ふゆみずたんぼ米新商品発表レセプション
ふゆみずたんぼ米新商品発表レセプション
日時:平成26年10月26日(日曜日) 16:00~17:30
会場:大崎市古川醸室(かむろ)蔵7ふつふつ食堂

蒼空冴え渡る秋の宮城。10月26日、銘柄米「ササニシキ」「ひとめぼれ」誕生の地でもある大崎市にて、同市田尻地区の「伸萌ふゆみずたんぼ生産組合」によって栽培された有機栽培米「ふゆみずたんぼササニシキ」を使った6次化商品の発表レセプションが行われました。会場は、かつての酒蔵を活用した商業施設「醸室(かむろ)」の一画に、大崎市の誇る〝発酵食文化〟の発信拠点としてこのたびオープンするレストラン「ふつふつ食堂」です。「ふつふつ食堂」のオープニングセレモニーも同時に開催されました。

当日は、大崎市の山野耕土から集められたたくさんの恵みを使った料理がテーブルにずらりと並べられ、「ふゆみずたんぼササニシキ」のおむすびや、お披露目された6次化商品である「ふゆみずたんぼササニシキ焙煎玄米粉」から作られたクッキーや、「ふゆみずたんぼササニシキロースト玄米」がトッピングされたアイスクリームもふるまわれました。加えて、地元の酒蔵、一ノ蔵酒造が「ふゆみずたんぼササニシキ」から造った『特別純米原酒「ふゆみずたんぼ」』などもふるまわれました。

出席した方々は、お米のおいしさと豊かな郷土の味を楽しみました。

《「ふゆみずたんぼ」とキリン絆プロジェクト》
「ふゆみずたんぼ」は、江戸時代に会津地方で生まれた〝冬期湛水水田〟という農法で、冬の間、田んぼに水を張っておく農法を指します。冬の間、水を張った水田にはイトミミズや微生物たちが大発生し、これらが活発に動き回ることにより、水底に「トロトロ層」と言われる養分豊富できめ細かな粒子の土の層が形成されます。この層は一年で10㎝近く堆積し、コナギやヒエといった雑草の種を埋め込み発芽を阻むため、雑草の繁殖が抑えられます。加えて、水を張った水田にはカエルやトンボが産卵するため、これらの成長後には稲に付く害虫駆除が自然になされることになります。
大崎市には、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地を保護する条約である「ラムサール条約」に登録されている蕪栗沼があり、近隣の登録地である栗原市の伊豆沼や内沼と併せ、冬には圏域に約8万羽もの水鳥たちが越冬にやってきます。水鳥は落ち穂をエサにしながら冬を越し、田んぼにリン酸や窒素を含んだ糞をたくさん落とします。これが自然による施肥につながります。
このように、冬の間、田んぼに水を入れておくことにより、自然の生態系の中で、微生物や水鳥たちによる施肥効果が得られる上に、害虫や雑草の発生も抑えられ、化学肥料も農薬不要な有機農法が可能になります。

大崎の「ふゆみずたんぼササニシキ」は、こうした環境で育てられたお米であり、復興応援・キリン絆プロジェクトでは、第2ステージ支援の一環として、「ふゆみずたんぼササニシキ」のブランドの強化、およびこのササニシキからの6次化商品創出を支援しています。
《レセプションの様子》
当日は、まず「ふつふつ食堂オープニングセレモニー」として、大崎市の復興まちづくりや同食堂のプロデュースに携わられた宮城大学事業構想学部教授の風見正三氏、大崎市長の伊藤康志氏、株式会社醸室の菊地大樹社長が祝辞を述べられました。それに続いて、「ふゆみずたんぼ米新商品発表レセプション」が開催され、主催者による挨拶の後、関係者から祝辞が述べられました。その後、「ふつふつ食堂」のオープンと、「伸萌ふゆみずたんぼ生産組合」のさらなる未来へ向かう挑戦を祝して、テープカットが行われました。
 
