理事長・髙橋陽子のブログ

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髙橋陽子
 
 
2024.05.01
第39回/農福連携に見たDE&Iのリアル
前回のブログでは、休眠預金等活用による事業で、農福連携事業の資金分配団体に採択されたことをお伝えしました。あれからあっという間に半年が経ってしまいましたが、各地でネットワーカーとして農福連携事業を進めて下さる実行団体8団体を選定し、いよいよ3年間の事業が始まりました。
選定の段階で、特に就労者の多様性を確かめたわけではなかったのですが、意外にも、障がい者、引きこもりの人と共に、触法者を雇用している団体もいくつかありました。尤も、引きこもりや触法者の中に障害がある人もいて、従来型の縦割り行政の福祉では解決しない、という現状もあります。
9月には、東京で実行団体の皆さんに集まっていただき研修会を開催して、情報交換や交流を深めていただき、農福仲間として頑張っていただきたいと思っています。それに前後して、私も現地訪問をしつつ、現場の実態や関係者の声を伺うつもりです。
 
採択事業(案) 8団体・8事業
 
ここ数年、久里浜少年院の少年たちによる花育が続いています。ミニ胡蝶蘭の花を咲かせて、子ども病院や障害者施設などに寄贈するというボランティア活動で、昨年度は、贈呈式にはじめてメディアの人に取材してもらうなど、少年院側の姿勢も社会に開かれてきています。ただ、出院後、仕事がないと再犯につながりやすいのは明らかです。彼らにとっての就労は、人生をやり直すことが出来るかどうかに大きな影響を与えます。農業を通じて、野菜などを育てることの喜びや尊さを体感して、生きる意欲や希望につなげてほしい、と切に願っています。その為に有効なのが、障がい者などと一緒に働き応援してくれる人の存在です。ただ、一緒に働く就労困難者の存在も意外と大きいそうです。すぐに人のせいにしたり、面倒だと言って、怠けようとしている引きこもりの人や刑余者が、障がい者が、何度でもやり直して繰り返し頑張っていたり、周りの人のことを気遣ってくれていて、すごいな、と反省することがあると言います。農作業をサポートしてくれる人と就労している人との間だけでなく、就労者同士の関りから、彼らは多くを学んだり励まされたりするようです。
そんな関りをもっともっと多く持てるよう工夫しなければ、と思います。様々な人と一緒に仕事をしたり生活をすることで、社会人としてやり直したい、やり直せるかもしれない、と思う人が増えるように、私たちに何ができるかな、と日々課題が増えていきます(笑)。
「理事長・髙橋陽子のブログ/第39回」おわり