理事長・髙橋陽子のブログ

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髙橋陽子
 
 
2023.05.15
第37回/不寛容な社会に見る優しい光
昨年秋以降、仕事が立て込んでしまい、気が付いたらもうゴールデンウイークも過ぎてしまった。この間、忙しさがたたって体調を崩し、一度救急外来に行った。おかげさまで事なきを得て回復したのだが、その病院で魅力的な言葉に出会った。処置室の壁に貼ってあった言葉だ。「弱い人は人を許さない、強い人は気にしない」。コロナやインフルエンザはじめ救急外来はカオスだ。殺気立ってもおかしくない職場。そこで、医師や看護師、職員がこの言葉を読んで、少しでも心を落ち着けよう、という狙いのようだ。
注文をまちがえる料理店
友人に話したら、これは正確には物理学者のアインシュタインの「弱い人は復讐する。強い人は許す。賢い人は無視する」という言葉だと教えてくれた。高齢社会においてもう一つ加えるとしたら、「老いた人は忘れる」か?(笑) 2025年には高齢者5人に1人が認知症になると言われているが、面白い取り組みがある。認知症の人が働く「注文をまちがえる料理店」も、真正面から認知症の人に対峙するのではなく、ユーモアで返そう、そしてお互い笑顔で赦し合おう、というもの。結果的に誰もがホッとできる場になるかもしれない。
 
5月5日のこどもの日には、各地で様々な行事があったようで、こいのぼりが風になびく雄姿は、希望に満ちて晴れやかな心持になる。が、昨今は何とも不寛容な時代であることを実感する。子どもの声がうるさいから外で遊ばせるな、危ないから公園で遊ばせてはいけない。わが子の勉強の邪魔になるから、あの子とは同じクラスにさせないでほしい・・・etc. 不安や不満がまん延する中での何とも不寛容な時代・・・。 
 
ただ、昨今は、意外にもZ世代の人たちが地域で子どもを育てようとか、今の時代らしい長屋の暮らしを取り戻そうとか、マンションの住人が子どもを預かりあったり、若者が子どもと遊んだりミルクを飲ませたり・・・。学生と高齢者が交流するアパートとか。本来の人の暮らしに見る当たり前の光景を、今風に意図的に生み出す仕掛けづくりが始まっている。しかも楽しそうに軽やかに。こんな取り組みを見ると、どんなに科学技術が進歩しても、だからこそ人は助け合い支え合うようにできているのだと思う。我々は何とも愚かで弱い存在だが、だからこそ人を必要としている。
 
強い人は気にしない×弱い人は許される=支え合う関係があちこちで生まれ、寛容な社会にしていきたいものだ。
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「理事長・髙橋陽子のブログ/第37回」おわり