日本の寄付文化醸成をめざす
第20回 まちかどのフィランソロピスト賞

1998年(平成10年)創設
後援:文部科学省(青少年部門)  特別協賛:西武信用金庫

選考委員による書類選考およびヒアリング(訪問面談)を経て、次のとおり贈呈先が決定いたしました。青少年部門は、『青少年フィランソロピスト賞』 (後援:文部科学省) として実施しております。贈呈式 は、2017年12月12日(火)に 學士會館(東京都千代田区)にて開催しました。1998年に創設しました『まちかどのフィランソロピスト賞』は、第20回をもって終了いたしました。「わが国における寄付文化の醸成」という本賞の開催趣旨は、2019年1月25日スタートの新事業「誕生日寄付」が継承しております。

一般部門

まちかどのフィランソロピスト賞

川野 幸夫(かわの ゆきお)様(埼玉県川越市)

1942年生まれ。スーパーマーケット大手の株式会社ヤオコーの創業者、会長の川野幸夫さんは、埼玉県の名門進学校、県立浦和高等学校の卒業生である。同校の校長から、海外に留学する生徒への金銭的援助を頼まれたことをきっかけに、同窓会による奨学金事業を始めた。
その後、同窓会は奨学財団を設立、川野さんは、発起人として自身が所有するヤオコー株式26万株(時価総額13億円以上)を同財団に寄付。奨学金事業は、主なねらいが在校生への学費支援ではなく、留学費用などグローバル人材育成にある点が特色である。浦和高校の「リーダーたるべき人材を育成する」という教育目標と、川野さんの「今こそ、グローバルに活躍できる人材の育成が重要」との考え方に基づいている。現在は、留学奨学金(一人当たり60万円)に加え、経済的理由で進学が困難な卒業生に対する進学奨学金(一人当たり50万円)も行っている。これをきっかけに、同窓会事業のモデルとして関心が集まり、埼玉県の他校や、広島県や福岡県の高校同窓会にも広がりを見せている。
川野さんの高い見識と次世代育成への強い思いによる寄付は、同窓会を動かし母校への思いをフィランソロピー精神へと深化させた。卓越したリーダーシップは、若者に大きな勇気と希望を与えるものである。「まちかどのフィランソロピスト賞」として感謝と共に称えたい。

まちかどのフィランソロピスト賞

髙橋 陽介(たかはし ようすけ)様(東京都世田谷区)

1971年生まれ。父親の仕事の関係で6歳から大学卒業までニューヨークで暮らし、ボランティア活動が当たり前の環境の中で成長した髙橋さんは、帰国後も、さまざまなボランティアや寄付活動を積極的に行ってきた。児童養護施設から巣立つ子どもを支援する特定非営利活動法人ブリッジフォースマイルの活動に関わったことがきっかけで、施設の子どもたちの高校卒業後の進学率は約20%と知り、彼らの未来への継続的な支援、そして支援規模も広げたいと決意した。
「サイクリング・フォー・チャリティ」を立ち上げ、趣味の自転車で日本を走り、その走行距離に応じて寄付金を募る活動を開始した。2015年の初年度は、一人で東京から宮城県・石巻までの536キロを走り、93人のスポンサーから63万円が集まった。2年目は長崎から神戸までの1,050キロを二人で走り、180万円が集まった。3年目の今年(2017年)は7月から8月の1か月間で東京から北海道女満別までの2,551キロを走行。小学生から80代まで、海外も含めて118人が参加し、350人以上のスポンサーから集まった寄付金は目標額500万円を超え、3団体に寄付をおこなった。
今年は1か月間の走行を予定したので、勤務先の社長に直談判して休暇許可をもらい、完走。運営資金の約100万円は髙橋さんが個人で負担している。
自然体で、愉快にがんばる髙橋さんに共感し、支援の輪も広がっている。趣味を生かし、仲間を募る、今後の寄付活動への示唆を含んでいる。未来を担う子どもたちのロールモデルになりたい、というさわやかなビジネスマン髙橋さんにエールをおくりたい。

特別賞

川淵 三郎(かわぶち さぶろう)様(千葉市)

