理事長ブログ

2020.05.01

第21回 コロナ禍での企業フィランソロピー大賞受賞企業2社の「経世済民」

2003年より、自社の資源を生かして社会貢献をする企業を顕彰する、企業フィランソロピー大賞を主宰している。この賞の特徴は、経営者の関与、社会貢献活動と経営のベクトルが合っていることが大事な評価基準となっている。これまで、受賞いただいた企業は、いずれも卓越した事業を行い、それをけん引する経営者の皆さんの経済活動の原点は「経世済民」だったことが、主宰者として大きな誇りである。
最新の第17回大賞受賞企業は、どうにも甲乙つけがたく、初めて2社受賞となった。第一勧業信用組合(東京都新宿区)と北良株式会社(岩手県北上市)だ。
経営者のお二人とも、人への愛を感じる、まさにフィランソロピストそのもの。人類のために、という総論的にではなく、目の前の人のいのちを守ろう、という愛と信念に裏打ちされている。そのうえで、創意工夫の人で、イノベーティブな商品やサービスをどんどん打ち出している。
このたびのコロナ禍での2社の対応も、素晴らしいので、ここでご紹介したい。

北良株式会社の笠井健社長は、東日本大震災後、助けられなかったいのちがあることが心に刺さり、いのちを助けることに奔走しておられるが、コロナ禍でも、早々に肺疾患などの患者が自宅で使う酸素ボンベや人工呼吸器を配送する際にマスクを配布。また、グループ会社岩手電力は、ホームページで日常的に医療行為が必要な「医療的ケア児」や、難病患者のいる世帯向けに提供した。ホームページを見ると、かわいいキャラクターの横に、「待っててね 必ず助けに行くよ」というメッセージが書かれている。熱い思いが伝わってくる。そして、今度は、北良・いわて電力 x 南部美人(岩手の酒造メーカー)のコラボで消毒用アルコールの地産地消を実現した。手に入らないのなら、地元で作ってしまおう!という精神だ。
新型コロナで不足する消毒用アルコールを南部美人が製造し、地域の医療従事者と在宅患者に届けるプロジェクトを開始。厚生労働省より高アルコール酒の消毒用への転用を認める緩和措置を受けて、笠井社長が、南部美人の久慈浩介社長にメッセンジャーで相談を持ち掛け、2週間で製造、出荷まで漕ぎつけた。今回の配布対象は高い感染リスクに晒される医療機関や訪問看護ステーション。走り回っている姿が目に浮かぶ。

もう一人、走り回っている人がいる。
第一勧業信用組合の新田信行理事長である。今、ほとんど本部にいない。取引先の企業を回っているそうだ。1000万円以上を融資している約2500社の4割から資金繰りの相談が来ている。「コロナの影響がなければ倒産しない取引先は1社たりとも潰さないという方針でやっている。コロナ特別枠を作って自前の低利融資も始めた」(日経新聞4月22日朝刊)。そして、各社で、「資金繰りは任せろ。仕事のことに集中しろ」と言って回っているのだ。熱く語っている新田理事長の顔が思い浮かぶ。
「人を大切にする金融機関」を地で行く取り組みに、頼もしさとともに、感動すら覚える。

 

写真中央が新田氏 その右側が笠井氏

現在、当協会でも、各社のコロナ感染拡大防止、それに付随する支援のニーズやシーズの情報を集めている。先週は、会員企業のCSR担当の皆さんとの初めてのオンライン・ミーティングを開催した。活発な情報交換があり、ニーズをしっかり見据えて、何が出来るかを、真剣に考えておられる。議論していて、嬉しくもあり、ご期待に応えなければ、と身が引きしまる。
そして、今年度も、第18回企業フィランソロピー大賞の募集を始める準備に取りかかった。各地の大小さまざまな「経世済民」を実現している企業の応募を楽しみにしている。