぺんに5人の子どもになる驚きとうれしさに、その日を待っていました。
妊娠8か月の最終に破水をして、すぐに入院。1週間は安静にして、帝王切開で3人とも産まれましたが、1,400グラムの低体温児ですぐに保育器に入ることになりました。
私は出産後、熱が下がらなく苦しんでいましたが、その日の夜中、急に目が覚め天井を見ていたら、病室の天井の空気が突然切れたように感じました。次の日、主人に聞くと、その時間に三つ子の1人が亡くなったと!
きっと私に会いに来てくれたと思いました。一度も抱いてあげられなく、悲しくて、もっとおなかにいるときに大切にしてあげればと後悔で涙が止まりませんでした。夜中に感じた不思議なことは、きっと子どもと私の二人だけの絆かなぁ。それに、あとの2人を守ってくれたんだよね。
2018.07.21
我が子へ
遠くの母
5月15日、長女誕生。この時を迎えられた喜びと安堵(あんど)でいっぱいでした。そしてこれから1週間、一生分の愛を込めて触れよう、声をかけよう、そして覚えておこうと初めてあなたに会えた時に決めました。
たくさん迷いましたが、命を一人で守り育てるには自分はあまりに非力。だから特別養子縁組という覚悟をしたのに、今はあした迎える今生の別れを考えると、涙が落ちない時間が無いです。このままあなたを連れて帰り、一緒に生きて行けたらどれだけいいか。
あなたの名前は、あなたのお父さん、お母さんからあなたへの最初のプレゼントですが、私にとってもそうだと感じました。きっとこんな素敵な名前を考えてくださるご両親の子どもになるあなたは、本当に幸せなんだと安心させてもらえたのです。
私は遠くからあなたの幸せを一番に願わせてください。
さようなら。ありがとう。どうか幸せな人生を。これから悩んで落ち込んで傷付くことがあっても、どうかこんなにもあなたを愛しているお父さんとお母さんを心の頼りに。
私は届けることは出来ませんが、あなたへの愛と共にこれから生きていきます。
2018.07.14
忘れられない母の日
穂佳ママ
穂佳(ほのか)が生まれたのは、3年前の5月10日の夜。
そう、偶然にも母の日だった。予定日は5月13日と言われてたけど、あなたはとても素晴らしい産声というプレゼントを届けてくれた!
2,290グラムで小さく生まれてきたけど、大きな病気もせず、すくすくと育って元気な女の子!
ママにとっては母の日は誕生日と同じくらい大切な日。母の日にママになれたと言う幸せなことだから一生忘れない。
秋にはお姉ちゃんになる穂佳。家族思いの素敵なお姉ちゃんへ。
ママより。
2018.07.07
もうすぐうまれる君へ
しゅうとくんの父
しゅうとくん こんにちは。おとうさんだよ。
しゅうとくんは げんきかな? いっぱい あそんでるかな? いっぱい たべてるかな? いっぱい わらってるかな? どんな こどもになっているかな?
おとうさんは しゅうとくんにあえるのが とってもとってもたのしみです。しゅうとくんがいろんなことをできるように、おとうさんはがんばるよ。
しゅうとくんが たのしんでくれたら おとうさんはとってもうれしいです。
いつまでも げんきでいてね。
2018ねん4がつ22にち(4がつ30にちよていび)
2018.06.30
まだ見ぬ君へ
しゅうとくんの母
しゅうと君、お母さんとお父さんの子どもになってくれて、ありがとう。私は、あなたがおなかに来てくれたかもしれないと思ったとき、とてもうれしくて、とても幸せな気持ちになりました。特に妊娠5か月目にあなたがおなかの中で動いているのを感じてからは、「ぽこちゃん」とニックネームを付けて、話しかけたり、歌を歌ったり、絵本を読んだり、お父さんと2人で、毎日毎日元気に生まれてくるのを楽しみにしていました。
これを読んでいるしゅうと君はもう、いくつになっているのでしょうか。これからいっぱい楽しいこと、うれしいことがあると思います。時には悲しいこと、辛いこともあるかもしれません。でも、これだけは覚えていてください。私はずっとあなたの味方です。しゅうと君が自分の幸せを見つけたり、つかんだりする力を持てるようサポートしていきたいです。しゅうと君の人生の主役はしゅうと君です。
私があなたのお父さんと出会い、しゅうと君がおなかに来てくれて、新しい幸せを得たように、しゅうと君が自分の幸せをつかめますように……。私はしゅうと君をずっと応援していきたいと思います。
2018.06.23
栞奈(かんな)ちゃんへ
さきまつ
