選考委員 による書類審査およびヒアリング選考を経て、次のとおり贈呈先(受賞企業)が決まりました。
贈呈式 は、2016年2月16日(火)にプレスセンターホール(東京都千代田区)にて開催しました。
企業フィランソロピー大賞
株式会社リクルートホールディングス
(東京都千代田区)
活動の名称:ホンキの就職
<贈呈理由>
同グループは、若年層(15歳~34歳)の未就職が大きな社会問題になっている昨今において、新卒未内定者・ニート・フリーターなどの「若年未就職者」に対して、本業で蓄積した就職支援の知見を基に、独自で開発した「若者向け就職支援プログラム」を提供している。この取組みは、「ホンキの就職」プロジェクトと名付けられ、2011年4月のスタートより4年半でおよそ1万7千人が参加し、受講者の約60%以上が3か月以内に就職内定を獲得している。また、このプログラムに参加し内定を獲得できた若者のうち、およそ80%が1年~1年半後も継続して就労している。
このプロジェクトの設計思想は、「受講生の可能性を信じる」ことを基本に、就職スキルを教えるの ではなく、自信を持ち自己尊重感を高めるための伴走を重視した2つのプログラムで構成されている。「4Daysワークショップ」は少人数のグループワーク形式で、自信を回復させ、職種選びの視野を広げ、応募行動を習慣化させる。「1Dayセミナー」は実践型のワークショップで、2回のロールプレイを経験して、自信を持って面接に臨めるようになる。
ファシリテーターは従業員やOB/OGが務めるが、多くの希望者の中から厳選され、質を確保するため徹底した研修も行われている。 若年就職問題という深刻な社会問題に真正面から向き合い、自社の経営資源を有効に活用し、人間信頼を基底に据えた取り組みは「企業フィランソロピー大賞」として高く評価したい。
企業フィランソロピー賞
≪寄り添うキッチン賞≫
味の素グループ
(東京都中央区)
活動の名称:東北応援 ふれあいの赤いエプロンプロジェクト
<贈呈理由>
同グループは、東日本大震災復興応援プロジェクトとして、2011年10月より被災地にある仮設住宅の集会所で、移動式料理教室(「健康・栄養セミナー」)を実施している。2015年11月末までで、岩手・宮城・福島の3県47市町村で、合計1628回が開催され、延べ2万6千人の被災者の“心と体の健康づくり”を応援してきた。
東北3県にそれぞれ活動拠点を置き、専任の担当者を配置しているが、本プロジェクトの主催はパートナーである地元の行政や社会福祉協議会、NPOであり、同社はサポーターとしての役割を担う。独自に開発した移動式調理台や災害時にも活用できるレシピなど、運営ノウハウを提供し、将来的には各パートナーが自立して継続することを目標としている。
これまで、1500名以上の味の素グループの従業員がボランティアとして被災地に赴き、赤いエプロンを身に付け、住民とのコミュニケーションをはかり、課題や思いの共有に努めている。同グループは、このプロジェクトを「最後の仮設住宅がなくなり、復興の足取りが確かなものになるまで続ける」と宣言しており、最後まで被災者に寄り添う覚悟と多面的に被災地を後押しする姿勢を称えたい。
≪こころの劇場賞≫
四季株式会社
(横浜市)
活動の名称:こころの劇場、美しい日本語の話し方教室
<贈呈理由>
同社は、「子どもたちの心に生命の大切さ、人を思いやる心、信じあう喜びなど人が生きていく上で最も大切なものを、舞台を通じて語りかける」ということを目指し、日本全国の子どもたちを無料で劇場に招待し、演劇の感動を届けるプロジェクト「こころの劇場」を長年にわたって実施している。1964年にスタートした「ニッセイ名作劇場」を、2008年から数々の事業をまとめた複合プロジェクトとして新たに発足し、2014年までの7年間で3,067公演、369万人の児童が参加した。
「文化の一極集中の是正」を掲げる同社では、劇団四季のメンバーが各地に出向き、行政とも連携をはかり、広く各地域の企業からの協賛を募り、2014年は全国159都市で開催した。
また、劇団四季独自の方法論を使った「美しい日本語の話し方教室」を2005年度より展開しており、この活動も過去10年間で343,998人の子どもが参加し、教材を通して「思いやり」や「友情」の大切さを学んでいる。
日本の未来を担う子どもたちに、芸術を通して、「生きる喜び」「生命の大切さ」を伝えることにより、こころ豊かな社会の実現を目指し活動しつづけていることを称えたい。
≪希望のステッカーアート賞≫
株式会社スタイリングライフ・ホールディングス
(東京都新宿区)
活動の名称:グループ全社活動「Heartful Bird」ハートフルバード
<贈呈理由>
