理事長ブログ

2019.12.02

第16回 人生100年時代のかっこいい女性二人

観光客であふれる晩秋の鎌倉に、谷口奈保子さん(NPO法人ぱれっと創設者)宅を訪ねた。この日は、ケニアで25年間、ストリートチルドレンを支え、彼らのために奔走するモヨ・チルドレン・センターの松下照美さんが谷口さん宅に滞在しておられるというので、ウキウキ、でもちょっと緊張しながら会いに行った。

 

左が松下さん、右が谷口さん

松下さんは、ご主人が亡くなられた後、1994年に、48歳で、たまたま訪ねたウガンダで出会った13歳の男の子が原点で、活動を始めたそうだ。その男の子は、「妹が亡くなった、土に埋められてしまう」、と言って泣きながら土を掻いていた。抱きしめるしかなかった、という。その後、1996年にケニアに移住し、英語は話せなかったという松下さん、54歳で語学学校に入り、英語を学びながらNGO設立の準備をした。そして、1999年、NGO設立の認可を得て、今日に至る・・・と思ったら、なんと、2000年に脳梗塞を発症した。日本に帰国し、手術。そして、3か月後には再びケニアに戻っている。超短髪は、手術の時に切ったのがきっかけで、そのままのヘアスタイル。ケニアでは洗髪は、体を洗う以上に水を使うし、この方が楽だから、だそうだ。借家で「子どもたちの家」を発足。やってくる子供のほとんどが薬物中毒だそうだ。最初は、ご自身の年金の範囲で活動をしようと思っていたのだが、出身地の四国で支える会が発足し、その後、「ニュー・ホーム」という2軒目を設立。2018年には、政府の「草の根無償資金」とクラウドファンディングで、ストリートの子どもたちのリハビリを有機農法を通じて行う「ドラッグリハビリセンター」を完成、というように、活動も広がってきている。そして、今、74歳。「日本に出稼ぎに行ってくるね、と言っているのよ」と笑う松下さんは、年1、2回は帰国し、支援者への報告を兼ねて、講演などで全国を回っているそうだ。

谷口さんは、松下さんより3歳上の喜寿。NPOぱれっとは、すでに後進に譲り、今は、ぱれっとインターナショナル・ジャパン(PIJ)で、スリランカ、マレーシア、モンゴルの障がい者のための作業所設立、就労支援、支援者の育成に尽力しておられる。お子さんを小児がんで亡くしたことをきっかけに病院ボランティアを経て、再度、社会福祉を学ぼうと、母校に入学、そして、41歳で「ぱれっとを支える会」を立ち上げた。日本ではじめて、障がい者の作業所でクッキーづくりを行った人だ。そして、障がい者の仕事を作るために、売れる商品としてクッキーを位置付けた社会起業家としてのパイオニアでもある。

お二人とも、彷徨う子どもたちのため、障がい者の自立のため、という強い思いから始め、そして偏見や無理解との闘いも苦労も厭わない、まっすぐに突き進む、というシンプルさを持つ。まさに、真実はシンプルであることを実証している。

もう一つの共通点は、70代に入って、今なお、未来に向かっていることだ。それは、自分の夢や生きがいとはかなり違うように思う。寿命を超えて、見ようとする子どもたちの、障がい者たちの未来だ。かっこいい先輩女性二人に触発され高揚した、鎌倉の週末だった。

モヨ・チルドレン・センター https://www.moyochildren.com/

NPO法人ぱれっと https://www.npo-palette.or.jp/

 

左の男性はモヨ・チルドレン・センターの理事で弁護士のボビーさん