今回のお便りは、前回に続いて、神奈川県立磯子高校の授業で、将来子どもを授かったことを想定し、生徒が「命」の誕生について書いた「未来への手紙」です。
あなたが学童期になるとき、あなたは早起きに拘束されるだろう。
あなたが思春期のとき、あなたは恋と見栄(みえ)に拘束されるだろう。
あなたが成人期のとき、プレッシャーに拘束されるだろう。
あなたが壮年期のとき、喪失感に拘束されるだろう。
あなたが老年期のとき、あなたは死の恐怖に拘束されるだろう。
この世界は縛られてばかりなんだ。だからこそ、その波に抗(あらが)って自由に生きてほしいというのが私の望みだ。あなたが自由であるために、私は少しだけ工夫をした。自由のパスポートとして、あなたには中国でも同じ発音の名前にした。私の子だから、中国と関わることは避けられない。日本の名前がどれだけ不便か、私はよく知っているつもりなのだ。だからあなたにはその不便はないようにした。
私はこれくらいのことしかできない。あなたがどういう風に自由に生きるかは、あなた次第。楽しみにしているよ。あなたの自由人生記を。
◇ ◇
あなたが生まれたとき、あなたはママに拘束されるだろう。
2018.06.16
もみじ、あげはへ
JAKB
今回のお便りは、神奈川県立磯子高校の授業で、将来子どもを授かったことを想定し、生徒が「命」の誕生について書いた「未来への手紙」です。
俺は「もみじ」と「あげは」に自由きままに成長していってほしい。そのためにしつこく思うこともあるかもしれない。でも、俺の宝物だから、愛してるから、だからそう思ったときは、俺を許してね。俺は小さいころに、親にすてられて悲しい気持ちで育ってきた。この俺みたいな経験を「もみじ」と「あげは」にはしてほしくない。だから俺がんばるから、温かい目で見守っていてくれるとパパはうれしいな。
ママも、「もみじ」と「あげは」が夜泣きがひどいときは、あやしたりして疲れてないように見えるかもしれないけど、ものすごく疲れてるから、ママのこと、ちゃんと手伝ってあげてね。
パパは、「もみじ」と「あげは」に出会えて幸せだよ。これからもたくさん思い出作って、この家族で良かったって言ってもらえるようにがんばるね。幸せになれよ!
◇ ◇
よお、俺はパパだよ。生まれるまでは、元気で健康な子が生まれるか不安で夜も一睡もできなかった。双子って知ったときは、もっと心配になったよ。生まれてきた瞬間に元気な子が2人、大きな産声をあげてきてくれたときは、ものすごくうれしかった。ママと一緒に泣きながら喜んだよ。
2018.06.09
新しい家族へ
ナアザ
今回のお便りは、神奈川県立磯子高校の授業で、新しい家族を迎える生徒が「命」の誕生について書いた「未来への手紙」です。
生まれる日が近づくごとに、ママのおなかは段々と大きくなって、おなかを触ると、あなたがママのおなかを蹴っているのが伝わってきます。
そんなあなたにほほ笑むママを見て、うらやましくなってしまいます。きっと、あなたが生まれると同時に、「お姉ちゃんだから」という言葉に怒ったり、泣いたりしてしまうかもしれません。でも、パパと約束したから大丈夫。悪いことはちゃんと怒れる、正しいことは褒めることができる、そんな優しいお姉ちゃんになれるように努力します。
ママはいつも笑いながら、おなかごしにあなたをなでています。パパは毎日あなたに話しかけています。お姉ちゃんになる、この言葉にどれほどの重みがあるかまだわからないけど、今はただ早く新しい家族を見たいです。
◇ ◇
はじめまして。私はまだママのおなかの中にいるあなたのお姉ちゃんです。私がお姉ちゃんになる、ママから聞いたその一言が、私の胸を今も幸せで満たしてくれています。ママもパパも、あなたの名前を決めるために難しい本を買って、画数が悪いとか、響きが良くない、なんてことを毎日病院で話し合っています。
2018.06.02
いっしょに早く歩きたいなあ
天使のバーバ
待って待って待ちかねた顔をみせてくれた天使。かわいい泣き声、手足を元気よく動かし、のぞく顔を笑顔にしてくれる天使。が、その1年後、言葉が出ない、歩けない、2万人に1人の障害。
なぜ? なぜこの子が。どれだけ落ち込み、どれだけ涙が流れ出て、どれだけ不安だったことか。
でも今はやさしい友だちに出会い、自然に受け入れ、思いやりを持ち助けて下さる先生方、積極的で明るく前向きなママ、そのうしろからおろおろ見守り寄り添うパパ、その2人を見てうれし涙のバーバたち。
