
今日の新緑のよき日に大勢の皆さまのご出席のもと、キリンビール「絆プロジェクト 東北『復耕』サポート農業機械贈呈式」を開催していただきありがとうございました。また日ごろより町の産業課、仙台農協ほか関係者の皆さまにはご指導ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。このたびのキリンビール株式会社様、日本フィランソロピー協会様の農業機械の支援につきましては、われわれ農家の要望と農機具の供給が早期にマッチングし、本日贈呈式を開催することとなりました。ひとえに関係機関の皆様の特段のご配慮の賜物と心より感謝申し上げます。
特にキリンビール株式会社様は、自らも甚大な被害を受けたにもかかわらず、ご支援を下さいますことは、農家として言葉では言い表せないくらい感謝感激でございます。昨年3月の大震災では、自宅や所有の農業機械、関連の施設を津波で流され、ほぼすべての農地が大量のがれきやヘドロなどの堆積物に覆われてしまいました。
米の価格低迷や生産調整、米の消費の減少。農業をとりまく厳しい環境の中、町、農協の指導のもと、農家所得の向上や地域農業のため、農家の皆さんが積み上げてきたものが一瞬にして崩壊してしまいました。
七ヶ浜では、環境にやさしく安心安全の減農薬、減化学肥料での環境保全米づくり、新鮮な地場産野菜の直売、給食センターへの食材提供、地場産大豆使用の豆腐、味噌の商品加工などの取り組みが定着しつつあった矢先での大震災となり、大変残念でなりませんでした。
生産組合所有の機械類は、倉庫もろとも津波で流され、原型が分からないほど激しく壊れました。誰もが経験したことのない未曾有の大災害でした。被災者のみなさんもこの1年あまりを大変な思いをして今日まで過ごしてきたと思います。
一方で、さまざまな形の温かいご支援に接し、徐々にではありますが、われわれも前を向いて進むことができるようになりました。本当に有り難く感謝に堪えません。
今、圃場をみるとだいぶきれいになってきております。業者によるがれきの撤去、復興組合でのがれきの片付け、ボランティアによる農地のゴミ拾いなどで少しずつですが着実に農地、農業の復旧復興、営農再開に向け、前に進んでいます。
このような中、関係者の方々のご指導ご尽力により大豆の作付可能な環境整備が整い、吉田浜地区の一部で、震災後当町で初めての大豆5haの栽培に取り組むことが可能になりました。今回ご支援いただいた農業機械を有効に活用させていただき、りっぱな大豆、米を育てていきたいと思います。
この取り組みを営農再開の第一歩とし、1日も早い七ヶ浜町地域全体の復旧復興となることで震災前の生活を取り戻せればと思っております。平成25年からは稲作も可能になるということで、田植え機械、コンバインの使用も待たれることになります。
このたびの支援をわれわれ農家の生産意欲のエネルギーにかえ、地域農業の復旧復興と本格的な営農再開に向けて、農家が一体となり、震災前と同じく環境にやさしく新鮮で安全安心な農産物の生産、提供に挑戦をしていきたいと思います。そのことが今回ご支援をいただいたことへの恩返しになると肝に銘じてがんばっていきたいと思います。
本日ご出席の皆さまには、七ヶ浜生産組合、七ヶ浜地域農業の復旧復興、営農再開に向けまして、ご指導、ご支援をよろしく願い申し上げまして挨拶に代えさせていただきます。