理事長・髙橋陽子のブログ

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髙橋陽子
 
 
2024.12.16
第42回/堀田力さんを偲んで
堀田力さん
 
故・堀田 力さん
2022.6.15 さわやか法律事務所にて
(写真をクリックするとインタビュー
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2024年11月24日、当協会の理事・顧問として長くご指導いただいた、さわやか福祉財団創設者(前会長)の堀田力さんが老衰でお亡くなりになった。90歳だった。
 
堀田さんは、1991年11月にさわやか福祉推進センター(現さわやか福祉財団)を設立なさったのだが、その直後だったと思うが、新聞で「ロッキード事件の鬼検事が福祉の世界へ」というような記事を見た。私自身、1991年4月にスクールカウンセラーからフィランソロピーの世界に飛び込んで、何もわからないまま右往左往していた時期だったので、堀田さんとはどんな人なのだろう、と会いたい一心で、青山にあった堀田さんの事務所を訪ねたのが初めての出会いだった。「カミソリ堀田」と言われた方とは思えない、静かで穏やかな語り口で、福祉の世界に入った思いや、これからの抱負について伺った。それ以来、さまざまな場面でご指導いただいたり、励ましていただきながらここまで来たように思う。
 
2年前に倒れられてからは、毎年、暮れのご挨拶の手紙で、当協会の近況などをお伝えしていた。今年も何をお伝えしようかと思いながら、地域での助けあい・支え合いを拡げる必要性を一貫して説き、かつ実践しておられた様を思い出しながら、「健全な民主主義社会の創造」を目指す当協会としても、地域の人たちや企業人などの参画をより進めて、先生を見習わなければ、と遅まきながら実感している、というようなことを書いて、翌朝、手紙を出そう、と思っていたら、さわやか福祉財団理事長の清水肇子さんから訃報が届いた。
届ける相手がいなくなった手紙となってしまった。
 
堀田さんは、助けあい・支え合いの社会を創る、という信念で、その実現のために後半生を捧げられた。いろいろな場面でお目にかかる堀田さんは、にこやかでユーモアにも溢れ、それでいて厳しいコメントもいただいた。そして何よりも行動の人だった。70代後半だったと思うが、「仕事以外の活動をして、2枚目の名刺を持とう」ということをサラリーマンに向けて伝えるために、山手線の全駅の駅前で、各駅1週間ずつ辻説法をなさった。春先から始め、まさに雨の日も風の日も続けられた。これには度肝を抜いた。指南するだけではなく、行動で示す様は、倒れられるまで続いた。第1の人生は、検事として、第2の人生は福祉の世界で活躍され、さまざまな施策へと道を作っていただいた。そして、第3の人生は、既成概念を超えて、身体が不自由になった高齢者の生き方、あり方を示していただきたいと思っていたが、叶わなかった。後に続く私たちが、さまざまな教えをしっかりと受け取り、助けあい・支え合いの社会づくり、人づくりを続けていかなければ、と心して進みたい。
 
心よりの感謝と共に、ご冥福をお祈りしたい。
 
「理事長・髙橋陽子のブログ/第42回」おわり

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