1936年生まれ。早稲田大学・古河電工でサッカー選手として活躍、東京オリンピック代表。社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ。現・公益社団法人日本プロサッカーリーグ)を設立して初代チェアマンに就任。現在は、公益財団法人日本サッカー協会最高顧問であり、公益財団法人日本バスケットボール協会エグゼクティブアドバイザー、一般社団法人日本トップリーグ連携機構代表理事会長も務める。
川淵さんは、Jリーグの三つの理念「(1)サッカーの技術向上と普及促進、(2)豊かなスポーツ文化の振興と国民の心身の健全な発展への寄与、(3)国際交流親善の実現」と、その先にある「百年構想」と名付けたスポーツを通した幸せなコミュニティづくり、国づくりを目指し、Jリーグそしてスポーツ界を牽引してきた。
寄付の始まりは25年前。「百年構想」を実現するためには、日本でもスポーツを地域社会全体で支えていく寄付文化を広げなければならないと考えていた矢先、「さわやか福祉推進センター(現・公益財団法人さわやか福祉財団)」の活動を新聞で知ったことがきっかけとなった。検事を辞し、「ふれあい社会の創造」のために各地でボランティア活動を推進する創設者・堀田力氏に共感し、個人として毎年、ご自身の誕生日に寄付を続け、1993年から昨年までで24回、累計1,500万円を超える。寄付額は、寄付を始めた時に堀田氏からアドバイスされた「ちょっと痛いなと思うくらいの額がいい」という言葉を守っている。
志高く、信念の人である同氏の息の長い誕生日寄付は、若者の生き方への大きな示唆として、また、新たな寄付文化醸成への力強いモデルとして、広く世に示したい。


◆青少年部門 は、青少年フィランソロピスト賞 をご覧ください。

贈呈式

今年度の贈呈式は20周年特別イベントとして開催いたしました。「まちかどのフィランソロピスト賞」の変遷、寄付をとりまく社会環境の変化などを振り返り、受賞者の皆様の活動内容と未来に向けたメッセージを共有しました。

開会ごあいさつ

日本フィランソロピー協会理事長 髙橋陽子の開会ごあいさつ

来賓ごあいさつ

林芳正文部科学大臣からご祝辞をいただきました。
(文部科学省大臣官房審議官 神山修氏が代読)
西武信用金庫 常勤理事・法人推進部長 髙橋一朗 様

講評

選考委員長・出口正之氏の講評では、選考の観点、受賞の皆さまの寄付活動の影響力、波及性などをお話しいただきました。

受賞者ごあいさつ/活動発表

活動を始めた動機や未来に向けたメッセージをいただきました。

「まちかどのフィランソロピスト賞」川野幸夫 様
「まちかどのフィランソロピスト賞」髙橋陽介 様
「特別賞」川淵三郎 様
「文部科学大臣賞」福津市立福間中学校 地域の一人暮らしのお年寄りに年賀状を送る「福招き年賀状大作戦」の活動を紹介していただきました。
「西武信用金庫賞」武蔵村山市立第八小学校 ラオスの学校建設のために自分の頑張りや我慢を寄付に替える「ワンコインスクールプロジェクト」の活動紹介をしていただきました。
「奨励賞」宮城県志津川高等学校
「奨励賞」北海道帯広養護学校
「奨励賞」榮島四郎 様 お母さまが四郎さんのお手紙を代読してくださいました。
「奨励賞」杉澤真生 様
「奨励賞」乳井丈弥 様 「児童養護施設支援の会」の仲間と一緒に

 パネルディスカッション (内容は下記をご覧ください。)

懇親会

日本フィランソロピー協会会長浅野史郎ごあいさつ
サッポロホールディングス株式会社
梅里俊彦様に乾杯のご発声をいただきました。
受賞された皆さまを囲み、和やかな交流の機会となりました。

20周年記念 パネルディスカッション

「人は、なぜ寄付をするのか~歴代受賞者の現在と寄付推進のメッセージ」

歴代受賞者を代表してお三方にご登壇いただくパネルディスカッションを行いました。第10回受賞者の宗次徳二様、第11回青少年部門受賞者の戸津亜理紗様、第14回受賞の中里れいさんのお父さま・中里圭一様にご登壇いただきました。現在も活動を継続し、その輪を広げておられるお三方から、「寄付をする、される」「支援する、される」という固定的な関係ではなく、「支え合い」「助け合い」という関係性、「自分にできることは何だろう」と考えることが寄付活動の根本にあることをお話しいただきました。