障害を持つ運命の孫。その天使の笑顔に癒やされ、いっしょに見られる世界、いっしょに生活できる幸せに感謝しつつ、オンリーワンの孫に、出来て当たり前の生活に慣れ親しんできた生活をあらためて見直すことを教えられました。一歩ずつ歩ける日々を待ち続け、ゆっくりと共に日々成長できたらと思うきょうこのごろです。
2018.05.26
彩希ちゃんのハーフバースデー
西村千登勢
最近、よく耳にするハーフバースデー。生後半年のお祝いなんて大げさかな? さきが生まれるまではそんなふうに思っていました。でも、さきが生まれてみるとこの6か月間、特別な期間を過ごしてきたように思えます。
自分の意志で体を動かせなかった赤ちゃんが目を動かし、手を動かし、最近は自我が芽生え欲求を伝え、ずりばいまでしてくる。私の精神面の変化も大きく、母子ともに半年という期間を成長してこられたことがとてもうれしく、ありがたく感じられます。
さきちゃん、おめでとう。毎日元気に過ごし、半年を迎えてくれてありがとう。ハーフバースデーというものが存在する意味が少しわかり、今の気持ちを手紙に書き記しておきたくなりました。
出産も子育ても、こんなに大変だなんて知らなかった。さきがこんなにかわいい存在になるなんて思いもしなかった。さきの誕生を喜び、祝ってくれる周りの人の温かさ。自分にとって改めて感じる母という大きな存在。そんな母親という存在に自分がなるなんて不安で、そしてとても楽しみ。さきが色々なことに気づかせてくれました。
さきの1歳の誕生日にはこんな話を少しはできるのでしょうか。出産も育児も支えてくれた、さきのパパと共に、これからのさきの成長を、心から祈っています。私もさきの頼れるママになれるように成長していきますね。
2018.05.19
輝君1歳の誕生日おめでとう
Mバアバ
2年前のちょうど今ごろ、桜は満開でした。4月8日、釈迦(しゃか)の誕生日に、輝(ひかる)君のお姉ちゃんは病気で、1歳9か月の可愛い盛りに天国に召されて旅立ちました。色白でとても美人でしたよ。
涙の枯れるほど泣いたのも、ついこの間のように思い出されますが、その生まれ変わりのように昨年4月11日、輝君が生まれてきてくれました。輝君のお父さんは、お医者さんだから忙しくて疲れていたにもかかわらず、輝君が生まれてくるのをお母さんの横でずっと待ってくれて、一番に輝君を抱っこしてくれました。
お母さんも輝君が生まれてからは、輝君ファーストで、母乳のみで輝君を、ここまで風邪ひとつ引かない、元気な子どもに育ててくれました。今では何でも食べて食欲も旺盛ですネ。でもおばあちゃんは知ってるんだ、輝君の秘密を。おっぱい大好きで、お母さんの顔を見ると声が違って、急に甘え坊になるよね。輝君の気もちはよくわかります。お母さんも仕事を持っているから、生後6か月から事業所内の保育所に通いはじめ、4月からは1日8時間も保育所に行くんですものネ。
このごろ、人見知りも出てきたけれど、満面の笑みを作り、皆を癒してくれる輝君。おじいちゃんの口笛に合わせてリズムを取って踊ってくれる輝君。皆、輝君大好きだよ。おばあちゃんは輝君の成人まで見届けることができないと思うけど、どうぞ輝君が社会人になっても、戦争のない平和な日本でありますように。
2018.05.12
ゆうかへ
さくらのバァバ
2分の1成人式おめでとう。
覚えていますか?幼い頃、バァバが遊びに行くと、恥ずかしそうに下を向いたのを。そのくせ帰ろうとすると、大泣きするので、ゆうかの大好きなパパが帰宅するのと入れ替わりにソーッとバァバは出て来たのよ。
七五三の3歳のお祝いをして5日目に、弟のハル君が生まれましたね。生まれつき心臓が悪かった。ハル君は、ゆうかが幼稚園に通うようになった時、手術をしました。ママは大忙しでしたね。ゆうかも、ハル君の付き添いに行くママに付いて行ったけど、病室には入れず、待合室で一人で遊んでいましたね。そんなことが何回も何回もありましたね。
ハル君は元気になり、昨年から養護学校の1年生になりました。誰よりも小さく、まだおしゃべりもできないけど、学校大好き、皆の人気者みたいね。2人の学校行事が重なると、ママに「私は大丈夫、ハル君のほうに行ってあげて」と言う、優しいお姉ちゃんがハル君は大好き。皆もゆうかが大好きですよ。
バァバもハル君のことできるだけお手伝いするから、ゆうかは自分のやりたいこと、見つけてね。
2018.05.05
ありがとう圭亮くん
坂巻まり子