《ふゆみずたんぼ米新商品発表レセプション 主催者あいさつ 要旨》
伸萌ふゆみずたんぼ生産組合 組合長 武田英一 様
武田英一氏本日は多くの方にご出席いただきありがとうございます。当生産組合の生産者は10戸。ラムサール条約登録地内における水田で、農薬・化学肥料を使わずに、渡り鳥と共生したJAS有機の米づくりを行っております。
設立から10年を迎えた昨年6月からは、より安全で安定した生産とブランド力の向上、農商工連携を進めていくため、キリン株式会社様の『キリン絆プロジェクト』のご支援を賜り、低温倉庫や色彩選別機などの導入、組合母屋の設置、パッケージデザインや市場調査などを行ってまいりました。本日は、そのご支援による成果の一部を披露させていただくのですが、伊藤市長をはじめ多くの皆様の前で紹介させていただけますこと、本当にうれしく思います。
今後は組合組織の法人化など、より積極的な営業を展開してまいります。『ふつふつ食堂』様とも連携し、新商品などを披露させていただけたらと考えます。今後も当組合へのご支援やご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。
 
《ふゆみずたんぼ米新商品発表レセプション 祝辞 要旨》
公益社団法人日本フィランソロピー協会 事務局長 落合敦子
落合敦子私ども日本フィランソロピー協会は、企業と個人の社会貢献を応援する公益法人です。キリン株式会社と2011年度より、『キリン絆プロジェクト』のもと、被災地支援をお手伝いさせていただいてまいりました。農業面では、東日本大震災の津波で流されてしまった農器具の寄付からスタートし、2013年度からは『生産から食卓まで』の支援ということで、農業の6次化や地域ブランドの育成などをお手伝いさせていただいておりまして、『伸萌ふゆみずたんぼ生産組合』様へのご支援はその一環です。
自然との共生、生態系の維持を考えながらの農業は、たいへん素晴らしい取り組みであると思います。それがユニークな地域ブランドの育成に繋がり、そこから生まれた商品が増え、それに共感したファンが増えていくことの一助とさせていただいていることを、とても幸せだと感じております。
 
《ふゆみずたんぼ米新商品発表レセプション 商品の概要紹介 要旨》
株式会社アサーティブ&シーエス 桜井真理子 様
桜井真理子氏私は2011年から『ふゆみずたんぼササニシキ』のおいしさを、主に仙台方面で紹介してまいりました。『ふゆみずたんぼササニシキ広め隊』というメンバーの一員です。そのお役目から、今回、商品開発に参加させていただいております
商品のシンボルマークは、マガン、お米、月や太陽をデザインしました。
お米の販売に際しては、今回はペットボトルに詰めてみました。そして『ふゆみずたんぼササニシキ焙煎玄米粉』と『ふゆみずたんぼササニシキロースト玄米』です。『ふゆみずたんぼササニシキ』は、化学肥料も農薬も使わないという安心安全なお米ですので、玄米をそのまま加工するのがベストと考えました。
『玄米粉』は玄米をかなり高温でローストし、超微細なミクロンの単位で粉末にしてあります。とても香ばしく、ご年配の方ならご存知の〝麦焦がし〟のような風味です。お湯に溶かしてコーヒーのように飲む、お味噌汁に入れる、お菓子の材料としてお団子やケーキ生地に混ぜたり、あるいはうどんもOKです。
『ロースト玄米』はカリカリ、サクサクした食感で、お茶漬けのアラレのよう。牛乳をかけて朝食にしたり、サラダにかけたり、アイクリームのトッピングなどにもおすすめです。
《インタビュー点描》
伸萌ふゆみずたんぼ生産組合事務局長 髙橋直樹 様
2003年夏、宮城県が冷害に見舞われたとき、寒さに強い稲を育てようと、有志で米づくりの研究をスタートさせたのがそもそもの始まりです。
同じ頃、蕪栗沼が『ラムサール条約』に登録されそうだという報せもあり、農業者にも何かメリットはないだろうかということも考えて、『有機栽培をラムサール条約登録地内で行うこと』と『登録地にやってくるマガンと共生すること』。これを大きく打ち出して行くことにしました。ガンは干した稲を食べる害鳥、なんて言われたこともありましたが、空を飛んでくる鳥は防ぎようもない。だったら彼らがもっと越冬しやすい環境をつくって、微生物やカエルたちと同じ一連のサイクルの中に入ってもらおうと思ったのです。
この地域では10aあたり9俵(1俵=60㎏)のお米が獲れますが、当初は有機栽培に不慣れだったこともあり4~6俵ぐらい。11年目となった今年は、8俵ぐらいの収量となりました。でも、作付面積も増えていく中で、お米を売るだけでなく、何らかの商品化も必要ということはずっと考えていました。それを強力に後押ししてくださったのが『キリン絆プロジェクト』です。
昨夏から、キリンさんのご支援を得て、焙煎玄米粉やロースト玄米、ペットボトル入りのササニシキなどの商品を開発しました。ペットボトルなら冷蔵庫で保管でき、紙袋よりも長く品質を保っていただけます。精米機のほか、色彩選別機や低温倉庫なども導入することができました。私たちもこれに応えて、ますますおいしいお米を作って、そして安心安全でおいしい商品のラインナップも増やしていきたいと考えています。
株式会社一ノ蔵 名誉会長 浅見紀夫 様
(『特別純米原酒「ふゆみずたんぼ」』の特徴など)
『ふゆみずたんぼのササニシキ』は有機栽培のお米ですので、そのお米の持ち味をどう引き出すか・・・がテーマ。このお酒は純米酒です。お米の味を大切にして仕込み、その味が濃いお酒に仕上がっていると思います。味を引き出すには、バランスよく発行させないといけません。精米歩合は55%。吟醸酒にせず純米酒に仕立てたところがミソです。吟醸酒にすると、キレイでさっぱりした味になってしまってお米の味は残りにくくなります。お米の味を楽しみながら、大崎市の様々な恵みを幅広く受け止められるお酒になっているはずです。
お米は酒造りには欠かせない主原料です。これからも美味しいお米をもっとたくさんつくっていただきたいと願っています。
 
