連載コラム/私の視点・社会の支点
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健康な体と地球のための「CO2ダイエット」
ポスト京都議定書
今年(2008年)になって地球温暖化に関するテレビ番組や新聞記事を頻繁に目にした方も多いのではないでしょうか? 昨年12月には、地球温暖化防止を話し合う国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP13)やインドネシアのバリ島で開催されました。また、今年は京都議定書の第一約束期間が始まり、7月の北海道洞爺湖サミットでは地球温暖化が中心議題になるといわれています。
COP13では温室効果ガスの削減数値目標が盛り込まれなかったものの、アメリカや中国、インドなど大量の温室効果ガス排出国を含めたすべての締約国が参加する枠組みが確認されました。今後、2009年末を交渉期限として数値目標や途上国への技術移転などが検討され、「ポスト京都議定書」が決まることになります。
日本では2005年2月に発効した京都議定書に基づく温室効果ガス削減の第一約束期間が今年4月に始まり、1990年度の排出量を基準として6%の削減目標を達成しなければなりません。しかし、実際の温室効果ガスの排出量は90年度の12.6億トンから2005年には13.6億トンと7.8%増加しています。部門別にみると産業部門は5.5%減少していますが、家庭部門は36.5%も増加しています。家庭部門の排出量が増加している背景には、われわれの生活の利便性や快適性を求めるライフスタイルの変化があります。
CO2ダイエット
みなさんは 『CO2ダイエット』 といいう言葉をご存知でしょうか? これは政府が展開する地球温暖化を防止するための温室効果ガス削減を目指す国民的プロジェクト「チーム・マイナス6%」において、われわれ一人ひとりのライフスタイルを見直すことにより、「1人、1日、1㎏ CO2削減」を行おうとするものです。
『CO2ダイエット』 は、冷暖房の温度調節や水道・電気・自動車の使い方、買い物や商品の選び方を工夫するなど、日常の生活習慣を見直すことから始まります。それはちょうどメタボリックシンドロームへの対応とよく似ています。人間は不健康は生活習慣を続けていると、内臓脂肪が蓄積し、動脈硬化や脳卒中、心疾患を引き起こす可能性が高まりますが、同様に節度のないエネルギーの大量消費は、地球の健康をも蝕みます。
エネルギー消費を抑制することは必ずしも生活レベルを下げることではありません。近年、定着してきた「クール・ビズ」のようにエネルギーを上手に使うライフスタイルに移行し、そこから得られる新たな豊かさを求めることが重要です。ライフスタイルを見直すことによる 『CO2ダイエット』 は、メタボリックシンドロームと地球温暖化というふたつの深刻な生活習慣病を防止し、われわれの健康な体と地球を取り戻すことにつながるのではないでしょうか。