【本展の取り組みのポイント】
- 横浜市の老舗企業である「株式会社大川印刷」より、社有施設と社会貢献に関するノウハウを無償で提供いただき、同社初となる障がい者アート展を開催した。
- 障がい者アート展と、ドキュメンタリー映画『まひるのほし』上映会を同時開催し、障がい者の暮らしや創作活動、障がい者アートの魅力を参加者と共有することで障がい者への理解を促進した。
- 「みんなではぐくむアートの森」というテーマを設け、参加型企画を実施した。企業人ボランティアによるSNSでの広報、来場者によるメッセージツリーへの協力、作品や雑貨類の販売など、さまざまな工夫を凝らし、多彩な方法を通じて障がい者アートや共生社会づくりへの機運を高めることを目指した。
- 来場者からは、作品の質を評価する声が寄せられた。また、福祉側(出展団体)からは、さらなる「発表機会」を求める声や、創作活動環境整備(材料・保管場所・作品の活用・資金確保等)を求める声があがった。
【開催実績】
・来場者数 300名
・展示作品数 47点 (うち販売作品は36点)
・販売数 作品16点、雑貨116点 ※ 売上は全額出展者にお渡ししました。
・メッセージ数 95点 ※ 会場内に設置したメッセージツリーへの参加数
<障がい者アート展>






<映画上映会>


【成果と課題】
来場者の事後アンケートでは、作品そのものに満足する声が多く、障がい者アートに対しても好意的な評価が寄せられました。また、「障がい者」と括ることを疑問視する感想も寄せられました。
アートにおいては、障がいはその人の「個性」として表れ、分け隔てなく作品に向き合うことができることから、アートを媒介とすることが、障がい者への理解促進や共生社会づくりに有用であることが窺い知れました。
一方で、出展団体側からは、さらなる発表の機会の提供や、創作環境の改善を求める声もあがりました。
<事後アンケート>
来場者アンケート(回答数:31)
◎ 本アート展の感想
| 回答 | 件数 |
|---|---|
| 大変良かった | 24 |
| 良かった | 7 |
| 普通 | 0 |
| あまり良くなかった | 0 |
| 良くなかった | 0 |
| 合 計 | 31 |
◎ 展示作品と展示数について
| 回答 | 件数 |
|---|---|
| 大変見ごたえがあった | 15 |
| 見ごたえがあった | 15 |
| 普通 | 1 |
| あまり見ごたえがなかった | 0 |
| 見ごたえがなかった | 0 |
| 合 計 | 31 |
◎ 本アート展の感想(自由回答から見えた主な傾向)
1.**作品の魅力**
- どの作品もとてもユニークで、大胆な構図や色使いにワクワクした。一つひとつの作品に見応えがあり、満足度が高かった。
2.**個性的な表現**
- それぞれの作家さんの個性が出ていて、観ていて楽しかった。AI時代に真似できない価値があると感じた。
3.**展示の雰囲気**
- 落ち着いた雰囲気や、スペースを活かした展示、森の中にいるような音楽が良かった。
4.**作品の力**
- 障がい者であるかどうかではなく、展示されている作品の放つ力がとても強かった。
5.**参加体験**
- 会場の雰囲気がとてもアットホームで、肩の力を抜いて観ることができて良かった。
全体として、多様な作品と個性的な表現が楽しめる場であり、参加者にとって心温まる体験であったことがアンケートから伝わりました。
◎ 障がい者アートに対する気づき(自由回答から見えた主な傾向)
1.**障がいの再考**
- 健常者の私よりも、よほどすごい絵を描ける方々が「障がい者」と呼ばれていることに、何だか不思議な感覚になった。
2.**個性の表現**
- 障がい者であろうと健常者であろうと、すべて一人ひとりが持つ個性なのだなぁと感じた。
- 独創的で、圧倒的に差別化できている素晴らしい価値だと思う。
3.**作品の魅力**
- 作品からは、障がいの有無をまったく感じませんでした。優しさにあふれていた。
- 純粋にアート作品として惹かれるものばかりでした。繊細な作品、大胆な作品、難解な作品と、どれをとっても個性が際立っていて、すべての作品に見入ってしまった。生の筆致でしか味わえないインクの厚みや、段ボールに描かれた絵の素材感に、ぜひ直接作品を見てほしいと思わされた。
4.**アートの力**
- 理屈ではなく、感性で感じるモノ・コトは、さまざまな立場や状況を超えて、人と人がつながり、理解し合える素晴らしいものだと思う。
- 障がい者アートが何なのかはよく分からないけれど、自分の想いを言葉ではない形で表現できることは、その人を豊かにし、周りの人の気持ちを解きほぐす力にもなる。そんな気がする。
5.**支援の重要性**
- サポートしてくださる方々がいらっしゃってこその展示作品なのだな、とも思った。
- アートを購入できる余裕がまだないのが残念なくらい、芸術を通して個性を発揮でき、自立へつながることは素敵なことだと感じた。
アンケートでは、障がい者アートが持つ独自の価値や、個性の表現、アートを通じた人々のつながりの重要性が強調されていました。 また、作品の制作や展示には、周囲の支援が不可欠であることも示されています。
出展団体アンケート(回答数:5)
◎ 本アート展の感想
| 回答 | 件数 |
|---|---|
| 大変良かった | 4 |
| 良かった | 1 |
| 普通 | 0 |
| あまり良くなかった | 0 |
| 良くなかった | 0 |
| 合 計 | 5 |
◎ 今回の出展理由
| 回答 | 件数 |
|---|---|
| 趣旨に賛同した | 4 |
| 作品発表の場を求めているから | 3 |
| 会場が近いから | 0 |
| 出品団体の負担が少なそうだったから | 0 |
| 主催者・共催者との関係性から | 2 |
| 企業とのつながりを求めているから | 1 |
| 障がいアートを広く知ってもらうため | 2 |
| その他 | 1 |
◎ アート制作における課題
- 画材などの資金確保や、たくさん生み出される制作物の活用
- 障がい特性に応じた制作環境の整備や、発表機会・支援体制の拡充、社会的認知の向上
- 「障がい者アート」というフレーミングをいかに取り外すことができるかが課題
- 大きな作品を制作する場所がないことや、保管する場所がないことが課題の一つ
◎ 企業や中間支援団体に望むこと
- 団体の絵画レンタルを利用してくださる企業が増えるとよい。
- 広く一般の方々に障がい者アートに触れていただく機会を増やしたい。そのため、公共施設に限らず、商業施設や企業オフィスなど、日常的に多くの人が行き交う場での展示や発表の機会をご提供いただけると大変ありがたい。
- ぜひ広く「アーティスト」に開かれた発表の機会をお願いしたい。
- 展覧会に参加できたことは、とてもありがたい機会だった。多くの方に活動を知っていただき、新しい方と出会うことは、利用者の皆さんにとっても刺激になり、制作のモチベーションになる。企業の方にはそのような機会を作っていただけたらとても嬉しい。
会場メッセージツリー
会場に設置したメッセージツリーには95枚のメッセージが寄せられ、立派な木に育ちました。