伸萌ふゆみずたんぼ生産組合 組合長 武田英一 様
(米づくりの逸話など))
『ふゆみずたんぼ米』の栽培も10年が過ぎて、やっと軌道に乗ったかなという手応えです。一ノ蔵さんに買い上げていただく量は増えていましたが、収量はなかなか安定しませんでした。化学肥料や農薬を使わない米づくりって田んぼが草だらけになるんですよ。始めたころは、稲だか雑草だか分からないような田んぼで(笑)。でも、薬を使わないで機械で行う除草作業もあり、そういった対応もうまくできるようになって、収量も他の田んぼ並に見込めるようになりました。
ササニシキは化学肥料がちょっと多いとすぐ倒れる。寒さにも強くない。それで1993年の冷害で、皆、ひとめぼれに乗り換えました。でも逆に言うなら、ササニシキは有機栽培に向いている。肥料が少ない土地でもよく育ち、枝分かれが多いので少ない本数でも収量が多いんです。
個人では難しかったこともたくさんありましたが、組合の皆がいたからやって来られたなと思うことはずいぶんあります。コンバインの貸し借りにしても、一般の田んぼと有機栽培の田んぼとでは、コンバインを使い回せなかったり。でも、仲間がいたからクリアできた。例えばそういうことです。
何も分からないところから始めた10年でしたが、分からなかっただけに試行錯誤して、でも、それがおもしろかったですよ(笑)。『ふゆみずたんぼ』『ラムサール』『有機栽培』『無農薬』。4つ揃っているお米はここだけです。今後は後継者問題など技術とはまた違う課題もありますが、安心安全なお米作りはこれからもずっと頑張っていきたい・・・って、いつも皆で話し合っています。
株式会社アサーティブ&シーエス 桜井真理子 様
『ふゆみずたんぼ米』は有機・無農薬のお米というところがポイントです。農薬を使ったお米は玄米のヌカのところにそれが溜まります。精米した白米を加工品にすることは、正直、どこでもやっていることですが、私たちは、せっかくの有機・無農薬で育てられたお米なのだから、玄米のままで何かをつくろうと考えたのでした。
玄米を粉にするとき、これまではどうしても粒度が粗くなってしまいます。それだと他の材料とは混ざりにくい。でも今回は、その点をクリアできるメーカーさんと巡り会えたことで『ふゆみずたんぼササニシキ焙煎玄米粉』ができあがりました。なかなかない商品だと思いますよ。『玄米粉』と『ロースト玄米』を、これからどういうものに展開していけるか、出先の数をたくさん用意することで販売チャンネルも増えていくのかなと思っています。
ただ、『ふゆみずたんぼ米』はすごく人気があって、品薄状態でもあります。むやみにアイテムを増やすことなく、大事に展開していきたいと思っています。
 

公益社団法人 日本フィランソロピー協会
〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル244区
TEL: 03-5205-7580--FAX: 03-5205-7585--Email--Access
Copyright © japan Philanthropic Association. All rights reserved.