
昨年は当協会にご支援・ご協力賜り、誠にありがとうございました。
能登半島地震発災からちょうど1年がたちました。新しい年を迎えましたが、現地では、秋の豪雨災害が重ねて襲い、まだまだ復興には時間がかかるようで、当協会におきましても、企業の皆様とともに様々な形で復興に寄り添っていければ、と考えております。世界に目を向けますと、各地での紛争が収まらず平和も程遠く、経済格差が分断を生む構図がはびこっています。平和への哲学あるリーダー不在を認めざるを得ない状況です。
このように、将来が見通せないVUCAの時代において、昨年は若者の動きに期待が膨らむことがありました。2024年のノーベル平和賞は日本原水爆被害者団体協議会に授与され、平和大使として4名の高校生もオスロに出向き、現地の同世代の若者と交流をしたそうです。帰国後には「いまを生きるすべての人が核兵器の問題を自分のこととして考えられるような平和教育が大切だ」と訴えていたことが印象的でした。
当協会は、次世代育成のためのシティズンシップ教育を継続的に行ってまいりましたが、今後は、子ども・若者支援に、より一層注力してまいります。今、苦しんでいる子どもたち、孤立している子どもたちを救い応援する活動と、自らが一市民としての役割を持ち、人間としての共感を軸に社会貢献活動を推進するための市民教育活動の両側面からの事業を進めてまいります。親身に応援してもらった経験を持つ子どもが、他を思いやり、応援することができるそうです。支援する側・される側という固定的な関係性ではなく、共に支えあい、力を出し合う関係を紡いでいきたいと願っています。
さらに、より効果的な成果を出すためにも、企業やNPO、学校、行政などできるだけ多くの団体などと連携し、各地域で活動を面的に拡げていきたいと考えています。そして、住民の参画も視野に入れ、子どもたちの持つ利他の心を育み、引き出すために、大人が真剣に考え、行動する姿を示していきたいと思います。そのためのコーディネーターとしての使命をしっかり果たしてまいります。
すでに展開中の次の主要3事業も、次世代に視座を置き、面的拡がりをめざしてまいります。
- 企業の従業員等のボランティアや寄付を中心にした社会貢献活動の推進事業
- 全国各地の8団体とともに進めている農福連携事業
- 個人の寄付文化醸成のための「誕生日寄付」事業
当協会のミッションである「健全な民主主義社会の創造」をめざし、若者や子どもたちが希望を持つことができる地域社会を皆様と共に創るため、尽力してまいります。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2025年(令和7年)1月
公益社団法人日本フィランソロピー協会
理事長 髙橋 陽子