連載コラム/私の視点・社会の支点
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東日本大震災~長い道のりを一緒に走ろう!その2
ラン・バイ・テン(RUN×10)
3月11日(金)午後2時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生。その後、東北から関東地方にかけて太平洋沿岸の広い範囲に押し寄せた大津波により2万7千人近い人が死亡・行方不明になっています。犠牲になられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。東日本大震災から1ヶ月あまりが経ち、被災地では未だ15万人以上の人たちが避難所生活を余儀なくされています。その後も続く強い余震や原発事故の収束の見通しが立たないことから、被災地の心労と不安はどれほどかと察します。
日本中の人たちが被災地の復興支援を願い、世界各地からも『頑張れ・ニッポン』という応援が届いています。そんな中で日本赤十字社や中央共同募金会などに寄せられた義捐金は1,283億円(4月6日現在)に上っています。今回は特に個人からの寄付が多いといいます。今、何か被災地の役に立ちたいと願っても具体的な行動を起こすことはなかなか難しく、義捐金は被災地支援の第一歩かもしれません。
私は震災直後、趣味のランニングをする気になれませんでしたが、ようやく4月から再開しました。震災以降、市民ランナーの間で『ラン・バイ・テン』という活動が広がっています。これはランナーが走った距離に応じて1キロメートル当たり10円を被災地に義捐金として寄付するものです。私は4月は200キロを目標に走っていますが、マラソン同様、復興までの長い道のりを被災地の人たちと一緒に走り続けたいと思います。
お花見
東京では昨年より5日遅く4月6日に桜が満開になりましたが、日本各地でお花見は自粛されています。私は昼休みに会社近くの桜の名所である千鳥ヶ淵へ出かけてみました。今年の人出はやや少なく、夜間のライトアップの設備もありませんでした。しかし、満開の桜をみると、連日テレビで目にする被災地の惨状や原発事故の不安で重たくなった心が幾分軽くなったような気がします。
今回の震災で甚大な津波の被害が出た三陸海岸の町では、これまで津波を何度も経験し、防潮堤の設置や避難訓練など万全の対策を講じていたといいます。しかし、想定をはるかに上回る津波が押し寄せ、日頃の備えも十分には役立たなかったようです。決して住民の人たちが油断していた訳ではないでしょうが、自然災害はそれを軽く上回ったということです。
津波の被害が出ると高い堤防を築き、それを超える津波が押し寄せるとさらに高い堤防をつくる、このようなことを繰り返しても「自然の力」はいつか人間の想定を超えてしまうのではないでしょうか。元来、日本人は自然とともに暮らしてきました。今後、被災地の本格的な復興には、人間も自然の一部として自然と共生できるまちづくりが必要です。
東北地方では4月の中旬から下旬にかけて桜が満開になることでしょう。被災地ではお花見どころではないといわれるかもしれませんが、満開の桜をみると被災者の方々の心も少し明るくなるのではないかと思われます。大津波という「自然の力」が街全体を根こそぎ流し去り、甚大な被害と大きな悲しみを人々に与えました。しかし、満開の桜をみていると、人々に復興に向けた希望と勇気を与えてくれるのも、また「自然の力」ではないかと思えます。これから桜が咲く春を迎えるたびに被災地の復興への確かな歩みが進むことを願っています。