理事長ブログ

2021.03.01

第27回 東日本大震災から10年目の今、「共生」について思う

2011年3月11日の東日本大震災から10年が経つ。そして、今、昨年からの新型コロナ禍で、いまだ収束が見えない中、皆それぞれが、手探りで必死に生き抜くことを模索している。昨今の状況は、産業革命以降、科学技術発達による便益を追い求めてきたあまり、自然の摂理を無視した人間社会の在り方への自然からの警告と受け止めるべきだろう。
一方、東日本大震災では、多くの人たちが已むに已まれぬ思いで、あるいは恩返しをしたくて、応援に駆けつけたり、多額の寄付を行なった。そして、コロナ禍の今、医療従事者はじめエッセンシャルワーカーの人への感謝、より困窮している人たちへの共感で、多くの寄付や応援物資が届けられている。私たちは、未曽有の被害の中で、この地球上で共に生きているのだ、ということを改めて実感している。これは、支援する人、される人、という固定的な関係ではなく、まさに共に痛みや苦しみを共有し、喜びを分かち合いたい、という「共生の思い」なのだと思う。
東日本大震災発災後、福島県郡山市の避難所になっていたビッグパレットには大勢の被災した人たちが避難してきていた。当協会の理事の村木厚子さん(元厚生労働事務次官・当時内閣府政策統括官)は大臣とともに慰問に行っていた。冤罪で逮捕され、その後無罪が確定して仕事に復帰していた。避難していた人たちが、村木さんを見つけるや、「村木さん、がんばってください」と声をかけてくれたそうだ。自分は被災者の皆さんを励ましに行ったはずが、反対に慰められて、恥ずかしかった、と、話してくれた。でも、むしろ村木さんを励ますことで、被災者の人たち自身が自らを奮い立たせることになるのですね、とも話し合ったことを思い出す。
大阪にHomedoorというホームレスの自立支援をしているNPOがある。ホームレスのおっちゃんにレンタル自転車の仕事をしてもらい、就労支援や住宅を提供して、自立に向けた応援をしている。先日、当協会のセミナーで、その動画を見せてもらう機会があった。最後に、おっちゃんが、「皆さん、Homedoorを応援してください」と言っていた。支援されるおっちゃんが、支援してくれている団体に応援メッセージを寄せている。支援する人、される人の関係は固定していない。その時々で、信頼をベースに支え合い助け合っていくこと、そのことを自覚できることが元気の源泉のように思う。痛みや苦しみ、そして喜びを共有する「共生の心」こそ、フィランソロピーの原点である。
前回のブログでご紹介した久里浜少年院の話もそうだと思う。圧倒的に彼らは、いま、困難だらけの状況ではあるが、他を思う心がある。それを表出し、行動に移すことで、自分自身の生きる力になる、と信じたい。
当協会も、来年度は、企業やNPOをつなぎながら、そこで働く人たちと共に、心豊かな地域づくりのために、きめ細かい網の目のネットワークづくりに尽力したいと思っている。