圭亮くんのひいおじいちゃんが亡くなってもうすぐ1年になります。一周忌に子どもたち、孫たち、ひ孫たちが全員集まってお墓参りをしました。圭亮くんが産声をあげた日は、ひいおじいちゃんが亡くなってからまだ半年しかたってなく、家族皆が悲しみのなかにいる中、寒い冬から暖かい春が訪れたごとくに圭亮くんが誕生したのです。
圭亮くんが誕生した日、9月13日は、なんと亡くなったひいおじいちゃんの誕生日であり、じーじとばーばの結婚記念日でもあったので、家族中大喜び。まさに奇跡という以外の何ものでもありません。きっとひいおじいちゃんが見守ってくれていたのですね。
ひいおじいちゃんがもし生きていたら、90歳の卒寿のお祝いと、じーじ、ばーばの結婚記念日と、圭亮くんの誕生祝いと三つのお祝いを盛大にやったのかもしれませんね。圭亮くんの出産予定日は、お姉ちゃんの結香ちゃんの誕生日の9月10日でしたので、それはそれで素敵なことでしたが、今は皆が圭亮くんはひいおじいちゃんの生まれ変わりと信じているので、ことしも9月13日には皆で集まりお祝いをしましょう。そしてお墓参りにも行きましょう。
ひいおじいちゃんに感謝! 圭亮くんに感謝! そしてじーじ、ばーばの結婚記念日に最高のプレゼントをありがとう!
2018.04.28
いとおしい孫へ
槝之浦(かしのうら)トシ子
「おめでとうございます。元気な男の子さんです」 初孫との対面に胸がいっぱいで、あなたにかける言葉も見つかりませんでした。あなたはとても元気な赤ちゃんでしたが、頭が少し長かったので、きっとおかあさんは難産だったと直感しました。看護師は「もうすぐお嬢さんに会えますから、お待ちください」と、あなたを抱いて再び分べん室に入って行きました。
まもなくして、分べん室への人の出入りが激しくなり、辺りがせわしなくなりました。何が起きたのか私には想像もできませんでしたが、その時あなたのおかあさんが危篤状態になっていたのです。間もなくあなたのおかあさんの死を知らされました。医師に詰め寄り、「うそです。うそですよね」と叫んだのをはっきりと覚えています。
「おめでとう。ご苦労さま」の一言もかけることができなかったのが、悔しくてなりません。あれから26年、あなたは父親と父方の祖父母に大切に育てられ、念願の教師の職に就きました。きょうの結婚式を迎えることができたのも大勢の人たちのお陰です。これからは二人で力を合わせ、明るい家庭を築いてください。それがお世話になった皆様への恩返しです。
おばあちゃんは、おかあさんの写真と一緒に、結婚式に臨みました。あの時、おかあさんに言えなかった「おめでとう」を、おかあさんとあなたに涙の中で言いました。おかあさんも応援しています。がんばれ、いとおしき孫よ。
2018.04.21
おなかの中のあなたへ
榎本麻美
父ちゃんと母ちゃんのところに来てくれてありがとう。妊娠8か月目に入ったところ。毎日たくさんの胎動を感じさせてくれて、幸せいっぱいです。お兄ちゃんとは違って、おなかの中にいてもかまってちゃんのあなたは、いつ話しかけてもポコポコ! 父ちゃんが触ってもポコポコ! 元気に返事をしてくれる。性別は女の子って言われたけぇ、お兄ちゃんが負けてしまうくらい強い子かな?っと少し心配しています(笑)。
父ちゃんは自分に似た顔の女の子は想像がつかん、なんて妄想が止まらない様子。お兄ちゃんもおなかをなでなでして何かわかっとるみたい。みんなあなたの誕生を楽しみにしとるよ! 妊娠初期から出血が続いて、手術をすることになって、あなたにたくさんの負担をかけとるよね。家族にもたくさん心配をかけてしまって、毎日泣いていました。
でも、いつもあなたはおなかの中からパワーをくれるんよ。出血があっても、必死につかまっててくれて術後すぐから胎動も感じ始めて。あなたが頑張っとるなら私も!ってずっと思っとる。この子を守れるのは私しかおらんけぇってね。
あと3か月、今は不安よりも楽しみの方が強い。出産も、育児も、人生の最高の宝物。私を産んでくれた父母に、母ちゃんにしてくれた父ちゃんに、支えてくれるみんなに、感謝の気持ちでいっぱい。いつかあなたにもそんな気持ちになってもらえるとうれしい。幸せいっぱいの家族になろうね。みんなで待ってます。
2018.04.14
ともくんへ
ともくんママ
生まれて来てくれてありがとう。お父さん、お母さんのところに来てくれて、ありがとう。あなたを初めて抱いた時、やっと会えたね!そう思いました。
ともくんが生まれたら、お父さんと3人のとっても幸せな暮らし、そう思っていました。けれど現実は、想像以上に大変なあなたのお世話が待っていました。お母さんは心のバランスを崩して、お父さんのところをはなれて、お母さんの実家にあなたと帰って来てしまいました。ごめんね。
