昨年（2024年）秋の経団連の調査では、企業の社会貢献活動の重点分野・領域は「環境」「次世代育成」「地域コミュニティ」がトップ３でした。今回の基礎講座ではこれらの問題を別物と捉えるのではなく高い視座で問題を把握し企業の役割と活動を考えていきます。とくにこの回では「環境」と「地域コミュニティ」の融合を「社会のあるべき姿」という視点で考えます。世界的潮流として企業には拡大生産者責任（EPR）が求められています。環境負荷低減もEPRに期待される重要な機能の一つですが、もたらされる循環型社会と地域づくりは相補的関係にありシナジー効果が高いと考えられます。循環とはつながりであり、モノだけでなく人と人がつながることが不可欠だからです。日本のみならず経済発展著しい国々は少子高齢化が進み地域コミュニティのつながりは希薄化しています。私たちが暮らす地域コミュニティは、行政頼みから脱却し、つながりと相互扶助力を高めていくことが期待されています。

この回では、国内外において自律分散・循環型の地域モデルを創出してこられた佐藤博之さんに、社会のあるべき方向性について、日本や海外（インドネシア、島国パラオなど）における取り組み事例を豊富に織り込んでお話しいただきます。

佐藤 博之（さとう ひろゆき）さん

アミタ・サーキュラーデザイン株式会社 取締役会長
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン（GCNJ）理事

＜プロフィール＞
財団法人日本環境協会にてグリーン購入ネットワーク（GPN）を立ち上げ、事務局責任者を務める。その後、アミタグループに合流。宮城県南三陸町をはじめ、国内外における自立分散型の循環型地域モデル創出の開発責任者を務める。2016年以降、事業会社であるアミタ株式会社の代表取締役、アミタホールディングス株式会社の代表取締役兼COOを務め、現在、グループの海外事業を統括するアミタ・サーキュラーデザイン株式会社取締役会長。グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン（GCNJ）理事。
著書には、『SDGs ビジネス戦略』［共著］（日刊工業新聞社)、『里地からの変革ー地球環境時代のふるさとづくり』 ［共著］（時事通信社)など。