理事長ブログ

2020.12.01

第25回 子どもたちのボランティア活動が教えてくれたもの

コロナ禍の収束が見えない。第3波が来たようで、いのちと経済活動の両立を目指しながら、ではあるが、その両方ともに暗雲が立ち込めている。VUCA(注1)の時代の教科書のような時代が一気に来た感がある。これまでの制度・意識・行動で見直しが求められている。
一つ言えることは、間違いなく人間が自然の摂理を無視して、経済優先の価値観で突き進んできたことが大きな要因であることだ。最近、企業もいよいよ、地球の持続可能性のために真剣に動き出している。では、実際の日常生活では何が必要なのだろうか? 最近よく言われるネガティブ・ケイパビリティ(注2)を鍛えることが大事なように思う。すぐには答の出ない状態に耐える力とでもいうのか、ただ我慢する、ということではなく、わからないことを、まずは横に置いておき、その中で、できる努力をし続ける、ということだが、そこで重要な鍵は「共感する力」だと言われている。

先週の週末、紅葉が美しいであろうことを想像しつつ、「コロナ禍で、家にいるのが一番賢明」と自分に言い聞かせて仕事三昧。PGF生命が主宰する、今年で24回目となる中高生のボランティア活動の顕彰事業「ボランティア・スピリット・アワード」の審査をするために、応募資料と格闘していた。その結果、休日に仕事をしていた御褒美なのか、子どもたちの素晴らしい活動に触れられて、心が高揚(紅葉ではなく)した。ウーン、と唸るほどなのだ。子どもたちの想像力・共感力はずば抜けている、と思う。そして、何とかしたい、という思いで活動を始めてみて、問題が起こると、さまざまな工夫をしたり、モノを作るための開発をしたり、周りに働きかけたり、企業に相談に行ったり、事業化まで考えている。しかも、全国から賞の候補としてあがってきた学校は、進学校とは限らない。いわゆる偏差値で言ったらさまざまだ。
教師など指導者の力も大きいと思うが、それは、教えると言うより、引き出す、という事なのだと思う。利他心、共感力は、利己心と共に、本来人間に備わっている本性である。
そう考えると、従来の教育は、利己心を助長することは多かったが、机上の知育に偏りすぎて、利他心・共感力を引き出すことが欠けていたのかもしれない。利他心・共感力を発揮し、それを周囲に拡げ、けん引するリーダーシップ、それを私たちはソーシャルリーダーシップと呼んでいるが、子どもたちの中にそれを見た思いである。
今、当協会で進行中のプログラム「中高生によるチャリティームービープロジェクト」もその一つだ。コロナ禍で、何かできることはないか、とインターネットで探し当てて参加してくれている。動画づくりは初めての子どもたちが殆どだ。でも、彼らのチャレンジは意欲的で粘り強い。是非、子どもたちが作ったNPO支援のための動画をご覧いただいて、一票(寄付で!)を投じていただきたい。

◆「中高生によるチャリティームービープロジェクト」特設サイト:
 https://www.philanthropy.or.jp/charitymovie/

次世代を担う子どもたちは、頼もしい。彼らにバトンを渡す私たちが、しっかりせ・ね・ば。

 


中高生によるチャリティームービープロジェクト

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(注1)VUCA
Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つの単語の頭文字をとった造語で、読み方はブーカ。取り巻く社会環境の複雑性が増し、次々と想定外の出来事が起こり、将来予測が困難な状況を意味する言葉。

(注2)ネガティブ・ケイパビリティ(英語: Negative Capability)は詩人ジョン・キーツが不確実なものや未解決のものを受容する能力を記述した言葉。日本語訳は定まっておらず、「消極的能力」「消極的受容力」「否定的能力」など数多くの訳語が存在する。『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』によると、悩める現代人に最も必要と考えるのは「共感する」ことであり、この共感が成熟する過程で伴走し、容易に答えの出ない事態に耐えうる能力がネガティブ・ケイパビリティとある。