お父さんに会えるのは一週間に一度。まだ生後半年のあなたとはいえ、やっぱり寂しいよね。ともくんがこの手紙を読めるころは、お父さんと3人で仲良く楽しく元気に暮らしていますように。お母さんはがんばります。あなたが大きくなって離れて行くその日まで、がんばるね。
ともくん大好きだよ。おじいちゃんもおばあちゃんも、みんなあなたが大好きです。ともくんの笑顔がこれからもずっと、輝きますように。
2018.04.07
よろしくね
檀林麻穂
2017年9月13日水曜日午前1時13分、あなたは、父ちゃん、母ちゃん、父ちゃんの母ちゃん、母ちゃんの母ちゃん、母ちゃんの妹たちに見守られながら、この世界に産声を上げて生まれてきてくれました。その時、母ちゃんはホッとしたのと同時に、あなたの顔を見た途端に、顔をぐちゃぐちゃにして泣いてしまいました。
父ちゃんも目を赤くしていましたよ。助産師さんが、狭くて暗いトンネルを一生懸命通り抜けた頑張り屋さんのあなたを、髪の毛も顔もぐちゃぐちゃな母ちゃんの隣に置いてくださった時、こんな感情はじめて。「いとおしい」と、何とも言えない胸いっぱいの気持ちがあふれ出ました。
そのとき自然と「よろしくね」とあなたにつぶやいていたのを覚えています。
それからのあなたは、一生懸命お乳を飲んで、すやすや寝て、今では大きなお口をあけてケラケラと笑うまでにすくすくと成長を遂げてくれています。夜、あなたの寝顔を見ながらあなたの小さな手を握って「きょうもありがとう。あしたもよろしくね」とそっと胸の中でつぶやくのが母ちゃんの日課です。
これからも、どうぞよろしくね。
2018.03.31
現在と未来のあーちゃんへ
あかりママ
きょうは2018年2月6日。朱莉(あかり)ちゃんはもうすぐ1歳になります。よく動き回るようになり、いろいろ覚えてきたりと、毎日が成長です。きのうはやらなかったことをきょう急にやったりね。
朱莉ちゃんは1週間早く生まれたけれど、3,060グラムで、とても大きな泣き声で生まれてきました。寝ているか泣いているしかできなかった子が、今は一生懸命歩くようになったよ。最近はプーさんやキティちゃんのぬいぐるみと、猫の勘助(かんすけ)が大好きみたいだね。大きくなった朱莉ちゃんは、どういうことに興味があって何を好きになっているかな?
朱莉ちゃんはいつも優しくて、パパやママにおやつを分けてくれようとします。大きくなっても優しい朱莉ちゃんのままでいてくれるといいな。そして今、ママの隣でスヤスヤと眠っています。ママはまだまだ新米で、一日中朱莉ちゃんから目が離せなくて疲れてしまうこともたくさんあるけれど、この寝顔を見ると一日の疲れも全部吹き飛んでしまう。
いつまでもいつまでも、この顔を見ていたいなと思うよ。大きくなっても、今のままママが大好きでいてくれているといいな。そう思いながらあーちゃんの手を握ってママも寝ます。
2018.03.24
不育症を乗り越えて
2年目のバァバ
綾音(あやね)ちゃん、バァバはあなたのお陰でバァバになれました。ママは3度の不育症を乗り超え、あなたのママになったのです。
息子夫婦も2度目の妊娠以来、私たちにオメデタを報告しなくなりました。またがっかりさせるかもしれないと思ったのでしょう。4度目の正直でようやく出産にこぎつけました。結婚して7年目でした。
ママは中国の人だから、あなたは2歳にしてすでにバイリンガルになっています。中国のおじいちゃん、おばあちゃんもどれだけ孫の誕生を待ったことでしょう。お互いの祖父母にとって初孫ですから、思い入れは強いのです。年に2回ほど中国に里帰りするのですが、首を長くして待っているはずです。
元気で動き回り、パパいわく「自由人」と。ママは制御不能と、あまりの元気さに時々ため息をついているようです。私たちに会うと一層張り切り、動きがさらに活発になります。バァバが万一うつ病になっても、あなたの無邪気な様子を見ていると、すぐ治る気がします。
綾音ちゃんの成人式まで私たちは生きていられないかもしれないけど、あなたの成長をできるだけ長く見たいと思っている私たち夫婦です。
2018.03.17
あなたにいつも心を込めています
そうたくんの母
あなたが、社会人になり1年が過ぎようとしていますね。毎日毎日一生懸命な姿に尊敬の気持ちすら覚えています。23年前、初めてづくしの子育てに、試行錯誤、不安もいっぱいでした。そんな時、満面笑顔を向けてくれるあなたにどれだけ力をもらったか、笑顔の大切さを教わりました。ありがとう。