<パネリスト>

宗次徳二 (むねつぐ・とくじ) 氏
第10回まちかどのフィランソロピスト賞受賞者
CoCo壱番屋創業者・特別顧問、特定非営利活動法人イエロー・エンジェル 理事長
「CoCo壱番屋」上場に際し持ち株を売却した二十数億円を投じ名古屋に音楽専用ホールを建設。また、夢と目標を持って一つのことに打ち込んでいる方々への支援として、創業支援、芸術家、スポーツ選手および福祉の支援、青少年に楽器を贈る運動等を行っている。

戸津亜里紗 (とづ・ありさ) さん
第11回まちかどのフィランソロピスト賞 青少年部門受賞者
受賞当時大学生だった戸津さん。脊髄性筋萎縮症を患っている。小学生の時からインドネシアの障害児へ中古車椅子を贈り続け、支援の輪を広げてきた。現在は、現地の貧しい学生のための奨学金制度を開始。

中里圭一 (なかざと・けいいち) 氏
中里れい (なかざと・れい) さん(8歳)

第14回まちかどのフィランソロピスト賞「特別賞」受賞者
受賞当時2歳だったれいちゃんは、ご両親の考えで周囲から言われる「ありがとう」の回数×20円を寄付に充てている。寄付金は途上国の子どもたちのワクチン接種に使われている。

<コーディネーター>

髙橋陽子
公益社団法人日本フィランソロピー協会 理事長

第20回 まちかどのフィランソロピスト賞 実施要項

趣旨

日本の寄付文化醸成をめざす

「社会の役に立ちたい」という思いや「こういう社会を作りたい」という理想を持って寄付を行なう人は少なくありません。このような寄付活動はフィランソロピーと呼ばれ、米国ではたいへん盛んですが、日本では寄付に対する評価はまだまだ低く、寄付をした人も「陰徳」こそが好ましいといった価値観に支配されやすく、その実態はよく分かっておりません。
こうした中で、当協会では、さまざまな思いやエピソードを秘めた寄付を広く紹介し、日本に寄付の文化が育つことを願って、1998年(平成10年)に本賞を創設しました。
2005年(平成17年)からは、少年期・青年期における体験や経験を通じて、次代を担う若者の寄付活動を推奨し、豊かな心の育成と、社会参加が広がっていくことを願い、<青少年部門>を設けました。
なお、青少年部門は2010年より文部科学省の後援を受けて 『青少年フィランソロピスト賞』 として拡充実施しております。

対象

ご応募方法
当協会所定の推薦書用紙にご記入の上、下記事務局へご送付ください。ご応募は、他薦に限ります。
推薦書用紙は こちら からダウンロードできます。

ご応募締切
2017年7月24日(月) ※消印有効

選考

選考方法
書類審査および訪問審査(ヒアリング)

選考基準
・フィランソロピー精神(人類愛)から生まれた寄付であるもの
・社会のために役立つ寄付であるもの
・寄付にあたって人々を感動させるエピソードがあるもの

選考委員 (敬称略)
選考委員長
 出口 正之 国立民族学博物館 民族文化研究部 教授
選考委員 (50音順)
 落合 寛司 西武信用金庫 理事長
 河崎 保徳 ロート製薬株式会社 広報CSV推進事業部 部長
 小林 征人 大和ハウス工業株式会社 CSR部 社会責任グループ グループ長
 二宮 かおる カルビー株式会社 社会貢献委員長

表彰

贈呈品
一般部門: 賞状のみ(賞金はありません)
青少年部門:賞状および活動奨励金

贈呈式
2017年12月12日(火) 學士會館(東京都千代田区)にて開催。

事務局

≪ご応募書類お送り先・お問い合わせ先≫
公益社団法人日本フィランソロピー協会
『まちかどのフィランソロピスト賞』 事務局
担当: 石榑 康利 (いしぐれ・やすとし)、宮本 栄 (みやもと・さかえ)
〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル244
TEL: 03-5205-7580 FAX: 03-5205-7585
E-mail: こちら のお問合せフォームをご利用ください。

Project Data

カテゴリー:
この事業のお問い合わせ先:
お問い合わせフォーム
最終更新日:

2025.9.2