同グループは、雑貨小売販売、通信販売、ビューティ&ウェルネスの3つの事業領域において事業を展開し、輸入生活雑貨の販売店「PLAZA」などを全国に展開しており、理念である「より楽しく豊かなライフスタイルの実現」のために、オリジナルのステッカーを用いてアート作品を作るボランティア活動を2005年より実施している。
「ステッカーアート」は、台紙に「シールを組み合わせて絵を作る」ことを基本に、ステッカーを写真に貼ってオリジナルフォトを作成するなど、想像力を膨らませて作品をつくる技法である。お店に来ることができない事情がある多くの方々にも「楽しさ」を提供したいという社員の思いから、このボランティア活動が生まれ、闘病生活を送る子どもや各種児童福祉施設で過ごす子どもを対象に、2015年8月までに274回実施、毎年約1000名の子どもたちが体験している。
使用するステッカーは、カリフォルニアの取引のある会社から無償提供をうけ、またステッカーアート作成のためのキットは、グループの知的障がい者施設で加工している。2014年からは店舗に来店する顧客にも作成協力を依頼し、約1500枚のカードを全国30か所の小児病棟に寄付するなど、ステークホルダーとの協働の輪も広がっている。きめ細やかな配慮をしながらの心のこもった地道な活動を高く評価したい。
≪生きるは幸せ賞≫
株式会社特殊衣料
(札幌市)
活動の名称:障がい者の積極的雇用と充実した支援体制
<贈呈理由>
同社は、病院・福祉施設向けリネンサプライと清掃業務、自社オリジナルブランドによる福祉用具の企画・製造・販売事業を展開している。
養護学校から職場実習を依頼されたことがきっかけで、1991年より障がい者雇用を実施。受け入れの結果、社内の雰囲気も良くなり、その効果は大きなものであることを実感。その後、障がいのある社員の職場適応援助者(ジョブコーチ)や職業生活相談員の資格を持つ社員を育成し、きめ細かく業務の指導や評価を行なっている。また、保護者や地域との連携を強化し生活の質の向上に心を配っている。これらの経験を踏まえてマニュアルを制作、他社へも配布し、社会全体の障がい者雇用促進に尽力している。
2005年には「社会福祉法人ともに福祉会」を設立。就労訓練だけでなく、利用者のアートの才能を開花させ、他施設との合同展覧会の開催、様々なグッズの制作・販売など、社会参加の機会を提供している。一人ひとりの個性に向き合い、それを伸ばす取り組みは、共に生きることへの大いなる賛歌であり、幸せのありようを問い直すものである。人間への愛あるまなざしに満ちた取り組みを、フィランソロピーの原点として称えたい。
第13回企業フィランソロピー大賞 実施概要
目的:
社会の課題解決のために、自社の経営資源(人材・ノウハウ・技術・情報など)を有機的・持続的に活用した社会貢献活動を顕彰し、広く社会に発信することにより、公正で温もりと活力ある社会を次世代に伝える一助とします。2003年(平成15年)創設。
ご応募:
<贈呈対象>
企業が行なう社会課題の解決や社会の健全な発展に寄与する活動
・自薦、他薦を問いません。
・企業の業態・規模の大小を問いません。
・全社的な取り組みに限らず、各事業所や部門単位でのプロジェクトもご応募いただけます。
※NPO等、非営利法人の活動は、贈呈対象ではありません。
<ご応募方法>
当協会所定の応募用紙にご記入の上、ご応募フォームに添付してお送りください。
<ご応募締切>
2015年9月25日(金)
選考:
<選考方法>
書類審査および訪問調査(ヒアリング)
<選考基準>
社会性:社会課題の解決に向けて真摯に取り組み、成果をもたらしている
先駆性:固定観念や既成概念にとらわれず新たな社会価値を創造している
波及性:地域や他企業などへの広がりがみられる
経営との関連性:経営陣の関与・経営理念との関連性が明確である
従業員の関与:社内に広く理解され、積極的な従業員参加が見られる
<選考委員>(50音順)
【委員長】武田 晴人氏 (東京大学 名誉教授)
岩田 喜美枝氏(公益財団法人21世紀職業財団 会長)
佐藤 雄二郎氏(株式会社共同通信社 代表取締役社長)
渋澤 健氏 (コモンズ投信株式会社 取締役会長)
表彰:
<選考結果発表>
2015年12月(予定)
<贈呈式>
2016年2月16日(火)14:00
会場:プレスセンターホール(東京都千代田区内幸町2-2-1日本プレスセンタービル10階)
表彰:大賞1件と入賞数件を表彰し、賞状を贈呈します。 (賞金はありません)
お問合せ先:
公益社団法人日本フィランソロピー協会
『企業フィランソロピー大賞』事務局
担当:藤川祥子・石槫(いしぐれ)康利
〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル244
TEL:03-5205-7580 FAX:03-5205-7585