可愛い瞬間を一瞬も逃したくなくて、1日1日の成長を見守って全神経をあなたに注いでいましたよ。幼稚園では、バスが近付くと、私に近寄りしがみつき、涙目で私を見る姿に、こちらも涙をこらえるのがつらかったのを思い出します。
今では、見送りながら、心の中で「こっち向いてよ!」って思っても、前を向いて勇ましくさっさと出かけていきますね。少し成長して、可愛い姿を写真におさめようとしても、ふざけて面白いポーズばかり。でも、今では「笑って!」って、言っても生真面目に直立不動ですね。成長してるんだなぁ~って思います。当たり前のことですら、立派で自慢に思えたりする毎日です。
あのころは早く成長しないかなぁ~って思っていたけれど、休日に家族がそろう日が少なくなった今、貴重な1日をまだまだ大切に過ごさなければと、改めて思っています。心を込めた笑顔の子育て、もう少し私にさせてくださいね。
2018.03.10
3月に会える初孫の君へ
今野礼子
仕事に追われると夜中過ぎまで働いてしまうお母さんのおなかの中は、決して居心地良いとは言えないでしょう。それでも、そこで無事に育っている君はタフガイに違いないと、新米バアバは確信しています。
君のお母さんは仕事が大好きで、君を出産した後6週間から預かってくれる保育園探しに、今、一生懸命です。私が君の母親である長女を出産したころ、産後の休暇は6週間しかなくて、どうしてもやり遂げたい仕事を続けるためには、生後6週間の赤ちゃんを保育園に預けなければなりませんでした。
今は、年の単位で育児休暇がとれる時代になったのに、何ということでしょう。「仕事が好き」というところが似てしまったのかな。君が大きくなったとき、そんなお母さんの情熱を理解してくれたらうれしいです。
お母さんが君と過ごせる時間は短くなってしまうけれど、だからこそ大切に、より濃密な一瞬一瞬を過ごしてほしいと、心から願うバアバより。
2018.03.03
おねえちゃんになるってこと
アンのママ
私は2歳のアンちゃんです。この前、弟のユウくんが生まれました。
ユウくんがうちに来てからママはいつも大変そうです。アンちゃんもお手伝いをしなくちゃと思って、ママがミルクをあげるとき哺乳瓶を支えてあげるけど、速く上げすぎてユウくんは、むせちゃうみたい。ウンチをしたとき使いやすいように、お尻拭きを何枚も出してあげるけど、そんなにたくさんはいらないみたい。
ママはその度に「邪魔しないで」って言います。ママの力になりたかっただけなのに。悔しくて悲しくて泣いちゃうと「いちいち泣かないの!」って、今度は大きな声で怒られます。「お利口ね」って言ってほしかっただけなのに。
ユウくんは夜中に何度も泣きます。その度にアンちゃんは起こされます。だから「アンちゃんを抱っこしてあげてください」ってお願いするけど、ママはユウくんのお世話で忙しくてなかなかこっちを見てくれません。眠たくてたまらないから直ぐに抱っこしてほしいのに。
きのうママに「ユウくん嫌い! 仲良しで遊べない」って言っちゃいました。でもちょっぴり可愛いと思うときもあるから、ママの見ていないところで頭をなでなでしてあげたりもします。おねえちゃんになるって難しいです。
2018.02.24
生まれてきてくれて、ありがとう
涼ちゃんママ
予定日を1週間も過ぎてしまい、陣痛誘発剤と促進剤を使って、8月7日に涼ちゃんは生まれたよ。
初産とは思えないほどのスピード出産で、パパはお仕事を抜けて駆けつけてきてくれたけど、立ち会い分娩(ぶんべん)には間に合わなかったくらい! 超安産だったよ。涼ちゃんも頑張ったね。
きれいにしてもらった涼ちゃんを抱いたときは、本当に赤ちゃんを産んでママになったんだなぁと実感して、顔がパパそっくりでびっくりしたよ(男の子でよかった)。家族3人で写真を撮って、とても幸せだったよ。
夜には台風が上陸!そんな中、おじいちゃんとおばあちゃんも会いに来てくれたよ。おじいちゃんは心臓の大きな手術を頑張ったあとだったから、やっと涼ちゃんに会えて安心。もうひとつの手術も涼ちゃんとたくさん遊べるように頑張ったよ。
みんな誕生を待ってたよ。生まれてからはみんなに可愛いって言われてママもうれしいよ。たくさんの人からお祝いしてもらったり、会いに来てくれたりして、ママも涼ちゃんもみんなに愛されてるね。感謝。おっぱいもしっかり飲んでたくさんお話しするね。毎日成長が楽しみだよ。
これからもよく笑ってね! 大切に育てるね。かけがえのない宝物! 涼ちゃん、大好きだよ!
2018.02.17
生まれてくるあなたに
みよちゃん
おたんじょう、おめでとう!!
あなたの生は始まったばかり!!
平和で豊かで充実した人生が待っていますように…。
あなたの時代が平和で幸せな時代でありますように、平和憲法を守ります。
戦後70年が、さらに80年、90年、100年と続きますように。
今を生きる大人が平和な時代をバトンタッチできるように頑張ります。今を生きる大人の責任としてできるだけのことをして、あなたたちにバトンタッチをします。
平和憲法を守り、原子力に頼らない社会をとりもどして、あなたたちに手渡したい。全身全霊かけて手渡したい。
2018.02.10
舞美(まいみ)へ
吉川佳苗
8月24日未明、あなたのお産は破水から始まりました。産院は、すぐ入院の準備をして病院に来て下さいとのこと。予定日までまだ3週間、突然のことにうろたえる私に母が付き添ってくれ、2人で産院まで向かいました。
病院の門を入るとき、次ここを出るときには、おなかの中にいるあなたを手に抱いているんだと思うと、不思議な気持ちになりました。陣痛が来るのを待ちましたが、あなたが出てくる気配はなく、25日午前11時から陣痛促進剤の投与を開始。痛みに顔を歪める私に、今から30年以上前に私を取り上げて下さった理事長先生が、「あんたのお母ちゃんもこうしてあんたを産んだんやで」とおっしゃったことが忘れられません。
午後2時9分、無事、あなたが生まれました。ほにゃあほにゃあという、か細い泣き声が聞こえた後、あなたが私の胸の上に置かれました。そのあまりに軽い身体と命の重さに胸がいっぱいになりました。
退院の日、あなたを手に抱いて、病院の門を出て、まばゆい外の光を見たとき、無事、出産できたことへの感謝の気持ちで、涙がポロポロあふれました。妊娠中、そしてお産と、多くの人に支えてもらいました。私たち夫婦と一緒にあなたの誕生を心待ちにし、祝福してくれた人がいます。
今、この手紙を読むあなたが、きょうも陽だまりのような暖かい愛情に包まれていますように。生まれてきてくれて、心からありがとう。
2018.02.03
いっぱいお乳をあげて
木村寿賀子
いとおしい娘よ、加奈(かな)ちゃん。12月15日に無事に元気な男の子を初めて出産し、本当におめでとう。加奈ちゃんを産んだお母さんは、あなたを出産したときに、不幸にも亡くなってしまいました。一度もあなたを抱くこともなく、一度もあなたにお乳を飲ませることもなく、亡くなってしまいました。
私があなたのパパと結婚したとき、あなたはまだ2歳半でした。人なつこいあなたは、すぐに私をママと呼んで慕ってくれました。ある日あなたは私におずおずと言いました。「ママ、おっぱいが飲みたいな」と。私は、出ない乳房をあなたの口にあてて、あまりのいとおしさに泣きながらあなたを抱きしめました。「これがおっぱいなんだね」と幸せそうな笑顔を浮かべたあなたが、あまりにもせつなくて、私はしばらく涙が止まりませんでした。
加奈ちゃん。今度はあなたが赤ちゃんに、たくさん、たくさんお乳を飲ませてあげてください。たくさん、たくさん抱きしめてあげてください。あなたの赤ちゃんだから、きっと、優しくて、たくましい男の子に育つことでしょう。
2018.01.27
あなたのお母さんになって
小澤ゆり
都生也(ときや)へ。
あなたが生まれてもうすぐ1年になります。この1年、私はたくさんの初めてを経験しました。あなたが生まれてこなければ出会わなかった人たち、行くこともなかった場所、聴くこともなかった音楽……。全てはあなたが生まれてきてくれたから体験することができたのです。
あなたが生まれてくるまでは想像もつかなかった世界は、私の人生の幅を大きく広げてくれました。妊娠中はひどいつわりに苦しんだり、切迫早産で入院したり、めげそうになる時もあったけれど、生まれてきたあなたの姿を見た瞬間、そんなこともすべて吹っ飛んでしまうくらいとてもいとおしく思いました。
あれから1年、笑ったり泣いたり、毎日毎日を全力で一生懸命生きるあなたを見ていると、私も自然と力が湧いてきます。毎晩、あなたの寝顔を見ながら「きょうも一日ありがとう。あしたもよろしくね」と小さな声で話しかけるのが私の日課であり、幸せな時間です。完璧なお母さんにはなれないけれど、愛情だけは誰にも負けないお母さんになります。
生まれてきてくれてありがとう。そして、私をお母さんにしてくれてありがとう。
2018.01.20
お食い初め
ゆっこばぁば
ちーちゃん、お食い初め、おめでとう。ちーちゃんが生まれてから3か月、ずい分長い時間が過ぎたように思いますが、まだ3か月なのですね。
その日は、ママの29回目の誕生日。早朝破水し、陣痛が始まったと連絡があり、ジィジ、バァバたち4人はワクワクしながら病院の控え室で待っていました。夜になり、きょうは無理かなと帰ろうとした時、元気に生まれて来てくれました。
皆、喜びました。ちーちゃんが退院する前の日に先生から、ちーちゃんの心臓にちいさな穴が開いていると聞き、心配しました。どんな人生になるのだろう……。目の前がまっ暗になりました。ママ、パパ、ジィジもバァバもみんなで、ちーちゃんのサポートをできる限りしていこうと決めました。何回か検査をして、少しずつ穴が小さくなってきていると先生から聞いて、少し心が楽になってきました。
お食い初めのタコの足をチュッチュッと吸っているちーちゃんは元気!元気!。いつまで見守っていけるかわからないけれど、大切に思っていることだけは忘れないでね。
2018.01.13
ひいおじいちゃんとあなたのいのち
あおいママ
あなたの妊娠が分かった日、お母さんの祖父、あなたのひいおじいちゃんが他界したと連絡がありました。朝早くタクシーに乗り、屋久島に行ったのを覚えています。悲しい思いを打ち消そうと妊娠の報告をしたかったけれど、まだ安定期でなかったので、できませんでした。
お父さんとお母さんが結婚して3年、そろそろ赤ちゃんがほしいなあと思い始めて、本当にほしいなあと思えば思うほど赤ちゃんがやってこなくて、つらくて、お母さんはたくさん泣いたのを覚えています。なので、あなたの妊娠が分かったときは、うれしいのはもちろん驚きのほうが大きかったです。
だんだんとおなかも大きくなって、お父さんと2人でマタニティーフォトを撮りに行ったのですが、その時初めて「お父さん、お母さん!」と言われ、恥ずかしく照れくさい気持ちになりました。
今はもう4歳、あれから随分と背も伸びて、初めての育児に一生懸命すぎて、手がけんしょう炎になったのも笑い話です。幼稚園で覚えてきた歌やダンス、国旗などを逆に教えてもらう毎日で、お母さんはとっても楽しいですよ。
これからも一緒にたくさん遊んで、たくさん笑いましょう。優しい蒼(あおい)ちゃんが大好きだよ。
2018.01.06
ちぃちゃん
愛甲陽子
お兄ちゃんが2人いて、3番目のお兄ちゃんとしてあなたが生まれたらと、私がつけた名前はちぃちゃん。残念だけど生まれてこなかった。房子おばちゃんに慰められて、中山観音にあなたをおまつりしました。生まれていたら、昨年30歳。お兄ちゃんが結婚して4年たちます。まだベビーの報告が聞けず、早く出て来てと何度もお参りしています。
還暦で就職した私。そのお店の軒先にツバメが巣を作りました。まだ産毛が抜けきってないのに、何度も低空飛行を続ける姿を見て、ハラハラドキドキ。道をヨチヨチしてたら、まるで落ち葉に間違えられて踏まれるんじゃないかと台の上に乗せたら、翌日お店に入って来て、桟の上に止まりました。でも、壁に向かって止まっているから飛ぶこともできず、また両手で包んで台の上に戻してあげました。
次の日見るとツバメの巣からみんないなくなっていたんです。お店に入ってきたのは、お別れを言いに来たのかしら? そう思っていた私の所に、素晴らしい報告が入りました。昨年10月、お兄ちゃんの、お嫁ちゃんからオメデタのご報告。これは、ツバメさんの恩返し? あのツバメさんの大きな黒い瞳が忘れられません。予定日はあなたを亡くした同じ5月だそうです。私は今から「こんにちは赤ちゃん」を練習しておきます。
♪私がバァバよ♪
